コンピュータゲームの一種。
Massively Multiplayer Online Role-Playing Game(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイングゲーム)の略称。
コンピュータRPGをベースにしたオンラインゲーム。 インターネットを介して数百人〜数千人が同時に参加できる。この他に数人で一つの世界を占有するタイプのオンラインRPGもあり、こちらはMORPGと呼ぶ。特に参加者を募る場所(ロビー)がMMOスタイルになっているMOを、ゾーンインターフェイスMOと呼ぶ。MMOとMOを規模の違いと勘違いされやすいがそうではなく、ゲームスタイルの違いである。
従来型RPGとの大きな違いは、仲間や敵がNPC(自動プログラム)でなく、意思を持った人間が操作している点。
ゲーム開発会社が数十台規模のサーバを用いて仮想の世界を構築し、プレーヤーがサーバにアクセスしてキャラクターを作り、その世界の住人となる。この仮想の世界において、多数のプレーヤーが同時にロールプレイングゲームをプレイする。たくさんの数の見ず知らずの人と同じフィールドでゲームをプレイするため、必然的にプレーヤー間のコミュニケーションがゲームの重要な要素となる。
また、大多数のMMORPGにおいて仮想通貨による経済システムが構築されているのも大きな要素の一つである。
MMORPGにおいて最大の醍醐味は、個性豊かなプレーヤーとの相互作用的なロールプレイング、及びコミュニケーションにあり、様々なプレーヤーとともに仮想世界を楽しんでこそ、MMORPGの真の魅力を味わえるとも言えよう。
MMORPGは、グラフィックの観点から「二次元(2D)」と「三次元(3D)」に大別できる。
他のゲームと同じように、2Dではレイヤーの貼り付けと透過処理によって、また3Dではポリゴン生成とマッピング、ライティング等により画面を作り出している。
初期のMMORPGは、標準的に遊べるパソコンのグラフィック機能のうち、3Dレンダリングエンジンが未発達であったこともあり、Ultima Online、Majestyなどに代表されるような2D形式、それも低解像度限定のものが主流だった。その後、CPU・グラフィック機能の進歩とともに、2Dと3Dを組み合わせたRagnarokOnline等が登場し、さらに完全な3DであるEverQuest、リネージュII、ファイナルファンタジーXIなどの3Dゲームが主流になってきている。
現在はほとんどのMMORPGが3Dとなっているが、2Dと3Dは一長一短であり、必ずしも3Dの方がゲームに適切かと言えばそうではない。3Dでは見た目が良い、ゲーム世界の拡張が比較的容易、などが挙げられるが、反面、人によっては車酔いのような症状を起こす場合もあるし、インターフェイスの作り込みが甘いと非常にプレイしにくいゲームとなってしまう事もある。2Dではそれらの事が起き難いが、3Dに比べると画面が見劣りする事が一番に挙げられる。ただし、見た目の判断は個人の主観によるところが大きく、2Dだからこそ人気を勝ち得ているものもある。
システムを理解する上で重要な概念は「レベル」「クラス」「スキル」「アイテム」などがあり、一般的なMMORPGは、キャラクターを育てる事に主眼を置いているといえる。シングルプレイの普通のRPGと違い、明確に「終わり」は定義されていない。レベルはキャラクターの発展度を示す数値、クラスはキャラクターの役職、スキルはキャラクターの能力、アイテムはキャラクターが得た所有物と解釈され、プレイヤーが作成したキャラクターは、一定の作業によってレベルが上昇し、スキルを獲得し、クラスに分類され、アイテムを得られる。これらの概念はどのMMORPGにも存在するものではなく、スキルを持たない場合や、クラスが存在しない場合などもあるが、それに準じた別の要素を持つものが多い。
一定の作業と述べたが、これは作業をした回数である事が多く、作業の完成度は問われない場合が多い。そのため多くの人はこれを「ライン工」などと呼ぶ。
簡単に言えば、ライン工をする事によってキャラクターの持つ各種数値を上げることが、どのMMORPGにも共通した概念である。現実社会で一番良く似たものは学校教育システムであり、本来MMORPGは学校システムを真似たものであるとも言える。
欧米の中でも特にアメリカはMMORPGの発祥の地であり、Diablo(MORPG)、Ultima Online、EverQuest、Dark Age of Camelotなど、MMORPGを代表する作品を数多く世に出してきた。現在は開発費の膨大化が顕著で、Ultima Online II、Ultima X: Odysseyの開発中止などが話題に上る一方、EverQuest II、World of Warcraftの堅調な人気上昇など、様々な動きがある。
現在はアジアの中でもいち早くブロードバンド化が進んだ韓国において様々なタイプのMMORPGが精力的に発表されている。主なものにリネージュ、リネージュII、ラグナロクオンライン、最近ではマビノギが日本では人気か。
日本でもMMORPGの発表が続いており、ファイナルファンタジーXI、信長の野望Onlineなどが代表格。UniversalCentury.net GUNDAM ONLINEなどの宇宙を舞台にしたタイトルなども登場している。
膨大な数のプレーヤーにより行われる仮想的な経済活動、及び仮想通貨の流通の結果、仮想通貨を現実の通貨で取引するRMT(リアル・マネー・トレーディング)が半ば公然と行われるまでに至っている。RMTという行為自体については賛否が別れ、ゲームタイトルによってはRMTを公式に認めているものもあるが、現状では大多数のタイトルにおいてRMTを禁じている。
RMTの発生する原因は、ゲーム世界観の作りこみが金銭本位になっている場合が多く、ゲームにのめり込めないためにゲーム世界のお金は多く持たないが、現実のお金を多く持つ社会人プレイヤーと、逆の立場のプレイヤーとでゲーム内の金銭感覚に不公平さが生まれる事があり、これがほとんどの原因といえる。
昨今ではプレーヤーの主要国・地域との経済格差を利用し、物価の低い国からのいわゆる「出稼ぎ」が行われているとされる現象も数多くのタイトルで発生しており、娯楽として楽しんでいるプレーヤーとのトラブルが絶えない。こういった「出稼ぎ」問題も含め、RMTへの対応状況いかんによってはゲームバランスに多大な影響を与える可能性も考えられる。昨今におけるMMORPGに対する大きな課題であると言えよう。(はてなキーワード「RMT」の項目も参照のこと)
「ぶっちゃけ、はまりすぎると人生終わります」と良く言及されがちであるのも、MMORPGの大きな特徴だ。
MMORPGでは、一般的にプレイ時間が長ければ長いほど、プレイ時間の短いプレーヤーより戦闘面、経済面などで有利になることが多いことや、その中毒性・依存性の高さから日常生活に抵触するほどプレイに没頭するプレーヤーが多く存在するといわれている。このようなプレーヤーのことを、蔑称的、あるいは自嘲的に「廃人」と呼ぶ向きもあり、韓国では死亡事故や殺傷事件にまで発展している例もある。
中毒性や依存性の高い原因は、開発運営企業が、意図的に中毒性をデザインしている側面があるためである。つまり、依存や中毒とさせる事で、長期間に渡り利用料を払い続ける顧客を獲得しているわけである。残念ながらこのような症状へ陥りやすい人は若年層が多く、企業の戦略に引っかかっている状況を認識しない場合が多い。あるいは、認識していても意に介さないこともある。
インターネットを介してプレイするMMORPGの構造上、リバースエンジニアリングや専用ツールの開発などによって様々なクラッキングが行われており、開発側と事実上のいたちごっこが続いているのも一つの現状である。主な不正行為に外部プログラムを使用してパケットを改ざんする「チート」、プレーヤーのキャラクターを自動的に操作し、反復的な行為を自動化する「ボット(BOT)」などがある。主だったところでは、ファンタシースターオンラインやラグナロクオンライン等で流行した各種チートツールが上げられよう。
これらが存在する理由には様々なものがあるが、ゲームの作りこみが甘い事がもっとも大きな原因だろう。一般に韓国製のMMORPGは作りこみ、セキュリティに関して杜撰な面が多く、バグも多いため容易にクラックされやすい。対して米国製のMMORPGは優秀で、あまり派手なクラックをされにくい。
また、コミュニケーションを重きにおくMMORPGでは、人間社会における犯罪の発生と同様、プレーヤー間の諍い・トラブルを背景とした妨害行為・詐欺行為などが発生しうる。プレーヤー対プレーヤーの戦闘を可能にしている(PK・プレーヤーキル等)ことの如何に関わらず、各タイトルにおいて様々な対策が採られているが、しばしば開発側の対応が問題視されるケースもあるなど、課題は多い。
尚、これら不正行為等はゲーム企業の運営規約にのみ違反するものが大半であり、一部の企業が述べるような日本国内法に反するというのは、多くの場合運営企業の勝手な言い分でしかないといえる。しかしながら、他人のアカウントをクラックするなど、個人の権利侵害が行われた場合に関しては、いくつかの法律に該当する場合もあり、これについては法的処罰が行われている場合もある。
MMORPGでは、仮想世界となるシステムを継続的に構築・管理・調整・更新し続ける継続的なコストが必要なことから、ゲーム利用料の課金方式が独特である。尚、課金という単語は「企業が利用料を課す」という、企業サイドに立っての言葉であり、プレイヤーが「(自分が)課金した」などと述べるのは誤用。
大抵のMMORPGはこの方式を採用している。一般的には1ヶ月から数か月分といった月単位での課金、もしくは30日分、60日分など日単位の利用権を購入するシステムになっている。期間が長いほど1日当たりの価格では得である場合が多い。
また、作品によっては、クレジットカードやブロバイダ接続料金を利用した自動継続サービスを行っている場合もある。
プレイ時間あたりの利用料金は最も少ないと思われるが、長期間のプレイ時間を先払いする意味を持つため、のめりこみやすい側面を持つ。
一定時間までプレイすることができる利用権を販売している方式。他の方式と比べて課金による拘束が少なく、ライトユーザー的プレイに適しているが、かつては主流な方式であったものの、現在採用しているゲームタイトルはごくわずか。
最近増加傾向にあるMMORPGの課金方式。主に、ゲーム内で有利になるアイテムやアバター、サービス*1などに対して課金するシステムで、ゲームそのものは無料でプレイできるものが多いので、従量型のMMORPGより人が集まりやすい傾向がある一方、課金による拘束が一番弱いため、プレーヤーの定着力が弱い難点がある。従量型からこの方式に切り替えるゲームタイトルも少なくない。
*1:アイテム保管、モンスターとの戦闘、ダンジョンへの進入、キャラクターの追加など