この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の約8000人の受講生のデータと学習工学(Instructional Design)に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしていきます。

 コメント欄でビジネス英語や学習法について何でもご質問ください。また、アンケートフォームでも質問を受け付けています(こちら→日経ビジネス「その英語学習法、間違ってます!」質問受付)。

 それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。

[今回の質問]

学生 Tさん(19歳)
就職活動で英語力をアピールするために、TOEIC L&Rで900点以上を獲得したいと思っていますが、なかなかスコアが伸びずに困っています。どのように勉強すれば、最速・最短で目標のスコアに到達できるか教えてください。

 どのような英語に関連するテストでも、獲得するスコアは特定の尺度で測ったものでしかありません。しかし、その結果が「英語力の証し」として履歴書に書けることは大きな意味があります。 ですからTOEIC L&Rで高得点を目指すというのは、就職活動を有利に進めるための方法の1つです。

 さて、TOEIC L&Rで900点以上を目指したいとのことですが、895点以上を獲得できる人は、全受験者のうち、わずか4.2%しかいません。社会人の中でも超上級レベルの英語力だと個人的には思います。ちなみに大学生で895点以上のスコアを出せる人は、全受験者のうち2.6%です。履歴書に書いたらかなり目立つでしょう。

 もし、現在のスコアが700点台なら、900点以上ではなく、まずは800点を目指してください。無理にジャンプアップを狙うと、教材選びや勉強法を間違えて非効率になる可能性があるからです。最速・最短でスコアアップをするには、段階を追っていくことが重要なのです。800点を目指す方法は「目指せTOEICスコア800点 短期間で効果が出る勉強法」を参照してみてください。

 では、現在のスコアが800点以上ある場合は、どのように勉強すればいいのでしょうか。TORAIZ語学研究所では、TOEIC L&Rでハイスコアを獲得するためのノウハウをTORAIZのコンサルタント(全コンサルタントの平均スコア937点:2021年9月時点)から収集しています。今回は、それらの一部を「英単語」「リスニング」「リーディング」「問題集」に分けて紹介します。

(写真=PIXTA)
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英単語は暗記せず、英文ごと覚える

 まずは、英単語について。英単語帳に書かれている単語をやみくもに暗記することは効率的ではありません。英単語帳は自分のレベルに合っていて、その単語を使った例文が併記されているものを選んでください。

 その上で、英単語だけでなく、書かれている例文も覚えることがポイントです。つまり、「実践的な学習をすること」が非常に重要なのです。過去問題や公式問題集に出てくる英単語を押さえることも、ハイスコアを獲得するには効果的です。そのときも単に単語だけを暗記するのではなく、文中に出てくる英文ごと覚えてしまうというアプローチです。

 次はリスニングについてです。TORAIZのコンサルタントによると、リーディングより、リスニングで満点を目指すほうが簡単だといいます。リスニングは「量より質」が重要です。教材は『CNNニュース・リスニング』(『CNN English Express』編集部編)がおすすめとのことでした。2週間、30秒のニュース×5ユニットを、音声変化を完ぺきに再現できるようになるまで繰り返し聞く。これだけでリスニングで満点を取った人もいます。

 続いては、苦手な人が多いリーディングについて。リーディングでは、決められた時間内に長文を読む速読力が求められるため、WPM(「Words Per Minute」の頭文字で、1分間当たりに読める英単語数のこと)を上げることが必要です。

 そのための勉強法の1つは「シャドーイング」です。シャドーイングとは、聞こえる音声をテキストを見ず、できるだけ即座に声に出して繰り返す勉強法です。最後まで文章を読み込み、気になったところを見直せるくらい余裕を持てるようにするのが望ましく、WPMの目標は200以上です。

 シャドーイングに加えて、「シンクロリーディング」も挑戦する価値があります。シンクロリーディングとは、英文テキストを見ながら音声を聞いて、それを声に出して読む勉強法です。テキストも見ながら同時に発話する点がシャドーイングと違います。パート7の「長文読解問題」で出題される長文テキストを250~300WPMの速度で流し、それを声に出して読むと効果的です。

 テスト中は、時間配分を意識しながら解き進めることが重要です。リーディングセクションは、パート5の「短文穴埋め問題」、パート6の「長文穴埋め問題」、パート7の「長文読解問題」で構成されており、これら全てを75分以内で解き終えるスキルが求められます。

 75分以内でリーディングセクションを解き終えるために、パート5は10分、パート6は10分、パート7は55分、という時間配分で解いていきます。各パートにかける時間を事前に計画することで、過去問や模試に取り組む際に、その時間内でで解く感覚を身に付けることができます。

 さらに、コンサルタントからは、「高得点を獲得するためには、パート7を攻略できるかどうかがポイント」という声もありました。そのためには、やはり場数が大切なので、パート7専用の対策教材にも挑戦してみてください。

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