大臣はアルコール依存症

中川昭一財務大臣ですけど・・アルコール依存症ですよね。

今回の映像は特にひどかったけど、5年くらい前に経済産業省の大臣だった時の記者会見も何度もろれつが回ってなかった。明らかに“酔ってるなあ”という感じでした。

日本の大手マスコミは権力とは持ちつ持たれつで遠慮もあるからあんましそういう場面を放映しないけど*1、昼まっから酒臭いことが多々あったのは皆知っていたはず。今回は海外通信社が撮ったから遠慮のない映像だっただけ。

海外メディアはよくわかってないから、「時差+風邪薬+ワイン」くらいで納得してる感じもありますけど、日本の関係者は皆わかっていたでしょう。


5年前に既に昼間の会見の時にお酒が切らせない状態であったわけで、それから数年、病状はいよいよ進行してきてるんだと思う。ものすごく大事な時だけでさえ隠せないレベルになってきた、ということ。

昨年の11月には宮中晩餐会で酔って騒いでるし、今年は国会での受け答えでもぐちゃぐちゃ。今回もあれだけ大きな記者会見の場があるとわかっていて自制できてないんだから、ここ半年くらいは急激に悪くなっている感じ。もう“飲む”ということに関しては、自分の意思でどうこうできるレベルではないのでしょう。つまり、“病気”ということだと思います。

そろそろ治療を始めないと、内蔵(肝臓を含む)か脳神経かのいずれか弱い方に大きな障害が表われると思います。まだ56歳くらいなのに命を粗末にするべきでないと思う。



なんだけど、難しいなあと思うのが、このアルコール依存症の治療。

今回だってもし彼が本当に治療しようと思ったら、まずは入院が必要になるだろう。麻生総理が毎日高級?バーで飲んでると言われるような政界にいて、大臣をやりながら自主的にお酒を断つなんて、既に重度の依存症と思われる彼には不可能でしょう。

特に彼のような人の場合、基本的に周囲にいる人はすべて“部下”なわけで、それらの人達は“やめてください。飲まないでください”とは言えても、実効力をもって止められるわけではない。唯一の彼の上司である麻生さんだって、そんな強制力はもたないし、そもそもずっと見張ってるわけにもいかない。

しかしたとえ短期間であれ、入院治療します、と言い出したら、それは即、大臣だけではなく政治家をやめる、つまり政界引退騒ぎになってしまうだろう。特に衆議院はいつ選挙があってもおかしくない。虎視眈々と地盤を狙っている人が党内にも党外にもいる。彼がいま「依存症だから入院して治療します」とはとても言えない状況だ。半年後に戻ってきた時に、「いやあ、お帰りなさい!」と言って地盤をすんなり返してくれるようなお人好しは政界にはいない。

奥さんだって同じだ。普通の夫婦なら「仕事より健康が大事。もういいから治療しましょう」という判断をする奥さんもいると思う。だけど彼は二世。ああいう家に嫁に入った段階で、奥さんも「夫の進退は家族の一存で決められるわけではない」ことも重々理解されているでしょう。

アルコール依存症って通常は本人より家族が先に病院に相談するケースが多いのだが、この家の場合、奥様が自分の意思で先に病院に相談するというのはちょっと無理だろうと思う。


もしもこの病気がアルコール依存症ではなくガンだったら、彼だってすぐに病院に行くだろうし、治療を始めるだろう。支持者や選挙民も彼の闘病を支えながら、次の選挙でも彼を選ぶ可能性は大いにある。だけど、この病気では「治療を始める」=「政界引退」になってしまう可能性が高い。

これはサラリーマンも同じだろう。普通の病気なら「病欠をとって治療の間は休職」ってのも十分あり得るが、サラリーマンが「アルコール依存症なので」と病欠の申請ができたりする?本人も家族も「会社生活や仕事をあきらめることを覚悟してでも治療すべき状態にある」と感じるところまで切羽詰まらないと、なかなかそういう決断はできない。

「すべてを失う覚悟」が病気の治療に必要ってのは、他の病気とはちょっと違う決断の重さが求められるよねえ、と思う。


もうひとつ治療が難しいのは、「病気である」という意識が本人、そして周囲の人にない、もしくは薄いことによるものと思われる。今回、麻生さんは「体に気をつけてこれからもしっかり仕事をしてくれるように言った」らしい。これは「もう酒はほどほどにしろよ。体壊すぞ」くらいのことを言ったということと想定される。麻生さん自身がコトの深刻さを理解していないのだ。

だいたい日本のおじさんというのはお酒に寛容だ。「酒を飲んだ上でのことだから」とか「酒の席でのことだから」という理由で、しらふでは許されないことが許されると思っている節がある。しらふで女の子のおしりを触るのは変態だが、酒を飲んでちょっと触っちゃうのは仕方ないだろ?という理屈だ。全く意味不明の理屈です、これ。

「お酒を飲む飲まないに関して自制が効かなくなる状態」を「危ない」「病気だ」という意識がないんだろうな、と思う。だから周りの人も「引退してでも直せ」とは言わない。というか、誰も言わないでしょう。特に彼ほど(多くの大臣を歴任してる)大物になるとね。

「ちょっと酒癖が悪いくらいで引退なんてありえんだろ。アホなこと言うな」っていう気持ちだろう。それくらいの現状認識なんだと思う。


なので、彼は当面、治療を始めず、というか、病気であるということも認めず、結局はだらだらと酒を飲み続けるのだろう。そしていつか倒れて病院に運び込まれる日まで病識ももたず治療も始めないのだろう。

それがどれくらい大きなものを失うことにつながるか。
実際にそうなる前にはなかなか想像がつかないものなのだ。


難しい病気だと思います。

そんじゃーね。




追記)ニュースって、辞任した後に一斉にこういうこと書き始めるんだよね。“みんなで書けば怖くない”ってやつかな?
→中川財務相 何度も酒に飲まれ失態
→酒で失敗「反省」繰り返す人 「専門家に相談」が重要


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*1:最初は「大手マスコミは権力側の支援機構だから」という表現をしていましたが、id:jaguarsanさんのブックマークコメントをみて、確かにそうかも、と思ったので修正しました。コメントありがとうございました。