すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ロシアW杯最終予選】内側のポジションを見ると頭が痛い

2017-06-18 10:36:49 | サッカー日本代表
4-2-3-1か、4-3-3か?

 今節を終えてみて、収穫についてはすでに前回の記事の最後に書いた通りだ。そこで今回は今後に向けた見通しを考察してみる。大きく分けてポイントは、システムの選択と「内側のポジション」である。

 まずシステムについてはハリルジャパンではおなじみの4-2-3-1に加え、アンカーを置く4-3-3という新しい選択肢が登場した。さていったいどちらが最適解なのか?

 4-3-3はアンカーの両脇を狙われるのが欠点だが、それを気にして親善試合シリア戦前半のようにインサイドハーフが低くポジショニングしてしまうと攻撃面でノッキングを起こす。4-3-3はアンカーを任せられる人材がいるかどうかと、インサイドハーフのセンスと能力にかかっている。日本で唯一アンカー的にプレイできる長谷部を欠く現状とインサイドハーフの人材不足を考えれば、4-3-3を日本が破綻なくこなすのは難しいかもしれない。とすればやり慣れた4-2-3-1が無難に思える。

 ただし頑固なハリルがもしも本田のインサイドハーフ抜擢を容認するなら、4-3-3は非常におもしろい選択になる。この記事で考察したように、本田をどこで活かすか? という本田問題はハリルジャパンのゆくえを大きく左右するからだ。

香川のメンタルは強くなるか?

 さて一方、内側のポジション問題へ行こう。選手別にチェックしてみる。まずトップ下の香川は技術レベルこそ非常に高いが、メンタル面に致命的な欠陥がある。

 日本代表というプレッシャーからか試合前からフリーズしているゲームもあるし(消えることが多い)、決定的な場面で思い切ったシュートが打てずパスに逃げるシーンも見られる。

 またカラダを入れ合う激しいボールの競り合いをイヤがる傾向があり、守ってはコースを切るだけのアリバイ守備も散見される。決定的にデュエルがだめだ。アグレッシブな原口あたりとはまったく対照的で、「戦えない」「ファイトしない」選手の典型である。

 これらはすべてメンタル面に起因していると思うが、だとすればいくら技術があっても才能がないということになってしまう(同じことは宇佐美にもいえる)。厳しい言い方になるが、そこが改善しない限り私は香川にまったく期待していない。となるとトップ下は清武が有力な選択肢になるが、個人的には守備面に物足りなさもあり悩ましい。

「本田問題」の解決策は?

 お次は4-3-3のインサイドハーフへ行こう。UAE戦での今野のプレイを大絶賛する声は多いが、逆にいえば彼がよかったのはあの試合だけだ。確かに目先の最終予選を勝ち抜くコマとして今野は有力だが、年齢を考えれば疑問符がつく。将来性という意味ではあくまでセカンド・チョイスだろう。

 あるいは4-2-3-1にするにしろ、ロシアW杯の本大会で中盤の底に長谷部、今野という高齢コンビが居並ぶ姿を想像しにくい。仮にその組み合わせで勝っても日本の未来につながらない。

 さて問題は本田だ。彼は親善試合のシリア戦後半で、4-3-3のインサイドハーフに入り結果を残した。だが4-2-3-1の右SHを務めたイラク戦ではバックパスの比率がかなり多く、手放しでは喜べなかった。

 確かに気温37度の酷暑のなか、あれでタメができた、時間を作ったからスタミナ消耗防止に貢献したといえなくもない。だが逆にいえば(この記事に書いたように)速いショートカウンターを捨てたプレイであるともいえる。

サイドを放棄し中へ入りたがる本田

 サイドに押し込められてボールをもつ形になる4-2-3-1の右SHだと、乾のようなスピードと突破力がない本田はタテ方向に自分で局面を打開できず、前が詰まるとどうしてもボールを保持したまま回れ右してフィールドの内側を向きバックパスに逃げることになる。

 で、そうこうするうちサイドを放棄して中へ、中へと入ってくる。本田の生存本能がそうさせているともいえるが、それならやはり最初から中のポジションで使ったほうがいい。となれば本田の適所は4-2-3-1のトップ下か4-3-3のインサイドハーフ、あるいは偽9番だ。だがいずれにせよ、本田はまず所属チームで試合に出る環境を作るのがスタートラインである。そう考えれば代表でポジション争いする状況にない今の段階であれこれ言っても意味がない。

 結局、トップ下に絶対的な存在はいない。そしてこのチームは替えのきかない長谷部が復帰し、ゾーンを無視して人に食いつく山口蛍の尻拭いをしてバランスを取ってやり、かつ両サイドに「完調な」ときの原口と久保、ワントップに大迫がいて初めて機能する。選択肢自体はほかにあっても、成功例が少ない。

 もちろん今節、乾や昌子、遠藤航、井手口の台頭という大きな収穫はあったが、やはりハリルは海外ブランド信仰を改めてJリーグからもっと選手を発掘する必要がある。てなわけで結局最後は、例によって「ハリルは頑なな固執を捨てよ」みたいな話にならざるをえない。
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