コミックにシュリンクをしないとどうなるか?(その1)

http://d.hatena.ne.jp/banana-cat/20071210/1197295427とかhttp://kom824.blog113.fc2.com/blog-entry-408.htmlで、シュリンクについてのエントリが注目されていました。いい機会なので私もちょこっと書いてみようかと思います。
シュリンク全盛のこの時代に、コミックシュリンクをしたほうが売上があがるのか下がるのか、なんて議論をするのはナンセンス!と思われる方も多いのではないかと思います。でもですね、実際売上を比較してみたことのあるお店って、どれぐらいあるのでしょうか。実際実験したいと思ってもコミックは売上の額がでかいので、売上下がったら取り返しつかないし、というお店が多くて、実際の効果測定までしてるケースは少ないのではないでしょうか?この話になると、何となく「下がる気がする」とか「上がるに違いない」という推測論以上に話が発展することは珍しくて、なんかまあ、先入観で話ができあがっちゃうんですよ。こういうのって。
では現在、圧倒的多数の「シュリンクをしないと売上が下がる」派の主張を聞いてみましょう。
「本が汚れるから売れない」
「立ち読みだけして買っていかない」
「立ち読みだらけで売場が乱れ放題」
「中身だけ確認されてシュリンクしている他店で買われてしまう」
だから売上が下がる。なるほど、正論です。私の知る限り、コミック担当者の方は99%こちら派ですね。
逆に「シュリンクをする必要なんかない」派の主張も聞いてみましょう。
「中身がよめたほうが、新しい本と出会える。新規顧客を獲得できる」
「試し読みできないと、面白いかどうかわからないから買わない」
「すぐに破かれるシュリンクは、経費の無駄、環境にもやさしくない」
「シュリンクをかける手間と人件費は、もっと売上を生むほかの仕事にまわすことができる」
はい、これも正論です。でもお気づきかもしれませんが、双方の論拠となる前提条件が異なるため、実はこの二つは論点がかみあっておりません。かくしてこの論争はその昔、なかなか決着しなかった大きな問題だったのであります。
私も十年ほど前、自店にシュリンカーを導入しようとしたとき、この問題をダイワハイテックスさんに聞いてみたことがあったのでした。
「すみません、シュリンカーを購入したいのですが、うちの会社、貧乏なんです。で、稟議書を書かなくちゃいけないんですけど、シュリンカーを導入したらコミックの売上があがって、その売上アップ分でシュリンカー購入費用を回収できる、みたいな資料がないと、買ってもらえないんです。そんな事例とかあります?」
「えっ!?えー…、ご協力したいのはやまやまなんですが、そういう事例はありませんねー。いや、そういうことをおっしゃる方も今までいらっしゃいませんでしたので…」
売上あがった事例は無いのかよ!しかも、購入した店のどこもそういう話をしてないのかよ!?いいよ、しょうがない、実験しちゃる。俺が実験しちゃる。こうなったら実験してデータとるしかあるめぇ!
かくして、この後十年にも及ぶこのシュリンク問題との格闘が、妙なハイテンションと共に、ここに幕を開けたのでした。(つづく)