ローシュ
でんせつのゆうしゃ
古の時代、人々を恐怖と混乱に陥れた邪神ニズゼルファを倒し、ロトゼタシアに平和をもたらしたとされる伝説の勇者。
ヒノノギ火山にて神界より伝わる金属オリハルコンを鍛えて勇者のつるぎを作り、神の乗り物であるケトスに乗って邪神との死闘を繰り広げたとされる。
彼とその仲間である大賢者セニカ、戦士ネルセン、魔法使いウラノス達による邪神討伐の物語はローシュ戦記という名で残されており、後の世において知らぬ者はいない勇者の正伝として長きに渡り語り継がれていた。
尚『ドラゴンクエストⅪ』の主人公(DQ11)は彼の生まれ変わりに当たり、真っ直ぐでどこか純粋だが力強い目、左手に浮かび上がる勇者の紋章などが継承されている。
激闘の末、遂に後一歩の所まで邪神を追い詰めた勇者一行。そして、ローシュが邪神にトドメを刺そうと勇者のつるぎを振り上げたその刹那、あろう事か仲間であり友であったウラノスの裏切りに逢い命を落としてしまう。
ウラノスは邪神の魔力に魅入られその力を我がものにせんと企んでいたのだった。魔力を吸収して凶悪なる闇の魔道士ウルノーガへと変貌を遂げた彼は、その強大なる力に酔いしれた後に何処かへと消え去ってしまった。
そして残された邪神の肉体は勇者が不在である以上滅ぼすことは不可能であるため、セニカの魔法で結界を張られた巨大な星に姿を変えて大空の彼方へと封印される。これこそが勇者の星の正体であった。
その後残された彼の剣はセニカによって命の大樹に捧げられた。
見事復活を遂げた邪神ニズゼルファを倒した主人公一行は、悲劇の末時の番人と化したセニカを救うべく忘れられた塔に向かい、勇者の力をもってしてセニカを元の姿に戻す。そして勇者のつるぎを彼女に渡し過ぎ去りし時を求めるよう即す(この時主人公の勇者の力がセニカに移る描写が有る)。
未来の勇者一行の力を借り、過ぎ去りし時を求めて元の時代へ還ったセニカの頭上を数羽の鳥が掠める。歩き出した彼女、その先には一人の青年の歩く姿、まさしく勇者ローシュその人であった。
自分の名を呼ぶ声に反応し振り返るローシュ、走り出したセニカ、ひかれ合うようにして互いに手を取り合う二人。
伝説の勇者と大賢者の愛は悠久の時を超えて遂に成就したのだった。
- 檜山修之:『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めてS』
- 同氏は他にも、『ドラゴンクエストライバルズ』ではザンクローネを、『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』以降は『ドラゴンクエストⅢ』の男性主人公の声優も担当している。
『ドラゴンクエストⅢ』との関係性
特徴的なツンツンヘアー、青緑色の宝石が埋め込まれた銀色のサークレットなど、『ドラゴンクエストⅢ』の主人公を彷彿とさせるヴィジュアルが印象的である。
これは彼の仲間たちにも言えることであり、ローシュ伝説全体を通して同作品のオマージュと捉えることができると思われる(実際、ローシュとセニカが再会したムービーの後に流れるCG映像が『ドラゴンクエストⅢ』のオープニングそのものとみて間違いはないと思われるため、同作の勇者はローシュの転生した姿で、ローシュがニズゼルファを倒した時間軸のロトゼタシアの未来が同作品の舞台であるという考察も可能である)。
勇者と賢者
時を超えるという壮大な物語の末大成したローシュとセニカの恋愛は本作においてもクリア後の重要な伏線として位置づけられており、その究極のラブストーリーに感動したプレイヤーも多いのではないだろうか。
因みにローシュはセニカを一目見ただけで恋に落ちたことが神の民によって語られており、相当充実していた様子がうかがわれる。
『ドラゴンクエストⅪ』と過去作との繋がりについては、ファン間で以下のような説がある。
その1
真のエンディングにて『ドラゴンクエストⅪ』はロトシリーズ(『ドラゴンクエストⅠ』、『Ⅱ』、『Ⅲ』)のはるか昔かも知れないという説が話題になった。
邪神ニズゼルファを倒し、その後のイベントで生命の大樹が元々は聖竜であったことが判明し(マスタードラゴンや竜の女王との関係性は不明)、主人公との会話の中で「光と闇は表裏一体。もし、私が闇に堕ちるときがあれば、その剣(勇者の剣)で、過ぎ去りし時を求めて…」(意訳)
というセリフが流れた後、勇者の剣が反転し、それを『ドラゴンクエストⅠ』の主人公が引き抜き、りゅうおうの城を見据える……となる。
ただ、『Ⅲ』の時代では王者の剣のオリジナルをゾーマが破壊している。ローシュの心境やいかに。
HD-2D版以前は以降の作品で「ロトの剣」として継がれていたのは本作で新造されたものとなっていたが、流石に上述の経歴からかHD-2D版『ドラゴンクエストⅢ』ではこのゾーマの折った剣を直接再生する形に変更された。
その1の亜種
『Ⅺ』は2つの世界線の分岐点であり、真ルートの後、セニカが過去にタイムトラベルした世界の未来がロトシリーズで、主人公が残った未来が天空シリーズではないか?とする説。
…というのも、『Ⅲ』の主人公やその父オルテガは見た目からしてセニカとローシュの直系ではないかとされているが、『Ⅺ』の主人公は過去の勇者の子孫、とされているもの、過去の勇者の最期からして直系の子孫ではない(傍系の子孫、つまり兄弟姉妹・従兄妹再従姉弟の子孫である)可能性が高い。
これを補強する要素として「デイン系」呪文の存在が挙げられる。ロトシリーズではもっとも時系列の早い『Ⅲ』の主人公のみが使える。一方、天空シリーズでは天空人にルーツを持つ勇者のみが使える(『ドラゴンクエストⅥ』の職業システムでも原則勇者職限定で、例外的にライデインは主人公ならイベント修得する形でも覚える)。
さらに、勇者ロトの血統はまずローレシアとムーンブルクが国家として崩壊、最後まで残ったサマルトリアも『ドラゴンクエストⅡ』のサマルトリアの王子の直系の子孫は断絶する運命だと外伝作の『キャラバンハート』で描かれている。
つまり、勇者ロトの血統はだんだん薄れていっている。しかも、『Ⅲ』の主人公は女性の可能性があるため、所謂「父系継承による万世一系」が保証されていないことになる。
一方、天空シリーズでは『ドラゴンクエストⅥ』で天空人というユニークポイントができ、なおかつ『ドラゴンクエストⅣ』の時点まで人間(地上人)と関わりを絶っているため、天空人が『Ⅵ』の主人公をルーツに持つ存在だとすると、割合血統が濃く残っている可能性が残される。
このため、ロトシリーズでは『Ⅺ』の過去の勇者の血統である『Ⅲ』の主人公のあたりで「デイン系」が使えなくなるが、天空シリーズでは血統が濃く残っているため時折使用者が出る、という解釈が可能となる。
ただし、ロトシリーズでも、『Ⅱ』で鉄板のカップリングとされるローレシアの王子とムーンブルクの王女が婚姻関係に至った場合、ここで血統がいったん濃くなる。
また準公式とも言える漫画作品『ロトの紋章』を組み込むなら『Ⅲ』→『Ⅰ』の間でやはり勇者ロトの子孫同士の婚姻が行われ、さらにラダトーム王家も勇者ロトの血統となるためⅠの直後にロトの子孫同士の婚姻が行われることになる。
…が、『ドラゴンクエストビルダーズ』シリーズではまた違った歴史を辿った結果ロトの子孫が再度繁栄したかのような描写がされており、結局の所これらも全て仮説でしかない。
その2
パラレルワールドという説もあるので強くは言えないが、もしかすれば、『ドラゴンクエストⅪ』の世界から何百何千という時を経てロト三部作になったかもしれない。
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※キャプション・本文にネタバレが含まれます※ 個人的な解釈として、時渡りは時間の巻き戻しであったと思っています。 仲間や世界の人々に記憶が残っているのだから、彼らは完全に同一個体であり、 一度経験したことを時間が巻き戻された結果ほとんど忘れてしまっている状態であると。 もう1つの根拠として、あの忘れられた塔で流れる砂はドラクエシリーズによくある 「時の砂」だと思うので。 それならば賢者セニカの時渡りはどうだったのか、と考えていて もしかしたら彼女は時を渡ったけれども歴史を変えなかったのではないか、と思いました。 彼女視点で時は巻き戻ったけれども、歴史を変えなかったので主人公たちに何も影響がなかったのではないか、と。 そんなことを考えながら書いた、セニカの物語です。1,984文字pixiv小説作品