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モスボール

もすぼーる

兵器をいつでも再利用できる状態にしつつ長期間保管すること。
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概要編集

モスボール(mothball)とは、軍隊が使わなくなった兵器を予備兵器として再利用できる状態にしつつ、長期間保管することである。原義は(moth)の幼虫から衣類を守る球(ball)状の防虫剤という意味だったが、転じて「使わずに長期間保管する」といった意味となった。


基本的にはいつでも予備として再使用できるよう、錆止めやカバーなどをして極力劣化を防ぐ措置が施された上で長期保管される。艦艇のような大型兵器の場合、内部からの酸化を防ぐため、ポテトチップスの袋のように窒素が内部へ充填されることもある。


各国の事例編集

アメリカ編集

アメリカ軍では、上の動画のように退役した軍用機アリゾナ州にあるデビスモンサン空軍基地の砂漠で野ざらしにして保管している。同基地は降水量が少なく、野ざらしでも機体が腐食しにくいという特徴もあり、4,400機の軍用機が保管されているという。これらはそのまま朽ち果てていったり、あるいは部品取りにされたり、さらには保管状態が良ければ現役復帰させられることもある。


さらにアメリカ海軍が予備艦隊という形で、退役した空母駆逐艦巡洋艦などの様々な艦艇を保管している。第二次世界大戦中に建造され、1980年代に現役復帰させられたアイオワ級戦艦も一時期はモスボールされていたことで知られる。




ロシア編集

ロシア連邦は旧ソビエト連邦時代のT-72T-64といった戦車、旧式の装甲車など数万台をモスボールしていた。


2022年のウクライナ侵攻では緒戦で新鋭車両を損耗したこともあり、それらを続々と現役復帰させて投入することで補っている。しかしそれでもなお損失が激しく、一部ではモスボール品すら枯渇しつつあるという。



日本編集

日本では自衛隊が限定的に行っているが、高温多湿な気候によって金属部品が腐食しやすく、保管が難しいという理由もあって大々的には行われていない。


それでも余剰となったF-4EJがモスボールされ、後にRF-4EJへ改造されたり、モスボールされていたT-2CCV試験機が岐阜かかみがはら航空宇宙博物館へと寄贈された事例がある。EC-225LP要人輸送ヘリコプターが海外で事故を起こした際は、事故原因究明までの間だけモスボールされることもあった。ちなみに前任のAS332要人輸送ヘリもまた2016年時点では格納庫にモスボールされていたようである。


令和7年度防衛予算案では、陸上自衛隊90式戦車74式戦車MLRSのモスボール予算が請求されている。それらは専用の保管用倉庫が新たに建造されるとのことで、高温多湿な気候から腐食を防ぎつつ保管されるとみられる。


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