魔界学園とは、『週刊少年チャンピオン』において 1989年32号 - 1993年32号で連載されたていた、原作:菊地秀行、作画:細馬信一による漫画作品である。単行本は全21巻。
原作担当の菊池秀行氏は、『魔界都市〈新宿〉〉をはじめとした伝奇小説を(本当に)多数執筆しており、作画担当の細馬信一氏は、氏の漫画家としてのデビュー作でも有る『黙示録戦士』や、『 魔界都市ハンター』(魔界学園の前に連載)などで、既に菊地秀行氏とコンビを組んでおり、言わば両者が油ののった時期の作品である。
本作のジャンルは、連載当時においてはホラーや伝奇という分類にあたるものの、初版記事作成時においては、むしろ異世界異能バトルものとして分類したほうが適切であろう。
またタイトルに魔界とついてる事から、『魔界戦記ディスガイア』のような悪魔とか魔族とかのファンタジックな学園ものを連想してしまうが、実際は原作担当の菊池秀行氏の、『魔界都市〈新宿〉〉』的な意味での魔界で有る。(ただし魔界学園の作中には、悪魔や魔族みたいな人間が多数登場する)
基本的には、作品連載当時の日本に魔術、超能力、怪異、SFなどといった要素をぶち込んだものであり、日本やヨーロッパ、アメリカといった地名などは登場するものの、現実の世界とはかけ離れた設定になっており、魔界学園独特の異様な(かつツッコミどころの多い)世界観に繋がっている。
この作風について原作担当の菊池秀行氏は、従来の「学園もの」に異世界ホラーの味付けをした本邦初の試みと単行本において述べているが、これは漫画という形での話で有り、小説においては既に同氏自ら『魔人学園』(1988年)という作品を執筆している。
この『魔人学園』と本作・魔界学園は、世界設定や一部固有名詞などの一致が見られるが、あくまで別作品で有り、魔界学園は決して『魔人学園』のコミカライズというわけではない。
余談になるが、『魔人学園』と魔界学園は異世界からやってきた転校生が、作中における事件を解決するという共通点が有るのだが、菊池秀行氏はその後も同様のプロットの作品を何作か執筆しており、一部ファンの間ではまとめて『転校生シリーズ』として認識されている。(ただし各作品に直接の繋がりはない)
そこは日本が東と西に分断され幾世紀が過ぎ、未だに両文明の交流がない異世界の日本。
東の学連所属の学校が何者かに襲われる事件が連発する。それは未知の文明である西の仕業ではないかと噂される中、東京都立帝(みかど)高校の夜間学部にも襲撃者達が現れる。
応戦する帝校所属、関東一の護衛団「烈鬼(れっき)」の団員や教師達だが、同じく東の学連所属の黒文校の角井率いる一団に、ミス帝「氷河(ひかわ)めぐみ」が連れ去られてしまう。
そんな中、帝校に50年ぶりに「転校生」が召喚される。その名は檀 隼人(だん はやと)。
彼は転校にあたり自らの肉体を6分割し、船、鉄道、飛行機、そしてトラックで輸送し、魂のみ先に帝校に転入するのであった。
彼(檀 隼人)が帝校に召喚された理由はただ一つ!誘拐された氷河めぐみを奪還し守るためである。
……
なんじゃこりゃ……
このあらすじは本当に物語の序盤だけなのだがツッコミどころが多すぎて、昨今のなろう小説と同類に思えてくる。
東と西に文明の交流がないと、作中で学校の教師から説明が有るのだが、その説明のすぐ後の回において、檀 隼人の身体の一部が北九州市からジャンボジェットで運ばれてくるのである。
しかもこれは序盤におけるほんの一例であり、大人になってから冷静に作品を追ってみると、数々の矛盾点や放置された伏線の数に嫌でも気づくことになるのだが……
もっとも伏線に関しては、途中で路線変更した影響が響いている可能性も有る。
当初の魔界学園は原作担当の菊池秀行氏によると、異能者達が多数存在する世界における学校生活を(エロスとバイオレンスで彩りつつ)描く青春劇にする予定で有り、短いエピソードを積み重ねていく展開を予定していたそうである。(つまり、スケールの大きいジョジョ第4部のようなものか)
実際に、菊池秀行氏は『魔界都市ブルース』という様々な異能者達がおりなす短編集を執筆しており、魔界学園もそういう方向性だった可能性も有る。
とはいえ実際に連載された魔界学園という作品自体は(後半は駆け足だが)ちゃんと結末まで描かれており、個々の(奇想天外な)バトルなどは今でも十分楽しめると思う。
Wikipediaの魔界学園の記事を見てもらえば一目瞭然だが、登場人物があまりにも多すぎて記事一つにまとめるのが辛いので本当にごく一部の紹介に留める。(反転ネタバレ有り)
本作品における主人公なのだが、ある意味もっとも謎の多い人物である。
作品上では17歳となっているが、後に明かされる経歴などから17歳教の信者としか思えない。
また「転校生」として、魔戒十条と呼ばれるものに従って行動しているのだが……
この十条が作中で一部しか明かされなかった上に、隼人自身が作中で本来なら契約破棄につき魔界学園の世界から立ち去らなければならないところを、自らの意思で続行を決断している。
この時の「契約は続行する」は作中屈指の名台詞かつ名シーンであり、同時に隼人が多数の登場キャラクターの心をつかんだ瞬間である。
戦闘スタイルはもっぱら徒手空拳のスタイルで気(闘気)を使って戦う……のだが、ストーリーの展開を追う限りでは魔術などの心得がある節も見受けられる。あるいは転校生という存在自体の持つ固有能力(または転校生としての活動をバックアップする何かの存在)などが備わっているのかもしれない。
でないと作中の様々な描写に理由付けがなされなくなる。
その気の使いにおいては作中でも屈指の存在であり、本来なら連発や溜め無しでは使えないはずの気を連続で使用しているほか、時に性質を変化させて放つなど多様な使い方をみせている。
余談だが、原作担当の菊池秀行氏によると隼人が気を使うのは、主人公は基本近接系だが遠距離の敵にも対応させたいので、当時の流行りだった気の使い手にしたとの事である。
が、借り物のようで落ち着かなかったらしく、結果として隼人は思い出したかのように時々技名を叫ぶキャラになったとのこと。
また作中で明確に描かれてるが格闘術としてボクシングを身につけており、作中におけるボクシング編においては、気の使用なしでも真っ当なボクサーを退けている。(ただし作中のボクサーは異能や、リングにかけろのような必殺パンチの使い手が多々いるので、そういう相手には気を使用して対応している)
ただし普段のファイトスタイルはボクシングスタイルではない。(いわば我流)
他にもハングライダーの操縦なども作中で披露しており多芸である。
性格は一言でいうならクール。特に女性から寄せられる好意に対してはとことん冷淡である。
一方で、漢とか侠気に対してはちょくちょく反応し、女性で有っても覚悟を決めてる相手に対しては素直に称賛している。
また完全に情がないわけでなく、作中で笑みを浮かべたり激しい怒りを表したりと色々な感情を見せているが、泣き顔だけは見せていない。
実は作中の最終盤で明かされるのだが、1万年前に魔界学園の世界に召喚され、この世界の創生神にして破壊神であるイザナギとイザナミを封印しており、その後もあちこちの世界を巡りながらイザナギとイザナミを滅ぼすための方法を探し続けていたのである。
そして、作中で(本当に)たまたま手に入れていた「神殺しの槍」を使い、見事イザナギとイザナミを仕留めてみせるのだが……
同時に隼人自身も道連れにされ死亡してる。(これは隼人が油断していたわけでなく、イザナギとイザナミがそれだけ強力な存在であり、実際に隼人だけでなく最終決戦に同行していたほとんどのキャラクターや世界そのものが道連れにされている)
年齢は不明。初登場時は何故か夜学部に所属しており、授業中に帝校に侵入してきた西の手先により連れ去られる。
その後、連れ去らわれた先にて、下着姿で吊るされるなどの被害を受けるが、駆け付けてきた護衛団と檀 隼人により救出される。
この時、何らかの能力で化石となった恐竜を復活させ(ついでに体内に取り込まれてしまう)ており、何らかの未知の力を持っていることが確認されている。
そして直接助けてくれた檀 隼人に好意を抱くようになるのだが……
つまりめぐみは本作のヒロインであり、魔界学園の本編は未知の力を持つめぐみを狙う西と、それを阻もうとする「転校生」檀 隼人の物語のはずなのだが……
実際には、中盤からは作風の転換により檀 隼人とは別行動になってしまう。しかも別行動中に幾度か命の危機に晒せれており、帝校護衛団「烈鬼」の助けがなければ命を落としていたはずである。
実はめぐみの能力の真の価値を理解し、欲しているのは西の総番である「鬼面」のみであり、東の学生連合にとっては見た目が良いだけの一般生徒としてのみ認識されており、その為にボクシング大会の優勝者に与える景品にされたり、帝校が学連から離脱したさいは粛清対象として他の生徒共々殺されかけている。
性格は一言でいうと紳士。
作中で「挙措において簡素 言語において細心 熱狂において慎重 絶望において堅忍」とヴィリエ・ド・リラダン の『サンチマンタリスム』 に基づく称賛を送られている。
事実、帝校が学連による粛清により一般生徒が無差別に襲われるような時でも、自分の身の安全より友人などの身の安全を優先するなど、作中において描写されている。とは言え、ボクシング編で無差別級優勝者に与えられるプレゼントクイーンに指名された時は、大会の進行に伴い恐怖と不安に押しつぶされそうになるなど、年齢相応の弱さをみせる事もある。
めぐみ本人は気にかけていないが、作中屈指の美少女であり、出場したミスコンには全て優勝しているらしい。
一方で家族の存在が描かれておらず、夜学部に所属していた事から、ミスコンは学費や生活費を稼ぐために出場していた可能性も有る。
作中終盤において、めぐみの能力は蘇生ではなく「過去に存在したものを復活させる能力」であると判明する。
西の総番である「鬼面」の狙いは、破壊神であるイザナギとイザナミに世界を破壊させ、その後にめぐみの能力で世界を都合よく作り直すつもりで有った事が判明する。事実、作中では(都合よく)「鬼面」の思惑通り、イザナギとイザナミは自分たちの滅びの前に世界を壊滅させ、隼人も死亡している。
最後はイザナギとイザナミを倒すものの相打ちとなってしまった隼人を復活させ、その隼人が鬼面を倒したことにより、自らを狙う存在を全て消し去る事ができたのである。(てことは鬼面はどうあがいても詰んでたわけだ)
世界にたった二人だけになっためぐみは隼人に対し、人間を蘇らせてもまた争いを始めるだけ、それよりも私と二人で暮らしませんか?と告白するも、隼人は任務は果たしたからと魔戒十条を持ち出し異世界へと旅立ってしまうのであった。
そして、魔界学園の物語はめぐみが死んでいったキャラクター達を思い浮かべて……といったところで終了する。なので実際に復活させたのかは不明である。(というか能力を使えば隼人自体の複製とかできそうなんだけど)
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最終更新:2024/12/23(月) 11:00
最終更新:2024/12/23(月) 10:00
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