異父兄弟とは、母親が同じで父親が異なる兄弟・姉妹のことである。種違い。
何らかの理由により、一人の女性が二人以上の男性との間にそれぞれ子供を作った場合に生じる関係性である。
普通の兄弟姉妹関係とは一味違った関係性が、現実世界ではドロドロしたいさかいの元となることもある。創作の世界では普通の兄弟姉妹ではないが、完全な他人でもないという奇妙な関係性が物語を盛り上げることも多い。
一夫一妻制がほとんどの国で一般的になっている現代においては、この関係性が生じる状況はかなり限定される。主なものとしては以下のような状況が考えられる。
1のパターンなら兄・姉と新しい父親の仲が良ければ兄弟関係の構築は難しくないだろう。
2のパターンだと、子供が父親・母親どちらについていくかで話は変わる。母親についていった場合、同じ家庭の中で弟・妹ができるが、父親についていった場合、母親が別の家庭を作ってそこで新しい弟・妹を育てているという状況になる。個々の状況は千差万別なため、一概には言えないが、兄・姉が父親の違う弟・妹に複雑な感情を抱くこともあるかもしれない。
より深刻な問題となるのは3のパターン。
女性には妊娠期間があるため、異母兄弟と違って「異父兄弟で同級生」のような事態にはそうそうならないが、それでも母親が浮気を行ってできた兄弟姉妹という存在に対して当事者がどういう感情を抱くのかは想像しがたい。
体外での人工授精が可能となった現代では、何らかの事情を抱えた女性が見知らぬ男性の精子の提供を受けて子供を妊娠・出産することがある。子供が複数欲しいという女性の場合、人工授精の回数が複数になることも当然あるだろう。2回目以降の人工授精に精子を提供する男性が、1回目の人工授精に精子を提供した男性と異なる場合、生まれた子供たちは異父兄弟ということになる。
人工授精で生まれた子供たちが自分たちが人工授精で生まれたということを知れば、おのずと父親にまで興味が及ぶだろう。もちろん母親も精子提供者が異なることは認識しているはずなので、子供たちは年相応になれば自分たちが異父兄弟だということは認識すると思われる。
通常、兄妹あるいは姉弟は弟妹が生まれた時点で同居が開始され、成人するまでの長い時間で兄弟としての意識が刷り込まれ、それゆえに恋愛関係に落ちることは自然に忌避される。しかし、離婚して兄・姉を父親が引き取ったのちに母親が再婚先で弟・妹を作った場合など、異父兄弟は別居して育つこともあるため、兄妹あるいは姉弟という認識を持つことができず、恋に落ちてしまうことがある。
だが、現代では日本をはじめとする多くの国では兄弟婚は認められておらず、それは異父兄弟でも変わりはない。周囲の人間や法律に認められることだけが個人の幸福ではないが、この恋愛を成就させるには相応の犠牲が必要となるだろう。
異母兄弟と比べると、歴史上の異父兄弟というのは取り上げられることは少ない。ヨーロッパでもアジアでも基本は父系制(子供は父親の財産や地位を引き継ぐ)であり、母系制(子供は母親の財産や地位を引き継ぐ)はまれだったのが影響していると思われる。
一方、平均寿命が短かったり衛生環境が良くない時代では、若いうちに夫に先立たれてしまった女性が再婚することも珍しいことではないため、再婚して異父兄弟が生まれることは当然あった。しかし、この場合でも家の相続は父系が優先されるため、異父兄弟同士での争いが起こることはほとんどなかった。
上記「現代の異父兄弟」「歴史上の異父兄弟」に記述した異父兄弟間の複雑な関係性は創作の世界でも使われる。
だが異母兄弟と比べるとその扱いは難しい。まず問題になることとして、異父兄弟が登場する=母親が複数の男性と関係を持ったということであり、どうしてそのような事態になったのかの整合性をとるのが厳しいのである。
単純に、夫が早くに亡くなり再婚した、なら問題はないだろう。が、夫と離婚して別の男性との間に新しい子供を作った、となると兄弟の関係性はこじれ始める。さらに一歩踏み込んで母親が浮気・不倫をして弟・妹を作った、とまでなってしまうと家族関係の破綻や兄・姉の母に対する感情が悪い方向に流れる恐れが出てくる。
これらのマイナス要素を扱う以上、どうしても悲劇やドロドロした人間関係は逃れられないものとなるだろう。
創作の中では魅力的な母親というのはよく見かけるものであり、子持ちの未亡人には独特のエロスが生じることがある。これらのキャラクターと恋愛をし、その間に子供が授かれば異父兄弟・異父姉妹が発生する。
だが、この場合でも、年上ヒロインが未亡人やすでに離婚済であるなら問題ないが、誤って夫のいる人妻に手を出してしまおうものならそこに待つのはやはり泥沼である。
エロゲなどでは子持ちの母親が娘ともども頂かれる親子丼が発生することもある。このときに母親側を妊娠させれば、娘との異父姉弟・異父姉妹の出来上がりである。当たり前だが、この場合も人間関係は泥沼である。
作品名で五十音順。先に書かれているのが兄・姉。あとに書かれているのが弟・妹。兄弟が多すぎる場合は代表者のみ記述する。
そもそも動物には人間のように結婚という制度が存在せず、発情期ごとにメスは異なるオスを相手にできる。
また、群れの頂点に立つオスのみがメスと繁殖できるという形態の動物でも異父兄弟は成立する。
例えば、ライオンの群れは一頭のオスが複数のメスを従える形で成立しており、オスは複数のメス相手に繁殖を行う。生まれた子供は成長するとオスだったら群れを離れ、メスだったら新たな群れのメンバーとして母親たちに加わることになる。しかし、群れの頂点のオスライオンは時折外部からくる新たなオスライオンに取って代わられることがある。群れを乗っ取った新しいオスライオンは群れのメスと繁殖を行い、新たな子供を作る。この時にすでに娘が群れのメンバーとなっている母親ライオンと繁殖を行って生まれた子供は以前からいるメンバーとは異父兄弟ということになる。
一方、人間の飼育下においても異父兄弟が生産されることもある。わかりやすいのは競馬に使われるサラブレッドである。サラブレッドは妊娠期間が約340日と非常に長く、一年に一度しか出産のチャンスはないが、種付けするのが毎年同じ種牡馬とは限らない。違う種牡馬によって種付けされた場合、それは異父兄弟ということになる。ちなみに、競馬の世界では父親が同じだけでは兄弟とみなされず、母親が同じで初めて兄弟とみなされるという習慣がある。
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最終更新:2024/12/23(月) 10:00
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