考える力の弱い人へ

考える力には(生まれつき)個人差があります。

他の能力と同じように、つまり、走る力とか、歌う力とか、香りを嗅ぎ分ける力などと同じように、生まれつき、それが得意な人と下手な人がいるんです。


そしてどの力も同じですが、誰でもきちんと方法論を学び、かつ実践練習を重ねれば、ある程度は上達します。

でも、スタートラインは人によって違うし、ポテンシャル(学んで練習すればどこまで伸びるかという可能性)も人によって違います。

つまり、考える力が高い人と低い人が(あらゆる能力について、その能力が高い人と低い人がいるように)いるってことです。


考える力が弱い人がその力を伸ばすには、『 自分のアタマで考えよう 』 に書いたように、「考える方法論を地道に学び、それを何度も実践で使って練習する」のが王道ですが、実はもうひとつ、別のアプローチもあります。

それは、できるだけ他の人と違う経験をする、ってことです。

そうすることにより、相当程度、「考えた結果」のレベルを底上げできます。


たとえば私は、学生時代からソビエト連邦やビルマ(どちらも当時の名称)を含め、あちこちの国を旅してきたけれど、そういう経験をすると、考える力がそんなに高くなくても、それなりにおもしろいことを考えつきます。

考えるための材料が非常に強力なので、でてくるモノ(考えた結果)のレベルが大きく底上げされるんです。


料理でも、本当に料理の上手い人は、どんな材料からでも美味しいモノを作ります。スキルがあるから、材料の質を問いません。

でも、料理のスキルが劣る人が対抗しようと思うなら、その人より“圧倒的にいい材料”や“ものすごく珍しい材料”を使うのがひとつの方法です。

そうすれば、結果としての料理のおいしさは、それなりに底上げできます。

考える時もそれと同じ。考える力が弱いなら、材料を工夫すればいいんです。


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つまり、「考える力の弱い人ほど、行動すべし」ってことです。

本当に考える力がある人は、書斎にこもってるだけで、考えることができます。

アタマの中にどんどん発想が広がり、それがどういう展開を見せるのか、その新展開はどういう意味をもつのか。そういうことを、アタマの中だけでシミュレーションできる。

考える力の高い人は、そういうことが可能です。


でも、そういう力が無い人でも、多彩な行動から得たインプットの助けを借りて考えれば、結果(考えた結果)は、そこそこおもしろいモノにできる。

私は学生時代、セブンイレブンやマクドナルド、ロイヤルホストなど、いろんなチェーン店でアルバイトをして、その経験からいろんなことを考えました。

同じ大学の同級生の多くは、時給の高い家庭教師や塾の講師のバイトをしていました。バイトなんか全くせずに、資格のための勉強ばかりしてる子もいました。

元々の考える力は彼らの方が高くても、経験の質が圧倒的だと軽く逆転できると、そのとき気がつきました。


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世の中には、「考えてだけいる人」と「行動だけしてる人」がいます。どっちも凡人がやるべきことではありません。

凡人がそんなことやってたら、「頭でっかちで世の中を知らない使えないヤツ」か、「朝から晩まで働いてるのに、全く報われない人」にしかなれません。


考えてだけいて、それなりの結果がだせる人は、天才です。そういう人は元から、生まれつき、考える力が尋常じゃないんです。

行動だけしていて、結果が出せる人も同じです。

何も考えず、ひたすら行動だけしていて、それで結果が出るなんて、凡人にはありえません。彼らは、いわゆる“動物的な勘”ってのを持ってるんです。

でも、凡人にはそんな力もセンスもありません。


凡人がやるべきは、「行動する」と「考える」を上手く組み合わせることです。特に、「オレは(私は)考える力がイマイチだな」と思ったら、できるだけ行動側を強力なものにすればいい。

あまり人が行かない国に行く。多くの人が避けている仕事に就く、あまり人気のないコトをやってみる。他の人が諦めたことでも、諦めない。

そうやって「他の人がやらないこと」を材料にして考えれば、凡庸な日常だけから考えてる人を、一歩凌ぐことができます。


私はこのブログに「日々考えたコト」を書いてます。

今後、おもしろいことが書けなくなったら、おそらく(この年から考える力を鍛えようとするよりは)、「なんか強烈におもしろい経験をしよう!」と考えるでしょう。

アマゾンの倉庫でバイトする、牛丼屋で深夜に働いてみる。それだけで、相当におもしろいことが考えられるし書けるはず。

ユニークな経験をすれば、かなりの部分、考える力を補えると知っているから。


何も行動せず、高い結果がだせるレベルの思考力がある人なんて、世の中ではほんとーに一握りです。
何も思考せず、日々の実践だけから高い結果が出せる行動派の人も、ごく僅かです。

考える力の弱い人ほど、動きましょう。人と違うことをやりましょう。それが勝因です。



そんじゃーね