オバマ氏:ノーベル平和賞の裏側

ノーベル平和賞って、今まではその“余りに単細胞な世界観”ゆえにイマイチ関心がもてませんでしたが、今回のオバマ大統領の受賞に関しては非常に深い、巧みな意図を感じました。

オバマ大統領は予想者リストにも入っていなかったらしく、アメリカのジャーナリストも慌て気味にそのニュースを伝えています。

核のない世界に言及したり、グアンタナモ基地の収容所閉鎖を決めたり、またイスラム世界にむけて行った演説などが評価されたと言われていますが、

実際にはまだ何も達成していないオバマ氏への授与に関して「早すぎでは?」という意見もあるようです。


が、本質を見失ってはいけません。


今回のオバマ氏の受賞にはふたつの大きな意味があるのです。



意味1)ブッシュへの嫌み

本来は、ブッシュ前大統領に「ノーベル紛争賞」か「ノーベル“テロとの戦い”迷惑千万賞」を与えたい、というのが世界の本音です。

しかし残念ながらそんな賞はありません。なので、ブッシュ前大統領の政策のほぼすべてを否定&ひっくりかえそうとしているオバマ氏に「平和賞」を与えたのです。

これによりブッシュ氏に「平和をぶっ壊した賞」を与えるのと同じだけのインパクトが与えられます。

だから、タイミングも今でなければならないのです。ブッシュが引退してすぐのタイミングに与えないと、この意味合いが出せない。

この賞の(裏側の賞の)真の受賞者はブッシュ前大統領なのです。



意味2)オバマ氏への牽制

オバマ氏はイラクからの撤退は言明していますが、アフガニスタンに関してはまだ揺れています。パレスチナ問題も解決しているわけではないし、北朝鮮問題もある。

いずれに関してもオバマ氏は従来よりは相当穏便な路線を採用してはいますが、アメリカには「行き詰まったら、とりあえずどっかに爆弾を落とす」という悪い癖があります。

オバマ氏だって中間選挙前に内政が行き詰まったりしたら何をし始めるかわからない。オバマ氏の任期はまだまだ長いですから。

で、今の段階で彼に「ノーベル平和賞」を与えることで、オバマ氏が路線を転換し、いきなりまた「世界の平和を脅かすいつものアメリカ」にならないよう牽制するために、選考委員の協議の結果、今回彼にノーベル平和賞が与えられることになったのです。


さすがのオバマ氏だって、この賞をもらってすぐに、あちこちにまた増派したり、爆弾落としたり、強硬路線をとるのは気が引けるでしょ。そこを狙った心理作戦です。

今回の受賞により、イランのアフマディネジャド大統領、リビアのカダフィ大佐、そして、北朝鮮の金正日氏などは心から喜んでいるでしょう。

これで彼らも当面は安心して眠れます。もちろん、ロシアや中国なども「いや〜、ありがたいな、こりゃあ」って感じでしょう。なんたってアメリカの現役大統領の手を縛る効果があるのですから。


反対にいえば、それくらい世界は「アメリカの暴力行為」に迷惑&辟易としているのです。迷惑防止条例を作りたいくらいです。

「お願いだから、もうブッシュみたいなのを大統領に選ぶのはやめてくれ」と、世界はアメリカに、そしてオバマ氏に懇願しているのです。

そういう世界の人達の切実な思いが、今回のノーベル平和賞に結実したわけです。


そしてノーベル財団の中では「今後はアメリカで新しい大統領が選ばれたら。翌年にはすぐさま“平和賞“を授与すべきだ。ノーベル平和賞を授与すれば任期中は、他国に爆弾を落とすのが難しくなるだろう。世界のためだ」という意見もでているようです。


適当です。



そんじゃーね。


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