福岡県の「立花町遠続差別ハガキ事件」の「容疑者」が逮捕された。7月8日の朝日新聞は、「同和地区の出身者を中傷するはがきを送りつけられたとうそをついて役所の業務を妨害したとして、福岡県警は7日、同県立花町の嘱託職員の男(52)を偽計業務妨害の疑いで逮捕し、発表した。男の自宅や職場などには約5年間にわたって差別的内容のはがきなどが計44通届いたといい、町や県は対策会議を設置していた。県警によると、男は『すべて自分が送った』と認めたという。」と伝えている。
そして、部落解放同盟福岡県連合会も8日、「当県連にとっては晴天の霹靂であり、同盟員はもちろん、各方面の関係者の方々に多なご心配をおかけしていることは誠に遺憾の極みであります。」「彼が『犯人』として『確定』するならば、悪賀な差別事件の加害者として、本人に対して断固たる対応をおこなわなければならないし、同時に、同盟員である彼が我が組織の社会的信頼を失墜させ、同盟内部を混乱させ、多くの関係者の方々に多大なご迷惑をおかけしたことに対する処断も、毅然.としておこなう所存であります。もちろん、我が県連としても重大な決意をもって総括をしなければならないことも併せて決意しております。」との「緊急声明」を出した。
警察発表に基づく報道が「事実」として確認され、「容疑者」が「犯人」として確定され、自作自演であることが明らかになるのであればとの前提はつくが、まさにあ然呆然、愕然である。部落差別を利用して、部落民が差別事件をつくり、自分を被害者に仕立て上げて、保身に利用する。俄かには信じ難いが、報道はそんな構図を浮かび上がらせる。暗澹たる気分だ。「声明」にあるように、この事件は、地元はもちろん全国各地の多くの人々の関心と注目を集め、真相解明と「被害者」支援のとりくみが行われてきた。それだけに、人々に与える衝撃と部落解放運動への傷の深さは計り知れないものがある。失うものは余りにも大きい。