AM (航空機)とは、アメリカ合衆国海軍で運用されていた艦上攻撃機である。愛称はモーラー(やっかいもの)。ここではこの機体に関係のあるXTB2Dスカイパイレートについても述べる。
太平洋戦争中、米海軍は地上もしくは艦艇を攻撃する艦載飛行機として、
と、こんなに種類があった。どうしてこんなに種類があるかというと単にエンジンの馬力が足りなかったからである。第2次大戦開戦までは艦載機用の2000馬力エンジンなんて夢のまた夢、当時主力の1200~1500馬力のエンジンでは1トンの魚雷1発か500kg爆弾2発がやっとだったのである。
1940年の終わりには2000馬力エンジンをむりやり積んだ艦載戦闘機F4Uコルセアが初飛行(だけどやっぱり重過ぎでかすぎで主に地上に回されたのは内緒)。その後日本では悪い意味で有名なB-29は2200馬力のR-3350ライト・デュプレックスサイクロンを4発搭載。こうして飛行機のエンジンの馬力はうなぎのぼりに上昇していく。
そうなったらもうエンジン出力に余裕出てくるからTBもBTも一緒くたにできるんじゃね? って話になる。そうして1944年1月、米海軍はマーチン社と「武装はあんまりいらんから単発でたくさん爆弾や魚雷積める飛行機作れや」という契約を結ぶ。こうしてモーラーは生まれた。最初はBT(爆撃雷撃機)のカテゴリーであったがその後A(攻撃機)という新しい分類になった。
全長 | 12.55m |
全幅 | 15.44m |
全高 | 5.13m |
空虚重量 | 6,557kg |
最大離陸重量 | 10,608kg |
エンジン | P&W R-4360“ワスプ・メジャー” 空冷28気筒 3,000馬力 |
最高速度 | 591km/h |
武装 | 武装20mm機関砲4門 爆弾や魚雷を最大4.8㌧まで搭載可能 |
不都合の見本市。
ほぼ同性能でスカイレイダーの方がはるかに整備も操縦も扱いやすいとなるとモーラーは完全にいらない子と化してしまう。総製造数約150機、わずかに空母ミッドウェイとレイテに飛行隊が作られただけで、それも1950年にはモーラーは実戦部隊を退くことになる。前線における配備期間はわずか3年。1953年には予備役からも退場、予備役入れても配備期間はたった5年というかわいそうな子であった。
全長 | 14.02m |
全幅 | 21.34m(※B-25と同等) |
全高 | 6.88m |
空虚重量 | 8,348kg |
最大離陸重量 | 12,948kg |
エンジン | P&W R-4360“ワスプ・メジャー” 空冷28気筒 3,000馬力 |
最高速度 | 547km/h |
武装 |
モーラーと同じワスプ・メジャーエンジンを搭載した艦上雷撃爆撃機。製造はダグラス社で、あのエド・ハイネマンが同僚と開発に携わった機体である。
3000馬力を4枚翼の2重反転プロペラでまわすという凝った構造が売り物。また、戦時建造大型空母(後のミッドウェー級)への搭載を前提として作られたのでサイズは無視してかまわないといわれて作った結果、レシプロ単発艦載機としては史上最大の化け物になってしまった。
しかし運が悪いことにコレが初飛行したのは1945年3月。既にモーラーもスカイレイダーも初飛行を終え試験の真っ最中であった。性能も大差ない上に8月には戦争も終わってしまい、こんな無駄に凝ったデカブツはいらんとばかりに米軍に開発をキャンセルされてしまい、1948年には作られた試作機2機はスクラップになってしまった。
余談だが、スカイパイレートに限らずワスプ・メジャーを搭載した単発機はすべて試作か少数生産に終わっている。大馬力ででっかいプロペラを回すとどうしてもプロペラの先端速度が音速を超えてしまい効率が悪くなる。エンジンの進化は皮肉にもプロペラ機の限界を示したのである。
意外にも世界の駄っ作機で取り上げてないんですね、これ……。
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最終更新:2024/12/24(火) 00:00
最終更新:2024/12/23(月) 23:00
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