柳美里の今日のできごと

福島県南相馬市小高区で、
「フルハウス」「Rain Theatre」を営む
小説家・柳美里の動揺する確信の日々

遺児…遺品…

2013年03月07日 21時08分31秒 | 日記
TAISEIさんのお兄さん夫婦は、2011年3月11日の津波で命を失いました。
お義姉さんのご遺体はすぐに見つかりましたが、
お兄さんのご遺体があがったのは、半年後のことでした。

TAISEIさんと奥さんの間には子どもがありません。
おふたりはお兄さん夫婦の3人の子を引き取るという決断をして、この2年間必死に子育てをしています。

この間、京都に家族旅行に出掛けたそうなんです。

東山区にある三十三間堂(さんじゅうさんげんどう)を訪れた時、
堂内10段50列に並ぶ1000体の千手観音立像を前にして、
「パパとママに似たお顔の観音様が見つかるかもしれないよ」
とTAISEIさんが言うと、
今年小学校にあがるRちゃんが、観音像1体1体の顔の中に、亡き母親と父親の顔を探しはじめ、
1時間経って、「パパに似てる」という観音像を見つけ出し、
時間が遅くなるし、下の二人の子もいるので、
「あの観音様似てるんじゃない?」とTAISEIさんが指差したものの、
「違う。似てない」と探しつづけ、
3時間経って、「ママに似てる」という観音像をようやく見つけ出したということです。

Rちゃんは、TAISEIさんが鎌倉に行くという話をすると、
大切にしている、母親を荼毘に付した時に焼け残った(TAISEIさんのお義姉さんは脚が不自由だったために逃げ遅れ、助けに戻ったTAISEIさんのお兄さんと共に津波に呑まれたのです)右脚の膝部分に入っていた器具を差し出し、
「ママもいっしょに連れてってあげて」と言ったそうです。

津波によって母親と父親を奪われた、6歳のRちゃんと、4歳のKくんと、4歳のYちゃんに、いつかお逢いしたいです。

鎌倉は海沿いの町だけれど(目の前で、津波に両親が呑まれるのを見た3人の子は水を怖がる……)海の見えない観光コースを考えます。

家族5人で遊びに来てください。

そして、TAISEIさんに、お義姉さんの膝の器具を見せていたいだいたこと、
お兄さんの数少ない遺品である、洞爺湖で買った3びきの亀のキーホルダーをいただいたこと、
忘れません。

大切にします。
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