武器物語2とは、PS2用ゲーム「ドラッグオンドラグーン2」に登場する武器に付随する物語である。
ここでは、ROD(杖)について列挙する。
ネタバレ故、ご注意召されよ。
今から十八年前……。
少女は暗い森の中で佇んでいた…。
母に捨てられた少女。
母への想いは次第に歪み、狂気へと変貌する…。
“神”は彼女の狂気に魅入り、媒介として世を制することを託した。
そして…暗闇の中で赤く灯る瞳…。
赤き瞳の少女は世界に混乱を招く。
崩れゆく世界に心を癒される少女。
しかし、その至福の時も、ある“男”の剣によって奪われる。
世は治まり…男は少女を連れ贖罪の旅に出る。
己の罪に目を背ける少女……だが男はそれを許さなかった。
ある日、男は突然に空を見上げた。
男の瞳には激しい憎悪があった。
いったい何があったのだろう…少女にはわからなかったが、隙を見せた男に隠し持っていた短剣を突き刺した。
咄嗟に払われる幼き身体。
次の瞬間少女は谷底へと消えていった……。
数年後…彼女は“赤い記憶”を失いとある貧しい村で暮らしていた。
そこで彼女は、人々を苦しめ続ける封印騎士団の存在を知る。
そして…皮肉にも嘗て世界を混乱に陥れた少女は世界を救うために杖を握る…。
再び……封印崩壊のために……。
かつて、封印騎士団団長オローが健在だった頃、
気炎の直轄区の守りを任され、火炎の賢者と呼ばれた魔道師がいた。
オロー団長の良き理解者でもあり、親友でもあったその魔道師は、
気炎の地をその偉大なる魔力によって、清浄に保っていた。
しかし、オロー団長が敵の刃に倒れた後、次期団長との対立により封印騎士団を離れたその魔道師は、
気炎の地にて、圧政に苦しむ人々の為に、尽力を注いだ。
飢えに苦しむ人々に食料を買い与える為、売れるものはすべて売り、己の魔力を引き出す為の武器さえも売り払い、
最後には餓死したという。
かの地に武具の名匠あり。
神に弄ばれる世界を憂い神の力に打ち勝つ武具を生み出すことを決意す。
神に抗うは、封印の力。
封印の力、即ち女神の力。
名匠は女神の力を武具に封入す。
かの女神は、堕落した愛に生き因果に死した女神。
気高き女神。
かつて偉い僧侶が、聖典を受け取る為に、三人のお供と共に、遥か西の国を目指し旅立った。
旅の途中、立ち寄った村には、施しを行い、またある時には、人々を苦しめる魔物の退治なども行った。
お供の一人であった、この杖の所持者は、魔物退治を得意とし、
その強大な力で僧侶を守護しながら西の国を目指した。
遂に辿り着いた西の国で、聖典を受け取った僧侶は、お供のものに感謝し、それぞれに相応しい“名”を贈ったという。
かつて魔術が栄えた時代、戦いの動向は軍の魔術師が握っていた。
魔術の効果には杖の力が関わっており、杖を巡って戦いが絶えなかった。
特に、更なる昔、古代の付与魔術師により造りだされた杖には、失われた大魔術が封印されているものも多かった。
ある魔術師が遺跡から一本の杖を見つけ出した。
彼の魔力自体はそれ程の力はなかったが、その杖の魔力は計り知れぬもので、
彼はその杖の力で軍の要職に就き、一年も経つと将軍直属の魔術師となっていた。
彼の赴く戦いは負けを知らず、彼の発言力は次第に大きなものとなっていたが、事件は起こった。
彼が杖を発見した遺跡から、全く同じ杖が何本も発見されたのだ。
杖は各国に出回り、戦いは凄惨なものとなっていった。
杖の力で地位を得た彼は、自らの力を高める努力を怠っていた。
戦いにおいて各国の魔術師は、修行の成果と杖の力を存分に発揮し、彼が赴いても勝てなくなっていった。
年明けの人事で、年十回程であった参戦を、各地を転戦し、毎戦参加するよう言い渡された。
既に彼は、ただの一兵士だった。
彼の晩年はこうして始まった。
北の港の 小さな酒場
綺麗な娘が 訪れた
透き通る肌 透き通る声
酒場の男は 皆惚れた
杖を片手に 身軽な姿
店主に一言 ここで歌うわ
娘に会おうと 男は集まり
ほどなく店は 賑わった
娘は歌った 美しい海
男は聴いた 美女の声
娘に恋した 男らだったが
返して一言 あなたじゃないわ
ひと月ほど経ち 娘の酒場に
旅する少年 やってきた
無垢な瞳に 端正な顔
何より笑顔が 魅力的
娘は悟った この人しかない
彼に一言 あなたに決めた
明くる日娘は 少年と消え
部屋に残った 杖・手紙
杖はお礼で 行き先は海
どうやら娘は 海の精
優しい男ら 笑顔で言った
それならそうと 言えばいいのに
ある国の大臣が、疑い深い王に逆賊の汚名を着せられ、処刑された。
一族も皆処刑されたが、大臣の幼い息子を不憫に思った処刑人が、王に虚偽の報告をして逃した。
美少年に成長した大臣の息子は、市場の商品を盗んでは売りさばく泥棒生活を送った。
時には捕まって袋叩きにされることもあったが、王への復讐を夢想すると、苦痛すら甘美だった。
やがて少年は貯めた金を賄賂として王宮に仕官した。
その中性的な美しさから、少年が王の目にとまり、寵愛を受けるようになるのには時間はかからなかった。
ある夜、少年は本懐を遂げようと、父の形見である刃の仕込まれた杖を長衣に隠して、王の寝所に向かった。
しかし、少年の額から流れ落ちた汗を不審に思った王の警護に包囲されてしまう。
杖で喉を突き、自刃した少年の目には、高笑いする王の姿があった。
その美しさと引き換えに数奇な運命を歩んだ封印騎士団のヤハが、
この美少年の杖を手にしたのは必然だったのかもしれない。
遥か東の国に精霊と契約し、悪霊と戦う術師を王とする一族がいた。
王は普段から滅多に姿を見せず、悪霊の災いが激しくなると、長期に渡り国に戻らぬため、
王の顔も知らぬ民も少なくはなかった。
そんな民の中に錫杖を持って敵を薙ぐ諸国にも名高き女兵士がいた。
ある年の桜の咲く時期の祭で、その女兵士が錫杖による演武を王の前で披露することになった。
王も女兵士もお互いを知ってはいたが、姿を見るのは初めてであった。
二人はお互い一目で魅かれた。
王は初めて出会うその女兵士に、女兵士は初めて出会う王に。
女兵士は代々伝わる錫杖の先端の輪を刃に換え、より一層王に尽くした。
王もまた民のために術を尽くして悪霊と対峙した。
しかし、悪霊の災いは激化する。
町や村はことごとく滅び、一族の都も遂に落ちることとなってしまう。
女兵士と王は、最後まで抵抗したが、明朝荒れ果てた宮殿には女兵士の錫杖のみが残されていた。
錫杖には短い詩が彫られていた。
ある名もなき寒村に、北の島国より司祭が訪れた。
千里を見通す大賢者と呼ばれた彼も、この遠方の地ではただの旅人でしかなかった。
しかし彼らは、遠くからやってきた司祭を歓迎し、手厚くもてなした。
村人の心遣いに心打たれた司祭は、お礼として、一振りの杖を贈った。
奇跡の力を秘めたこの杖で、今より豊かな生活を送ってほしい。
司祭の贈り物を喜ぶ村人を見ながら、司祭は村に幸せが満ちることを祈った。
しかし村人達は、腰の悪い旅人にあっさりと杖を譲ってしまった。
それを聞いた司祭は、村人達がすでに幸福であったことを悟った。
この杖に嵌められている石は稀代の魔術の才能を持っていた少年の魂を宿している。
彼は平穏に人間として生きていくことに満足せず、
より高みを目指し全魔力をもって自ら石化し、その存在を永遠のものとした。
ある時彼は自分を手にした元老が美しい女性であることを知った。
彼は彼女をたいそう気に入った。
だが、月日は流れ彼女は老い、死んでいった。
彼の気に入っていた街並みも家も好んだ木々の色彩も年が重ねられる毎にその姿を変えていき、
やがて不毛の時代が訪れ、彼は悲しみに包まれた。
彼は人々の幸せを見守ることができるのと同じくその幸せがもろくも崩れ去ることも、
そしてその繰り返される悲しみもずっと見続けなければならないのだ。
そして、すでに石と化した彼にはそれに手を差し伸べることもできず一人、泣き続けなければならない。
永久を求めた結果の苦しみからいつ、少年は解放されるのか。
永久の中で永遠に刻まれていく時間は、彼を癒してくれるのだろうか。
あるいは、あなたが彼を眩しい光へと導いてくれるなら。
痩躯の魔術師の骨と皮で作られている杖。
魔術師は多くの弟子を抱える高名な人物であった。魔術師は老い、自らの後継者を弟子の中に求めた。
弟子の中に、鷹のように鋭い目を持ち、類希なる魔の才を持つ青年がいた。
魔術師は青年を後継者と定め、持てるすべての術を伝授した。
青年は半年と経たぬ内にすべての術を極めた。
魔術師は大いに喜び、隠居の時まで青年に弟子の指導を手伝わせた。
青年は指導のかたわらに次々と新しい術を生み出していった。
やがて、弟子達は魔術師よりも青年から術を学ぶようになった。
魔術師は自らの世代が去ったことを悟り、青年に後事を託そうとした。
しかし、青年は丁寧に申し出を断った。
青年は旅に出、更なる術を求めるのだという。
その言葉を聞いた途端、魔術師は秘めていたすべての感情が爆発した。
…妬み、嫉み、愛おしみ…
魔術師は知りうる最凶の呪を青年にかけたが、魔術師を遥かに超えた青年は、簡単に呪をはね返した。
魔術師は全身の肉と臓物が溶け、腐敗した血と共に吐き散らして絶命した。
…骨と皮だけを残して。
その魔術師には語り合える友が一人もいなかった。
別に魔術師が、人間嫌いだったわけではない。
少し知識をひけらかす癖があったが根は悪い人間ではなかった。
だが、彼と交流を持った人達は、次第に彼の元から去っていった…。
ある日、魔術師に原因不明の病が発症する。
熱は上がり続け、動悸も激しく、手足は痛み、眩暈も起こりまともに歩けない。
自らに魔法を施したが、全く効果も見られず…。
傍らにあった愛用の杖を手に、魔術師は村の薬屋に向かった。
ようやくのことで薬屋に辿り着く。
そして、自分の症状を説明した。
「今、我が身におけるさまざまな症状は常人が知り得る定義の範疇をすでに逸脱し、尚且つ我が研究結果をも超えた驚愕なる事実、つまり…」
薬屋は首を傾げた……。
結局、話が通じず薬を貰えなかった魔術師はそのまま息絶えた……。
大事なことは、詰め込んだ知識を、ただ垂れ流すことではなく、万人にわかる言葉で伝えること。
それに気づけば、ただの食当たりで彼も死ぬことはなかっただろう…。
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最終更新:2025/01/03(金) 22:00
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