この項では高田崇史の小説について解説する。その他のQEDに関しては「Q.E.D.」の項を参照。
QEDとは、高田崇史による推理小説シリーズ。講談社ノベルス刊。
博覧強記の変人薬剤師・桑原崇が、百人一首や竹取物語などに隠された秘密や、坂本竜馬暗殺などの歴史上の謎を解き明かしていく歴史ミステリー。
現在の殺人事件の謎が、歴史上の謎とリンクし、歴史の謎を解くことが現在の事件の謎解きに繋がるという構成の推理小説だが、「誰かが嘘を付くとすぐそれとわかる人間ポリグラフ」のような人物がいたりと実質的に現在の事件の謎解きは推理小説の体裁をとるためのオマケと言ってよく、物語の大半は桑原の語る歴史や神道の薀蓄と、それに基づく歴史上の謎解きに費やされる。また、やたらと主人公たちが酒を飲むシーンが多いのも特徴。崇とワトソン役の棚旗奈々の、いい歳した成人男女とは到底思えないほど一向に進展しないじれったい関係も読みどころ。
シリーズ第1巻の『百人一首の呪』は第9回メフィスト賞受賞作で、作者のデビュー作。第3巻『ベイカー街の問題』以降、2008年の第11巻『諏訪の神霊』まで年1冊、毎年1月頃に新刊が刊行されるのが恒例となっていた。2011年10月、第13巻『伊勢の曙光』で一旦シリーズ完結を迎えたが、その後番外編3冊を挟み、2019年に『憂曇華の時』で8年ぶりにシリーズ本編が再開、その後は不定期に新刊が出ている。
なお本シリーズは歴史上の解決をイラストにすることがあるので、気軽にページをめくってはいけない。
本編のほかに、『~ventus~』という副題がつくシリーズが3冊あり、こちらは殺人事件などの要素はほぼ無く、歴史ミステリーツアー的な内容になっている。本編より本自体も薄めでミステリ要素も少ない。また『~flumen~』という副題がつく過去編や後日談となる番外編が3冊、『~ortus~』という副題がつく中編集が1冊ある。
作中にあるようなツアーを実際に敢行した人もいたが、足が張ってしまいとてものんびり観光……というわけにはいかなかったらしい。細面の桑原崇、ワトソン役で女性の棚旗奈々さんは実はすごい体力の持ち主ということになる。『QED ~ventus~ 御霊将門』では、作者と巡る応募ツアーが実施された。
同作者の『毒草師』シリーズは、本シリーズの登場人物のひとりである御名形史紋が主人公となるスピンオフ作品。また同様に講談社ノベルスから出ている『カンナ』シリーズや『神の時空』シリーズも本シリーズと繋がっている。
第6巻『竹取伝説』、第10巻『河童伝説』、第11巻『諏訪の神霊』のように東方Projectの元ネタと関連する作品がいくつかあるので、東方を元にして歴史に興味をもった人にもオススメである(ただし、本シリーズの内容はあくまで作者の独自解釈によるものなので、あまり真に受けないように)。
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最終更新:2025/03/16(日) 21:00
最終更新:2025/03/16(日) 20:00
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