インプレゾンビ 単語

インプレゾンビとは、Twitter（現X）にて閲覧回数（インプレッション）を稼ぐために注目度の高いツイートやトレンドにゾンビの如く湧いて出るアカウント群の俗称である。

概要

X(旧Twitter)は2023年8月に「広告収益分配プログラム」を開始した。これはXプレミアムに加入しているユーザーが投稿の閲覧数に応じて収益を得られるというもので、プログラムが開始されると、閲覧数（インプレッション）が多い投稿に適当な内容のリプライをする、転載をする、トレンドに入ったハッシュタグを付ける、といった方法で手っ取り早く閲覧数を稼いで収益を得ようとする者が現れた。これがインプレゾンビと呼ばれている。

インプレゾンビアカウントは人力やBot、AIなど様々で、書き込み内容としては、ただただ絵文字を並べただけの物、対象の書き込みについていたリプライや引用ツイートを参照してコピペしただけの物、トレンドワードを切った張ったしただけの不自然な文脈の物、トレンドワードを含む人気のツイートを参照してコピペしたものなどがある。

現状、書き込みの大半は短い短文の連投や変な日本語、対象の書き込み内容からズレた内容の物が多いので見分けはつけやすい。
だが、上記のうち「リプライや引用ツイートをコピペしたもの」や「トレンドワードを含む人気のツイートをコピペしたもの」は「コピペ元のツイートは人間が投稿している」のでインプレゾンビがコピペ投稿するものも自然な文面かつ文脈に沿ったものになってしまうので、投稿される文面や文脈のみから見分けるのは困難である。

文面・文脈以外の点では、ユーザーアイコンが外国人の写真、ユーザーネームが外国の人名であったりといった特徴があるインプレゾンビアカウント群もあり（こういったアカウントを運用する人物がその国の外国人であるためと言われる）見分ける助けにはなる。とはいえこちらもアニメアイコンや日本語ユーザーネームで擬態したりする例もあるため確実ではない。

さらにはChatGPTを使って「コピペではない」文面をも自然なものに擬態するなど巧妙化しており今後見分けがつけにくくなるかもしれない。

この進化の様は「人の声を真似る化け物」「言葉を真似して人を襲う魔族」などと喩えられることもある（後述）。

これらインプレゾンビの収益は日本円にして月1万円程と言われている。
たかだか1万円でと思うかもしれないが国外にはそれでも大金である国も多くある。
2024年2月時点でインプレゾンビの拠点とされているパキスタンの年収は都市部のエリート層の平均年収で月2〜4万円程度、十分稼ぎとして成立してしまうのである。
今後の対応次第では他の国でも同様の事が行われるようになってしまうかもしれない。

一応、悪質な閲覧数稼ぎと判断されると収益が支払われないとの噂もあるが定かではない。

※2024年11月8日以降は収益の算出方法が変更されるため、インプレゾンビの減少が期待される。^[1]

問題点

インプレゾンビが湧くと無関係な絵文字や書き込みに有用な情報や補足情報などが押し流されてしまったりトレンドが汚染されて本来の情報にたどり着けないなどの問題がある。

また、令和6年能登半島地震の際は地震関連のトレンドにインプレゾンビが湧き、実際の要救助者の投稿をコピペした投稿や、更にそこから改変した書き込みが投稿されたり、無関係な映像や東日本大震災時の映像などが投稿され、本当に救助が必要な人の情報が錯綜するなどの問題が起きた。

かねてから問題視されていたが、上記が原因で各種報道機関や政府関係者に取り上げられる程の問題になった。

初出や広まった経緯に関して

「インプレゾンビ」という言葉自体はTwitter上で遅くとも2015年中から使用されている。だが、この時の「インプレゾンビ」という言葉は本記事で指すようなbotアカウント群を指すものではなかったようだ。

本記事で扱うような意味合いに近い「インプレゾンビ」のX上での初出はおそらく2023年8月16日の投稿であろうか。

また、インプレゾンビという言葉を広める一助になったと思われるのが、BirdHatter氏による2023年8月31日の以下のツイート。漫画内に「自動リプライインプレ稼ぎゾンビ」という言葉が出ている（「インプレゾンビ」という文面そのものではない）。パニックホラー物のゾンビの如く大量に湧いて出る様子を風刺したこの漫画は多くの共感を得たよう。

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https://twitter.com/BirdHatter/status/1697036479657390584

さらにBirdHatter氏はこの投稿以後も「インプレゾンビ」という言葉を何度も投稿している。「インプレゾンビ」という言葉を含むXへの投稿のうち、最初期に100回以上のいいねを得た投稿と、最初期に1000回以上のいいねを得た投稿は、いずれもBirdHatter氏によるものであったようだ。同氏が「インプレゾンビ」と言う言葉の定着に大きく影響したことはおそらく間違いない。

また、漫画家・イラストレーター・小説家の「榎宮祐」氏のXアカウントも2023年10月にインプレゾンビに対する怒りを表明するツイートを何度か行っており、その中には「インプレゾンビ」を含むX投稿として最初期に1000回以上リポストされた投稿も含まれている。同氏もこの言葉の定着に影響したと伺われる。

2023年10月31日には、当時人気のあったアニメ『葬送のフリーレン』のスクリーンショット画像とともにインプレゾンビを「言葉を真似して人を襲う魔族」と喩えるツイートがなされ、数千回の「いいね」「リポスト」を得ている。

いらすとや

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https://twitter.com/irasutoya/status/1767042745892552724

まさかの「いらすとや」にインプレゾンビのイラスト素材が追加された。

スマートフォンを持ったゾンビのおでこには認証マーク、TシャツにはXのロゴの様な物が書かれており、まさしくインプレゾンビという言葉そのままといった風貌である。

インプレゾンビのイラスト

魂を取り戻したゾンビ達

2024年5月頃から、あるユーザーがインプレゾンビ達へ「あなたの日常を日本語で投稿しなさい」と呼び掛けたことにより、ゾンビ活動を止め普通の投稿をする者達か現れ始めた。

その土地でのポピュラーな食事、近所の風景、日常的に行う習慣など、内容自体は日本人が日本語ですればいいねが付かないくらい平凡なものであった。しかし、迷惑行為を止めたこと、ゾンビ達にも日常があること、呼び掛ければ友好的に接することができると分かったことが、機械翻訳のたどたどしさや遠い異国の情緒と折り重なり大いにウケてブームとなった。収益としても単純なゾンビでは成し得ないような額になっていることだろう。

現在は特にナイジェリアのXユーザーの投稿が多いようである。日本語を勉強しているナイジェリア人やナイジェリアメシを再現する日本人など交流も増えつつある。

これらは異文化交流として画期的な現象ではあったものの、最初期だからこそ単純な投稿でも話題になっただけの人も多く、人気を維持するにはそれなりに面白い投稿を続けなければならないこともあり交流を辞めて楽なゾンビに戻る者も少なくない。

さらに、日本人がそのうち飽きてしまう可能性、イーロン・マスクの気分で収益構造が突如変わってしまう可能性など不安定な要素があまりにも多い。この異文化交流の蜜月は長続きせず自然崩壊するとも予測されている。

対策

いずれも大量に湧いて出る状態なので現状だと完全な対策は難しいが
自分の投稿にインプレゾンビが湧いたらその書き込みの三点リーダー(…)から「返信を非表示にする」を選択すればその投稿を非表示に出来る。
先に自分がブロックしてしまうと他の人からは普通に見えてしまうしリプライ欄に残ってしまうので
出来れば非表示にしてからブロックするのが望ましい。

リプライ欄の返信できるアカウントを自分がフォローしている相手や自分がメンションを付けた相手のみに絞るのも手ではある。

トレンドに投稿しているタイプのインプレゾンビはブロックしてしていけばある程度は表示されにくくなる。

また、多くのユーザーがスパム報告を行うとそのアカウントが凍結されやすくなるはずである、という予測の元にスパム報告を推奨する声もある。

関連動画（対策あり）

関連リンク

• 偽の救助要請など能登半島地震の偽情報 海外からの “インプレゾンビ”多く X収益化仕組みが影響か | NHK | 令和6年能登半島地震
• 令和なコトバ「インプレゾンビ」　報酬狙いで湧いて出る - 日本経済新聞
• 「インプレゾンビ」がまき散らす偽情報に注意 - 鈴木朋子の【お父さんが知らないSNSの世界】(109) | マイナビニュース

関連項目

• Twitter
• スパム
• 荒らし
• bot
• デマ

脚注

1. *Xがインプレゾンビ対策。返信の広告表示は収益対象外に 2024.10.11