リキュールとは、混成酒の一種で蒸留酒(スピリッツ)に果実などの風味を移して砂糖などで味を調整したものである。
リキュールはそもそも蒸留酒が薬酒として用いられていたことから端を発する。薬酒として用いられていた蒸留酒に薬草などを漬け薬としての効果を高めようとした時に現在に至るリキュールの開発が始まった。錬金術士が追い求めた幻の霊薬「エリクサー」の研究もリキュールの製法が取り入れられていたと考えられている。
この薬としてのリキュールは修道院などの施設でも製造が行われた、これは医療が未発達であった時代宗教施設がその代替を担っていたからでもある。14世紀黒死病の大流行の頃にはじまった修道院でのリキュール製造は各修道院でレシピの研究が盛んに行われ、現在でもシャルトリューズと言うリキュールはシャルトルーズ修道院の三名の修道士しか製法を知らない秘伝のものとして扱われているなど、ヨーロッパにおいてはこの修道院系のリキュールは大事にされており、薬草系のリキュールの開発が盛んである。
リキュールが嗜好品としての性格をはっきりと持ち始めるのは15世紀頃で、薬(リキュール)を飲まない患者に困った医者が、飲みやすいようにバラの花で香りづけしたところこれが広まったのがその始まりだと言われている。
日本におけるリキュールの最も代表的なものは梅酒であろう。リキュールは日本の酒税法では「酒類と糖類その他の物品(酒類を含む)を原料とした酒類でエキス分が2度以上のもの(清酒、合成焼酎、しょうちゅう、みりん、ビール、果実酒類、ウイスキー類、発泡酒、粉末酒を除く。)」というふうに定義されている。しかし、一般的にはリキュールに含まれないチュウハイなどの商品もリキュールに分類されてしまう。例えば第3のビールの一つである『金麦』もリキュール(発泡性)①に分類されている。
一般的なリキュールの製造法としては、蒸留酒に副材料を漬け込むもの(梅酒など)、蒸留酒または水に副材料を混ぜそれを蒸留し香味成分を取り出すもの、蒸留酒にエッセンスオイルを加えるもの、蒸留酒を副材料の間を何回も循環させることによって香味を移すもの等がある。
主原料の蒸留酒は主に癖の少ないものが用いられる。ウォッカなどはその代表であり特にスピリタスは生産国のポーランドではそのまま飲まないと言われるほどよく果実酒の製造に使われる。しかしウイスキー・ブランデー・ジン・焼酎など個性の強い酒をベースに用い、その特長を活かしたリキュールも各国で盛んに作られている。
副材料としては元々は香草・薬草・スパイスなどがメインであったが、現在では果実・ナッツ・種子類、果ては卵(関連商品のアドヴォカート)にヨーグルトにクリームにと割と何でもありな感じである。
また、EUの基準に「1リットルあたり100g以上の砂糖」(250g以上あると「クレーム・ド・~」とつけることが許される)、アメリカの基準に「2.5%以上砂糖を含む」とあるようにリキュールにおいて砂糖の添加は非常に重要である。
リキュールの楽しみ方として重要なものにカクテルがある。また、上記のように糖分が高く甘いことから菓子類に用いられることもある。ことにクリーム系やコーヒーリキュールなどはアイスクリームにかけると絶品である。
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最終更新:2024/12/24(火) 00:00
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