<無花果>または<映日果>と書く。映日果はペルシャ語anjirに由来し、これを中国語で音写した形が映日果である。日本語のいちじくという読みは、映日果の古い発音が転訛したものといわれる。
基本的にはいちじくは<無花果>と書くことが多いが、これは花を咲かせずに実を付ける果物というニュアンスを持つ漢語からである。また他にも、蓬莱柿、南蛮柿などと海外から来た果物という意味合いの言葉が付けられた。
果実は糖分が多く、とにかく甘い。生食のほか、乾燥させて食べることが多く、加工品に適している果物である。そのため、乾燥させてチップスにしたり、パンやケーキに挟んだり、ジャム、スープやソースの原料にもなる。世界的に生産が多い国は、エジプト、トルコ、イランと中東近辺で、特にイラン産とトルコ産が有名。ビタミン類などが豊富なので美容効果を標榜している一方、漢方にも使われるなど薬用効果が高い植物としても知られている。
また、アダムとイブの旧約聖書の伝説で、実際イブが食べてしまった禁断の実の正体は、リンゴではなくイチジクという説がある(後にイチジクの葉で隠したのもそれとつながり、またミケランジェロはイチジクを描いている)。
品種では桝井ドーフィンが国内流通の主流であり、8割がこの品種である(ドーフィンという品種を広めたのが桝井という人だからそう呼ばれるようになった)。
日本では主要作物にこそ選ばれていないが、それ以外の特産果樹では特に生産量が多い部類に入る(特に、近年は生産量が増えているため、一部の主要作物より生産量が多くなっている)。鮮度が重要視されるために、大都市圏に近い場所が産地として発展している特色がある。とりわけ、産地として知られるのは愛知県の知多半島と西三河であり、ここが日本一の産地となっている(安城市、碧南市、常滑市など)、続いて和歌山県(紀の川市)が2位、そして大阪府(羽曳野市、河南町)、兵庫県(神戸市、川西市。川西は桝井ドーフィン発祥地)、福岡県(行橋市)(この3県はしょっちゅう順位が入れ替わる)と続く。
とりわけ、関西では京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山のいずれも全国10位以内に入っており、いちじくの名産地が多い。いちじくは高温多湿を好み、寒さや乾燥を嫌うのと、土壌がそれに適応していること、更に大阪府から始まった休耕田の有効活用としていちじく栽培が広まったのもある。関西では羽曳野市、川西市、大和郡山市、城陽市など朝採りいちじくを出荷しており、旬のシーズンにはそれを買って楽しむ習慣もある。
他の果物生産額が年々減少を続けていく中で、数少ない生産量を伸ばしていた(ピークに比べると今は下降気味)果物であり、その理由は広大な土地を必要としないために育てやすく、比較的高値で取引されていたからである。しかし、関西方面を除いて、50代の女性にしか売れていない市場調査があり、もっと消費者の裾野を広げていくことが課題となっている。
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最終更新:2024/12/22(日) 13:00
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