すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【イラク戦・プレイバック】相変わらずハリルの選手起用は謎だ

2017-06-17 12:34:30 | サッカー日本代表
奇策で自己主張する代表の「爆弾」

 日本代表でいちばん「個」が強いのはハリルだ。そのため彼は試合がくるたび、「どうだ? 俺の選手起用は。驚いただろう?」という奇策を連発する。そのことによって自分を主張する。成功すればもてはやされるだろうが、ハズすと「策士、策に溺れる」になってしまう。

 なんだか私は試合のたびに、あのトルシエの2002年W杯トルコ戦を思い出す。自己主張が強くはっきりモノを言い、戦術論はロジカルなんだけど試合になるとときに策に溺れて自爆する。ハリルはびっくりするほどトルシエに似ている。

 イラク戦でハリルは原口をトップ下で使った。アグレッシブで頑張れる彼を真ん中に置くことにより、イラクに前からプレスをかけて圧倒する狙いなのか? そう思いながら見ていた。実際、相手ボールになると大迫と原口が最前列で横に並んでコースを切っていた。だがその割にプレスをかける位置が低く、デュエルというほど激しさもない。

 もちろん気温37度、湿度20%のあのシビアな環境でハイプレスをかけ前からガンガン行くなど自殺行為だが、とすれば原口をあのポジションで使った意図は何なのか? おそらく原口は単に「玉突き」で弾かれトップ下に収まっただけなのだ。

 どういう意味か? ハリルの選手起用を見ていると、彼には「どうしても外したくない選手」が何人かいる。彼はそれらの選手に異常に固執する。もし同じポジションにいい選手が台頭すれば元の選手は外すのがふつうだが、ハリルはポジションを変えてでもその選手を起用することにこだわる。例えばアウェイのオーストラリア戦で本田を偽9番として使ったのもそれだ。

複雑なパズルを解こうとして自爆

 では今回はどうだったか? まず原口はハリルの中では今や替えのきかない選手である。そこに新しく「どうしても外したくない選手」として久保が台頭してきた。彼のポジションは右WGだ。本田とかぶる。だが本田は親善試合のシリア戦でいい結果を残しており、次のイラク戦でも使いたいーー。

 で、この3人が玉突き現象を起こし、わざわざ久保を左に回し原口を真ん中へ持ってきて複雑なパズルのピースを埋め、「どうだ? 俺の選手起用は。驚いただろう?」とハリルは大見得を切ってみせた。

 ふつうなら久保と原口を本来のポジションである左右に起き、トップ下に本田を置くのが自然に思える。だがハリルはそんな「当たり前のこと」はしない。かつ、「本田のポジションは右WGだ」と絶対に意地でも動かそうとしない。異常に自己主張が強くて頑固。いかにもハリルらしい選手起用である。

 そして我が日本代表はそんなハリルの小児性ゆえ、常に「トルシエの2002年W杯トルコ戦」自爆の日を迎える可能性があるのもまた事実である。

原口を交代させたダメージはデカい

 さて久保はシリア戦から続く不調と、試合途中からはケガで試合から完全に消えていた。彼を乾と交代させることと、下がり過ぎた全体のゾーンを押し上げること。この2つが実現していれば、あのゲームはまったく違ったものになっていただろう。そうすれば日本は追加点が取れ、酷暑のなかで2-0になればイラクの選手は戦意喪失していたかもしれない。

 その意味では運動量豊富で好調だった原口を倉田に替え、2枚目の交代カードを「ムダに」1枚使ってしまったのが大きい。他の2枚はケガによる余儀ない交代であり、そのため結果的にカードを使い切って切り札の乾を途中出場させることができなくなった。

 ハリルは「原口はバテた」と判断したようだが、私の目にはそうは見えなかった。ことにアグレッシブな原口は気温37度でケガ人だらけのこの試合のようなキツイ悪条件でこそ「次の一歩」が出せるガッツのある選手であり、そこの判断は疑問が残った。

昌子と遠藤航、井手口の台頭は大きな希望だ

「選手起用で過剰に自己主張するハリル」という地雷を抱えてはいるが、今節の代表はまったく新しい、そして大きな収穫があった。CB昌子とボランチの遠藤航、井手口だ。過去に何度も書いているがこのチームの最大の課題は世代交代であり、彼らの躍進は実に頼もしかった。

 昌子はタイトで知的なディフェンスと、正確なフィード能力を兼ね備えた逸材だ。2016年のクラブW杯でもすばらしいプレイをしていたし、なぜいつまでもベンチで腐らせておくのかとても不思議だった。もちろん今節はミスもあったが、トータルでいえば大きな収穫を得たといえるだろう。

 一方、全体のバランスを取りながらカバーリングのできる遠藤航は、(将来的に)長谷部の代わりが務まる日本で唯一の選手であり、このまま経験を積ませればロシアW杯本大会にも間に合いそうな気配がしてきた。積極的に前に出てゲームメイカー的な仕事もできる井手口とあわせ、非常にバランスの取れたいいコンビである。

 これに左WGは切り札の乾に原口、斎藤学を競わせ、右WGは久保、浅野、小林悠。ワントップは大迫、岡崎、武藤嘉則が絡めばとてもおもしろくなる。てなわけで日本代表はハリルという爆弾を抱えていながらも、こう見てくると相変わらずポジティブな要素ばかりが際立つ。

 え? シリア戦、イラク戦と2試合続けて格下と「1-1」の引き分け続き? いやもうやめましょうよ、そういうネガな悲観論は。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【ロシアW杯最終予選】スタイ... | トップ | 【ロシアW杯最終予選】内側の... »
最新の画像もっと見る

サッカー日本代表」カテゴリの最新記事