映画シャイニングの中盤で、ジャックが抱いたバスタブのスタイル抜群女が醜い老婆に変わったのは何か意味があるのですか？そもそもあの全裸の女は何者ですか？

質問文に添付された写真の老婆は原作に登場するマッセン婦人というキャラクターが元になっています。 体中腐敗していて昔に亡くなったような印象も受けますが ジャックたちが冬の管理人としてやって来た年の夏（7月）に237号室（原作では217号室）で亡くなったばかりの比較的フレッシュな亡霊です。 映画でも支配人のアルマンにビルと紹介されていたホテルの営繕係のワトスンによると マッセン婦人は年齢は６０歳くらいで、ある大物弁護士の奥さんでしたが、１７歳より上とは見えない若い愛人とオーバールックホテルに不倫旅行にやってあげくその若い愛人に乗ってきた小型のポルシェを持ち逃げされ、酒をカブ飲みした上睡眠薬を30錠ばかり服用しこの世とおさらばしたはずでしたが、彼女の魂はその後もホテルに滞在し続けているようです。 支配人のアルマンは彼女の夫である弁護士と共にこのスキャンダルのもみ消し工作に奔走し、検視官を買収するなどして見事に給料分の仕事をこなしたようです。 ちなみに、彼女の死体は翌日には発見されたようですので腐乱した状態で見つかった訳ではありません。 亡霊になってより本性に近い姿になったのかもしれませんね。 原作ではダニーが部屋で彼女に掴まるまでが描かれていますが、父親のジャックは彼女の気配を感じはしますがそれを確かめる事もせず部屋から出てゆき彼女とは対面していません。 原作には婦人の若い姿は描かれていませんので若い女性から腐乱した老女へという変容は映画オリジナルの描写です。 描写の意味は、ホテルの取り澄ました表面の裏側にあるおぞましい真の姿の表出と捉えるのが一般的ではないでしょうか。 映画では237号室の父ジャックと寝室のダニーの様子が交互に描かれ危機感が煽られています。 ダニーはタイトルでもある”シャイニング”という能力で遠くにフロリダにいる同じ力を持つコックのハロランにSOSを送っていると受け取れる描写がされています。 そして237号室から家族の待つ管理人室に帰ってきたジャックは妻ウェンディーと決定的な決裂をしてしまいます。 この場面で管理人室に入ってくるジャックは入り口の鏡に映っているが、ホテルから出ようというウェンディーと喧嘩をして部屋を出てゆくジャックはその同じ鏡に映らない（ジャックが霊体化したというような意味ではなく画の構図としてという意味ですが）という演出がされていたように記憶しています。 いずれにせよ、あの場面はジャックがより深く悪霊の巣くうホテルに取り込まれたという事を表しているのだと思います。