ギャンブルって何?

皆さん、「ギャンブルって何?」と問われたら、なんと答えますか?


たとえば、ちょっと考えてみただけでも下記のような定義の仕方がありえます。

1)お金を賭けたらギャンブル
2)論理的に勝てないものに賭けるのがギャンブル
3)レバレッジが大きく、負けた時に深刻な影響がでる賭け方がギャンブル


1)だけがギャンブルの条件だとすると、「賭け麻雀」はギャンブルだけど、賭けなければ単なるゲームです。これだとカジノゲームは全部ギャンブルですが、公営の競馬競輪競艇や、宝くじもギャンブルです。

なお「お金」は「大事なモノ」という意味で使われているので、ここに「命」とか「健康」「家族」「人生」などを置き換えても、ギャンブルの定義は成立すると思われます。


2)は、実力のある人が麻雀やポーカーで賭けるのはギャンブルじゃないけど、実力の無い人が参加するのはギャンブルだという定義です。もしくは、完全に運にしか左右されず、かつ、胴元の取り分が多いようなゲーム(期待値的に絶対に勝てないゲーム)に参加するのは、ギャンブルということになります。これだと宝くじもギャンブルです。

「自分の実力」と、「そのゲームにおける実力の意味(効果)」、そして「ゲームの賞金期待値」を勘案した上で、「勝てる可能性が高い人」の参加はギャンブルではなく、負ける可能性の高い人の参加はギャンブルだという考え方です。


3)は、どんなゲームであれ、かつ、いくら賭けようが、負けた時に痛くもかゆくもない賭け方はギャンブルではない、ということで、たとえば大富豪がバカラ(=運のみで決まるゲーム)に1億円つぎ込んでも、その人の保有資産が数千億円あり、利子だけでも毎年、数億円が増えてるみたいな人であれば、それはギャンブルとは言えない、という考え方です。

この定義の場合、年収400万円の人が、頭金無しで 3000万円のローンを組んで家を買ったら、ギャンブル認定される可能性があります。

一方、老舗企業の三代目ボンボンがいくら競馬や競輪につぎ込んでいても、彼の家がもつ全体の資産額から見ればたいした額じゃないという場合は、ギャンブルではありません。



<ポーカートーナメントで使われる公式カード>


1)2)3)のどれか一つが定義というより、その組み合わせで定義するのがいいのだろうし、他にも巧い要件定義があるのかもしれません。(イケそうなのがあったら、ツイッターで教えてください)

いずれにせよ、私が今回、明確に理解したことは、「ギャンブルとは・・・」の後に続く文章には、特定のゲームの名前が入るのではなく、ゲームの特性や、プレーヤーのもつ条件などを勘案した「特定の賭け方・遊び方」が入るのだってことです。

だから、「ポーカーというゲームは、ギャンブルとしてやっている人もいれば、そうじゃない人もいる」し、野球やサッカーだって健全なスポーツである一方、勝敗に賭けを絡ませたら(条件によっては)ギャンブルになりうるわけで、「とある遊びがギャンブルか否か」という問いは成り立たないんだなと理解しました。


もうひとつは、「ギャンブル=悪」なのか、ということです。これは、「ギャンブル中毒=悪」とは異なる概念です。ギャンブルに限らず、買い物中毒、甘いもの中毒、ニコチン中毒など、中毒状態になると是非が問われるけど、その行為自体は悪でもなんでもない、ということはたくさんあります。

皆さんは、「ギャンブル=悪」だと思われるでしょうか? 

こういうのって、「モノづくり以外の金儲けは虚業であり、悪である」みたいな概念と関係している気がして、ちょっと面白かったです。



<公式カードの箱。赤と黒の“いかにも”な配色>


ポーカーのゲームには2種類あります。
1)キャッシュゲーム
2)トーナメント


キャッシュゲームは、マカオやラスベガスのカジノに行けば誰でも参加できるゲームで、お金さえ持ってれば(たとえ負け続けても)いつまでもプレイできます。

そういう場所では、お金を稼ぎに来ている実力のあるプレーヤーと、お金が余ってるんで遊びに来てる“マカオの不動産王”とか、“中国共産党幹部のドラ息子”みたいな人が混じっています。(もちろん、ちょこっとだけ遊びにきた普通の観光客もいます)

キャッシュゲームでお金を稼いで生活している人もポーカープロです。企業がスポンサーする契約プロが世界に数百人しかいないのに対し、キャッシュゲームで食べているポーカープロは世界で数万人いるそうです。


一方、トーナメントは、一定額の参加料を払って参加し、その範囲内だけで勝負します。なので、いくらお金持ちでもチップ(=最初に参加料と引き換えに手に入れる)が無くなったらゲームオーバーです。トーナメントなので、最後には優勝者が決まります。

賞金は、全参加者が払った参加料総額から事務運営費が引かれ、それが上位入賞者に傾斜分配されます。優勝賞金は50万ドル(約5000万円)とか、中には 10億円近い賞金のトーナメントもあるとか。

ただし、こちらに関していえば、お金も大事だけど、勝ったことの名誉が大事なわけで、契約プロになるにもトーナメントで実績を上げないと話になりません。

とあるポーカープロの方は、「今の自分の実力で、キャッシュゲームを中心に稼ぐことにすれば、一年で最低 5000万円、巧く行けば一億円は稼げます。でも、そんなことやってたら実力が下がってしまうので、トーナメントに参加するための軍資金さえ手元にあるなら、キャッシュゲームをやりたいとは思わない」と、おっしゃってました。


★★★


さて、ここでもう一度「ギャンブルの定義」を考えてみてください。みなさんの定義だと、下記 5人のうちギャンブルをやっている人は、何人になるのでしょう?

1) トーナメントで勝つことを目的にポーカーをしているプレーヤー
2) キャッシュゲームで生活費を稼いでいるポーカープレーヤー
3) 娯楽としてキャッシュゲームに参加し、時には一日100万円くらい負けちゃう大富豪
4) 観光ついでにカジノに立ち寄り、ポーカーで10万円くらい、勝ったり負けたりしているプレーヤー(なお、このプレーヤーの奥さんは、夫がポーカーで遊んでる間に近くのブランド店で10万円のハンドバックを買っています)
5) 1人暮らしで、仕事で得た全生活費をポーカーにつぎ込んでいる(ほとんど勝てない)ポーカープレーヤー


そんじゃーね。