98MATE単語

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98MATEとは、NEC(日本電気)が販売したPC-9821 シリーズのデスクトップモデルブランドである。

概要

※PC-9821としての概要は、同項目を参照。

98MATEは、1993年にPC-9821 シリーズのデスクトップモデルとしてラインナップされ、Windowsでの利用を前提とした強化が図られた。
特に大きかったのは、WindowsでのGUI 環境の表示を高速化するウィンドウアクセラレータの搭載である。
標準搭載されていたEGCおよびPE GCでは、ウィンドウの表示切り替えに時間がかかる上に発色数、解像度も劣っていた。そこでウィンドウアクセラレータを搭載することによって、AT互換機に負けない操作環境を提供することに成功した。

1994年にはインテルによってPCI バスが提唱されると、それに対応するチップセットを含めて搭載するようになった。その後はBIOSやPC-98 シリーズ独自の機能が一部残されている以外はAT互換機と大差ない構造になっていった。
それと並行して、当初のPC-9821 シリーズの規格の一部はオミットされていった。

1997年にNECがPC98-NX シリーズを発表すると、98MATEは主流から外れ、一部のユーザーを対象としたモデルとなった。
最終的に2001年に最後のモデルが発表され、2003年で生産を終えた。

基本スペック

PC-9821としてスペックをほぼ保っていたのは、98MATE Aシリーズと98MULTiのみであった。
それ以外は一部の仕様を満たさなかった。

グラフィック：640×480ピクセル　1677万色中256色、640×400ピクセル　1677万色中256色/4096色中16色
サウンド：FM音源ステレオ6音＋SSG音源3音＋ADPCM音源1音
拡張バス：Cバス（16ビット）、32ビットローカルバス（MATE Aのみ）

MATE Aシリーズ

98MATEのフルスペック機であり、後述するMATE XにPCI バスが採用されるまではフラグシップとして販売された。
最大の特徴は、32ビットローカルバスを内蔵したことと、PC-9801 FAで採用されたファイルスロットを搭載していることである。ファイルスロットは、ケーブルの接続をしなくても装着するだけで周辺機器を利用できた。

PC-9821 Ap / As / Ae

98MATE初代モデル。後のモデルとは異なり、PC-9801 シリーズ同様に14.6MBまでのメモリー制限があった。
当初はWindowsのプレインストールはなく、ウィンドウアクセラレータもオプションだったが、後にWindows 3.1 プレインストールモデルが出ると、ウィンドウアクセラレータはローカルバス用ボードとして組み込まれた。

CPU：i486 DX2 66MHz(Ap)/i486 DX 33MHz(As)/i486SX 25MHz(Ae)
RAM：1.6MB(FDDのみモデル）、3.6MB(HDD搭載モデル)、5.6MB(Windows 3.1 プレインストールモデル)
ウィンドウアクセラレータ：S3 86C928(VR AM 1MB、Windows 3.1 プレインストールモデルのみ標準)

PC-9821 Af

世界初のPentium プロセッサ搭載モデルとして発売。しかし60MHzで５Vモデル（P5 コア）のため、後の3.3Vモデル（P54Cコア）への交換、アクセラレータの交換が出来なかった。
このほか、PC-9821 シリーズとして初めてメモリーの14.6MBの壁を突破した（79.6MBまで）。

PC-9821 Ap2 / As2

メモリーの制約が緩和され、HDD内蔵モデルにはウィンドウアクセラレータチップが標準搭載された。一部機種にはCD-ROM ドライブが組み込まれた。

CPU：i486 DX2 66MHz(Ap2)/i486 DX 33MHz(As2)
RAM：3.6MB(FDDのみモデル）、5.6MB(HDD搭載モデル)、7.6MB(C9T)
ウィンドウアクセラレータ：S3 86C928(VR AM 1MB、HDD モデルのみ標準)、
Matrox MGA-II(VR AM 2MB、C9T)
CD-ROM：倍速（C9W、C9T）

PC-9821 An

P54CコアのPentium 90MHzを搭載。最大メモリー搭載量は127.6MBに拡大した。

PC-9821 Ap3 / As3

MATE Aシリーズ最後のモデル。CPU、グラフィックが強化されたこと以外には特に大きな進歩はなく、以降はMATE Xシリーズに引き継がれた。

CPU：intel DX4 100 MHz(Ap3)/i486 DX2 66MHz(As3)
RAM：3.6MB(FDDのみモデル）、7.6MB(HDD搭載モデル)
ウィンドウアクセラレータ：S3 Vision 864(VR AM 2MB)
CD-ROM：倍速（HDD搭載モデルのみ）

MATE Bシリーズ

Windows 3.1の発売後に登場したもので、廉価版に位置づけられた。
PC-9821であるものの、グラフィック機能はPC-9801と同じ、サウンド機能、ファイルスロットも搭載されず、PC-9801 シリーズに毛が生えた程度の仕様になっている。
ただし全機種に5インチファイルベイが搭載され、ロースペックであるものの、ウィンドウアクセラレータチップが内蔵されていて、Windowsの表示環境には最低限対応した。
後にMATE Xシリーズに置き換えられた。

PC-9821 Bp / Bs / Be

CPU：i486 DX2 66MHz(Bp)/i486 DX 33MHz(Bs)/i486SX 25MHz(Be)
RAM：5.6MB
ウィンドウアクセラレータ：シーラス・ロジック GD5428(VR AM 1MB)

PC-9821 Bf

Pentium プロセッサ60MHz搭載。メモリーの搭載量は7.6MBとなり最大搭載量も増やされている。

MATE Xシリーズ

1994年に発売され、MATE Bシリーズに比べてWindowsでの利用に必要な機能を強化している。
グラフィックでは640×480ピクセルでのDOS表示は省略されたものの、PCM音源が標準搭載された。
ウィンドウアクセラレータチップもMATE Aに匹敵する高性能なものを採用した。

PC-9821Xf/Xa/Xtでは、PCI バスを採用し、AT互換機と同様の拡張カードを使用することが出来た。
その後MATE Aシリーズは廃止され、PCI バス搭載のXa シリーズがメインストリームとなった。

PC-9821 Xn / Xp / Xs / Xe

MATE Xシリーズで唯一、PCI バスを内蔵していないモデル。

CPU：Pentium 90MHz(Xn)/Intel DX4 100 MHz(Xp)/i486 DX2 66MHz(Xs)/i486SX 33MHz(Xe)
RAM：5.6MB（XP/Xs/Xe）、7.6MB(Xn)
ウィンドウアクセラレータ：S3 Vision 864(VR AM 2MB)、シーラス・ロジック GD5430(VR AM 1MB、Xeのみ）

PC-9821 Xa/Xf

PCI バスを最初に搭載したモデルで、当初は上位機種として設定された。

CPU：Pentium 90MHz(Xa)/Pentium 60MHz(Xf)
RAM：7.6MB
ウィンドウアクセラレータ：Matrox MGA-II(VR AM 2MB、HDD内蔵モデルのみ)

PC-9821 Xt

最初のタワーモデルで、PCI バスを３つ、ファイルベイを２つ搭載した。

PC-9821 Xaxx / Xtxx

1995年発売。BIOSや一部チップを除くとAT互換機と変わらない仕様へと変わり、本格的なWindows対応モデルとなった。型番表記は、CPUのクロック周波数から1の桁を抜いたものが付けられた。
同年11月にWindows 95が発売されると、同OSがプレインストールされるようになった。
1997年にPentium II プロセッサが発売されると、MATE Rシリーズに引き継がれた。

CPU：Pentium 75MHz～200MHz

PC-9821 Xcxx / Xvxx

1996年発売。Xtよりもファイルベイが多いタワー型筐体。Xcにはワープロ、表計算ソフトがプレインストールされた。

CPU：Pentium 133 MHz～200MHz、MMX Pentium 200MHz(Xc200のみ)

MATE Rシリーズ

1996年発売。Pentium Pro プロセッサを搭載した98Proに代わり、Windows NT/2000での利用を前提としたデスクトップ、タワーモデルとして発売された。
その後Pentium II / Celeronが搭載され、Windows 98でも十分な性能が発揮できるようになったことで同OS搭載モデルも登場した。最終的に2001年まで新モデルが発売された。