中堅とは (チュウケンとは) [単語記事]

中堅とは、もともとは軍隊などで、大将に直属する精鋭部隊のことを指す言葉であった。

現在では、各分野において様々な意味を持つ言葉として使用されている。

概要

スポーツにおける「中堅」

剣道や柔道などの団体戦で、5人のうちちょうど真ん中に当たる3番手に出てくる選手を指す。
前二人が連敗しているときはもちろん、連勝しているところで負けると流れが変わってしまう恐れもあると、いろいろな意味で責任の重い出番でもあるため、ある程度経験を積んだ実力のある選手を置くことが多い。

野球における中堅は「中堅手」を参照。

キャリアにおける「中堅」

会社組織や特定分野の業界においても「中堅」という言葉はよく使われる。一般的には社会人となってから高卒で15～20年、大卒で10～15年あたりを指すことが多いが、職業分野によってまちまちである。
例えば選手寿命が短いプロスポーツであればキャリア10年を超えると中堅世代を終えてベテラン扱いされることがある反面、落語界など中心となる人物の年齢が高い業界では40代後半になってもなお中堅扱いされることがある。

しかし、年齢に差異はあれど、いずれの場合も「その世界で学ぶべきことをひと通り学び終えた段階にあり、これから自分自身が吸収してきたものを発揮したり、応用していく段階に差し掛かった世代」を指す言葉であるという意味では共通認識が持たれているものと言うことができる。

企業における「中堅」

会社そのものにおいても、「中堅企業」という表現はよく使われる。中小企業よりもさらに発展・拡大した企業であるが、大手企業と比較すると規模が小さく、企業体質がやや弱いかわりに今後の発展性を残している、中小企業的な柔軟な発想が残されているなどの特徴を持った企業を指すことが多い。

会社規模で言えば、業界によってその線引きは異なる。中小企業基本法を参考にすると、

小売業：資本金5,000万円、従業員50人
サービス業：資本金5,000万円、従業員100人
卸売業：資本金1億円、従業員100人
製造業、その他：資本金3億円、従業員300人

とされているが、業種ごとに基準が異なるのはややこしい、という理由で、
法人税法上の特例適用区分や各省庁の企業規模別統計を参考にすると、もっと単純に

「資本金1億円超～10億円未満の企業」

を一般的に「中堅企業」と定義付けることができる。

例を挙げると、「ガリガリ君」で知られる赤城乳業や、「金鳥」のブランドで知られる大日本除虫菊などがこのあたりの規模の会社であり、みんなによく知られている中堅企業の代表格と言うことが出来るであろう。また、この定義をそのまま当てはめると関西テレビ、名古屋テレビなどラジオ放送局を持たない準キー局や地方中枢都市圏のテレビ局も中堅企業の範疇に含まれることとなる。
他にもクックパッドや価格.comなど比較的大規模のインターネット関連事業や、比較的規模の大きい中小私鉄（秩父鉄道、関東鉄道、アルピコ交通など）も中堅企業の一つに挙げられる。
その他会社法では資本金5億円以上または負債額200億円以上のいずれかを満たせば、従業員数がどんなに少なくても「大会社」と扱われる（現に従業員数が6人の大会社といった企業も実在する）。

なお、法律上や産業分類上では「中堅企業」という区分はなく、資本金が1億円超の中小企業（いわゆる「中の上」）と10億円未満の大企業（同じく「大の下」）を一括りにしたものが「中堅企業」の概念である、と言うことができる。

その他、企業のIT化をリサーチする会社・ノークリサーチでは企業規模の判定をさらに単純化し、業種区分無しの純粋な売上高のみに着目した区分を適用しており、

「年商50億円以上～500億円未満の企業」

を中堅企業と定義づけている。

リサーチの際にはさらに細かく、年商100億円未満の企業を「中堅L」（＝中小企業に近い中堅企業）、同100億円以上300億円未満の企業を「中堅M」、300億円以上500億円未満の企業を「中堅H」（＝大企業に近い中堅企業）と区分しているが、このような売上高だけで見た区分であってもそれぞれの属性における企業のIT化の進展度に明確な違いが現れている、というデータが示されている。

同人業界における「中堅」

いわゆる「中堅サークル」のこと。「中手」とも表現される。大手サークルほどではないが、一定のジャンルの同人誌をある程度の部数（コミックマーケットの場合、同人誌1種類あたり数百部～1000 部未満）を毎回安定して頒布している規模のサークルを指す。壁配置とまではいかないものの、島角（お誕生日席）の常連さんであることも多い。