本屋さんで待ちあわせ
あまり期待しないで読むと、本当に「タメになる」本に出会うことがある。三浦しをんさんの「本屋さんで待ち合わせ」もそんな一冊だ。いわゆる読書エッセイだが、アフォリズム風あり、人生訓風ありで、本当にタメになった。ちなみにその一部を御紹介すると…。
「本は人間の記憶であり、記録であり、ここではないどこかへ通じる道」
「無知と無理解と怠慢こそが、理解の芽を摘み、絶望と断絶を生む温床となるのだ」
「怒りの大半は『理解できない』『理解されたい』がゆえに生じる気がします。『相手を知りたい』『自分を知ってほしい』という願いを諦めてしまったら怒りすらも湧かなくなるでしょう。そう考えると、もっとどんどん怒ったっていいのかもしれませんね」
「良いエッセーの条件は、著者の体験や生活臭や考えが、ページから迫ってきて、『この人は私のために書いてくれている』と読者に感じさせるものだ」
そして、そして、これなんかは、まさに三浦さんの小説への取り組み方を表していると思うのだが。
「萩尾望都の創作の泉はどこから湧いてくるか。
漫画への深い愛と信頼にあるのではないか」
そう、三浦さんの創作の泉は、「小説への深い愛と信頼」にあるのだと。