ライオン型ゾイド
あにめじだいのぞいどのしゅやく
もしかして⇒トラ型ゾイド
ライオン型ゾイドの歴史は比較的古く、ことゾイドシリーズでは第1期シリーズ時、1987年のシールドライガーにて初登場している。当時のゾイドシリーズでは主役級がゴジュラスやその時期の看板ゾイド(とりわけ、ウルトラザウルスやデスザウラー、マッドサンダーといった決戦兵器クラスのゾイド)に振り分けられる傾向があった。その一方で、コロコロコミック誌ではシールドライガー改造機であるゴールドライガーを主役に据えた『特攻!!ゾイド少年隊』が連載されており、後半にてマッドサンダーの出番が増えるものの、最終話まで主人公のゾイドとして登場していた。
その後、99年から再開された『ZOIDS』シリーズ以降、新バトルストーリーやアニメ、関連商品等の様々な媒体ではライガーが主役を務める事となる。この前後のコロコロコミックホビー作品では同モチーフの主役級を毎年モデルチェンジする傾向にあり(『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』『スーパービーダマン』等が顕著)、同時代の主役級として選ばれたライガータイプは徐々に押しも押されもせぬ「ゾイドの顔」となっていった。
「ライオン型」、「ライガー型」「古代ライオン型」、「ライオン種」、「ライガータイプ」等の分類や呼称がある。
- 「ライガー」という単語の本来の意味は、ライオンとトラの交雑種の中で、父がライオンで母がトラという個体を指す。
アニメシリーズでは、種の区分に関する詳細な経緯は特に説明されていない。特に、『ゾイド-ZOIDS-』ではすべてのゾイドが「ゾイドイヴによって生み出された」と言及されている。
一口に「ライオン型」と言っても複数種が存在し、大まかに「中央大陸生息種」と「西方大陸生息種」に大別される。
前者のライオン型ゾイドにはライオン型種とライガー型種が存在し、多くのライオン型ゾイドはライガー型種をベースとした「ライガータイプ」が主流となる。
その一方でライオン型種は「ライジャー」にしか使われていない。
- かつて発売されていたゾイドアートスタチュー(ゾイドの小型ヴィネット商品)では、シールドライガー・ブレードライガー系の野生体とライガーゼロ系の野生体は同種の原体としていた。後にこの設定はHMM版にも採用されており、そのため似たような装備(Eシールド)の搭載に成功したとされている
中央大陸のライオン型グループは時代が経つごとに家畜化されていった傾向にあり、西方大陸戦争時代には既にコピー品が主流になっている。保護政策によって個体数は保たれているが、そのために生命力は野生時代よりも低下した。
西方大陸には人間の干渉を受けなかった「完全な野生体」が存在する。これがライガーゼロやエナジーライガーのベースになったゾイドで、戦闘力は家畜化が進んだ中央大陸種を遥かに凌駕する。
この他にゾイドブロックスにもライオン型が複数種存在するが、これらはバイオコンピュータによって、人工ゾイドコアにライオン型の遺伝子情報をプログラミングしたものにすぎない。
特殊な例として、ジーニアスウルフはレオブレイズ型の派生となる。類似した例に、ワイツタイガーが本来の姿となるワイツウルフもいる。
尚、第1期シリーズに登場したバトルクーガーはライオン型とワシ型の遺伝子を合成したグリフォン型ゾイドとされている。『ゾイドブロックス』『ネオブロックス』シリーズにおいてはグリフォン型ゾイドの「グリフォン」と「バイトグリフォン」も存在するが、これらはチェンジマイズ(ブロックス同士の合体)形態であり、遺伝子合成によるゾイドではない。
「ゾイド」というコンテンツの拡大にアニメシリーズは非常に貢献した。『機獣新世紀ZOIDS』および『ゾイド-ZOIDS-』においてはオーガノイドが目立っていたが、主人公達の乗るゾイドはやはりライガータイプだった。
しかし、それまでの「ゾイドの顔」として例えばゴジュラスを挙げる人も少なくなく、第一作目の第一話にて「なぜオーガノイドのジークがゴジュラスを選ばずにシールドライガーを復活させたのか」という疑問を抱く人もいる。
その理由としては、身も蓋もない話ではあるが、大人の事情がある。
- 「ゴジュラスを主役にすると容量が足らなくなる」ことが一番の理由として挙げられる。当時のCG製作用コンピュータでは処理速度も遅かったため、ゴジュラスは発進シーンを作るだけでCGの手直しが必要となる手間が発生していた。
- この背景をネタにした表現として、「ゾイドは金で動かすんだよ、金で。」と言う視聴者もいる。
- ライオン自体が味方側の主力となるロボットや主人公のモチーフとしてよく使われやすく、デスザウラー等のボスキャラとなるゾイドは恐竜型が多いので彼らとの差別化も容易というのもあるのかもしれない。
- 逆に悪役がライオン型ゾイドに搭乗することは少ない。一応ライバル機がライガー型の例は何例かあるものの、それらと相対しているのもまたライガー型の主人公である。
- 足が速くなく、巨大で切り札的な側面を持つゴジュラスは、CGでのバトルを売りとするアニメの主役としてはあまり適していないとも言える。一方のライガーは崖を駆け上がったりする立体起動も描きやすく、画的な面白さはわかりやすく描ける。
一応ゴジュラスは接近戦での反応速度や瞬発力は機敏という設定はあるものの、巨大な体躯で敵部隊に突っ込み一方的な戦いをするゴジュラスは強力すぎて弱いものイジメにしか見えない点や、巨大ゾイド同士の殴り合いは純粋なパワーがものを言い、スピードやテクニックによる戦術が描きにくい点も考えるべきだろう
更に付け加えるなら、基本スペックがライガー種より遙かに強いゴジュラス種を主人公にすることで、インフレが非常に起きやすく、ストーリーがコントロールしにくい点は無視できないデメリットである。
現に昭和第一シリーズではあり得ないレベルでインフレが起こっている。昭和シリーズではデスザウラーが中ボス以下といえば平成以降のファンにはわかりやすいだろう。
平成では、OSで昭和より大幅に強化されたデスザウラーを頂点としつつ、ゴジュラスを決戦兵器、ライガーを主力兵器兼主人公として描く事でインフレを抑えつつも巧みにストーリー展開をしており、昭和期の反省とスピード重視の爽快な展開を描くことに成功している。
「どうしてアニメでは、ゴジュラスはかませ犬だったり動かないのか」という疑問の声も散見するが、ゾイドの呪いとも言えるインフレ現象の他にも、ゴジュラスにアクションをさせられない事情があったのである。
ゴジュラス型ゾイドがアニメでネームバリューに違わぬ活躍ができたのは、『ゾイドフューザーズ』におけるゴジュラスギガが初めてであった。キングゴジュラスは未だにアニメには登場していない。
ゴジュラスギガは、直立姿勢で暴れるより前傾姿勢で高速機動するシーンが多く、巨大ゾイドでありつつも高速機動が不自然でない優れたデザインであったことも大きい。
後のゾイドシリーズでも、巨大肉食恐竜型ゾイドは前傾姿勢で高速機動シーンが多く、その影響力は絶大であった。
完全に余談ではあるが、ゴジュラスの元ネタであろうメカゴジラも新型が出る度に高速機動型に偏重していっており、画的にはいかにスピードアクションが重要かはもはや火を見るより明らかである。
批判
上記の通り、ライオン型ゾイドが主役になるのはそれなりに理由があるのだが、古参新参問わず、ライオン型が主役に偏重する事については非常に大きな批判がある。
初期のゾイドの主役はゴジュラスであり、純粋なスペックにおける最強時代が終わって尚前戦で戦い続けた実績があり、古参はこのイメージで語りがちである。
その他、新参ファンにも虎やオオカミ型ならスピーディーな戦闘シーンが描けるという理由や、単純に飽きが来やすいという理由から批判するものもそれなりにいる。
また、ラプター型やティラノ型でも主役のヒロイックさはあるという声は新旧問わず声は聞くし、たまには変わり種も見てみたいというファン心理もある。これらは単純な批判のみならず叱咤激励やシリーズの多様化を望む声でもあり、一様に無視できるものではない。
公式も意識はしているようで、度々ライガー以外にスポットを当てたり、恐竜型の主役を出したりもしている。
ライオン型以外の主役ゾイドの例
関連媒体なども含めると、ライオン型の次に主役機を務める事例が目立つのは、タイガー型やジャガー型、オオカミ型などのイヌ科型と、やはり高機動四足ゾイドが目立つ。
- バン・フライハイトも『機獣新世紀ZOIDS』ではコマンドウルフのジークをシーザー(シールドライガー)の前に操縦しているが、これは企画段階ではコマンドウルフが主人公機として考案されていたことの名残だとされる(そのため、漫画版とアニメ版の両方でダン・フライハイトの相棒として選ばれ、漫画版ではバンがコマンドウルフのジークを一時的に操縦している)。『ゾイド惑星Zi』においても、ケーニッヒウルフが初代相棒だったが、最終的にはレオブレイズに引き継がれていた。
- トラ型ゾイドはとくにゲーム作品で主役機として扱われる場合があり、レイズタイガーやブリッツタイガー、プロトセイバー、ディアブロタイガーなどが該当する。バトルストーリーの「古代虎編」では、ワイツタイガーもレイズタイガーと共に主役機の一体を務めた。
- ジャガー型は、ブレイブジャガーがネオブロックスストーリーでの主役機であったが、やはりライオンの特徴を持つ強化形態が複数存在する。
- 『機獣新世紀ZOIDS』では、シーザーと出会うまでは、オーガノイドのジーク自体にバンが合体して戦う場面が目立った。
- 『サイバードライブゾイド 機獣の戦士ヒュウ』では、珍しく草食型であるサイクロプスを主人公機とするストーリーが存在する。
逆に、ゾイドブロックスは最終形態がマトリクスドラゴンやバイトグリフォン等、ライガータイプのブロックスが混じっていても非ライオン型になるケースもある。バイトグリフォンは、ライガーゼロフェニックスに通じるデザインをしている。
いずれにせよ、「ヘリック共和国」「ビース共和国」「ZOITEC」「討伐軍」等、共和国系列または帝国や武国側でない陣営が主役とされる事が目立つ。
その後、凱龍輝の特殊個体・ゼノレックス・ドスゴドスという共和国系列の獣脚類型ゾイドが、電撃ホビーマガジンなどの媒体における小説や『ゾイドワイルド戦記』で主役ゾイドとして起用されたため、公式側でもライオン型に偏重することに疑問を感じる部分があったと思われる。『ゾイド惑星Zi』でも、主人公達のゾイドの最終形態はマトリクスドラゴンだった。
(追記よろしくお願いいたします)
シールドライガーMKⅡ・デザートライガー・スパークライガー・レオン・レイ・バスターブレード・スラッシュライガー・スナイプライガー・ゴッドスピード等の、純粋な強化型やバリエーション等は除く。尚、ライオンをモチーフとしたゾイドであっても、生息地や種の違いが設定されているケースも多々見られるが、これらも媒体によって一定していない場合がある。
このうち、「ゾイドバトルストーリー」にてライガーゼロは西方大陸種の強力な完全野生体とされているものの、アニメ『ゾイド新世紀/0』では設定面も異なっている。また、『ゾイドジェネシス』に登場するムラサメライガーは同作の他のゾイド同様に発掘されているが、出自が不明瞭な点もある。後に『ネオブロックス』シリーズにてレジェンドブロックス版のムラサメライガーとその合体機であるヴァルキリーシーザーも登場している。
また、『ゾイドコンセプトアート』及びその派生作品では地球人の手によって作られた生命体としてゾイドが誕生し、その進化によって発生したライオン型ゾイド(LION)を改造してシールドライガーが開発されている。
尚、『ゾイドワイルド』シリーズにおけるライオン種は惑星Zi由来のテラフォーミング装置によって誕生した地球産のゾイドとなっている。同シリーズにおいてバーニングライガーは例外的に地球外のライオン種とされているが、その詳細は不明。