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マイナーな話題を扱うことが多いかもしれません。

「調査捕鯨」団の船員は「特攻隊」でも「決死隊」でもないはずなのに

2011-08-28 20:21:15 | æ•é¯¨é¨’å‹•
今回は、コメント欄に寄せられた情報の復習編(?)。
復習教材(?)は、2011年8月3日に衆議院農林水産委員会で行われた鹿野 道彦農林水産大臣と伊東 良孝衆議院議員の答弁。
内容は、今後の「調査捕鯨」に関すること・・・。
・衆議院 農林水産委員会 第18号(2011年8月3日 ndl.go.jp)

正確には、伊東氏は筒井 信隆農林水産副大臣との答弁を終えた後で、鹿野農水相との答弁に入った。
その冒頭、伊東氏は、「鯨類捕獲調査に関する検討委員会」の中間報告について触れていた。
ちなみに、その中間報告については以下参照(手抜き)
・「調査捕鯨」の「継続」と「中止」を併記、とは聞こえがいいけど(2011年7月25日 flagburner's blog(仮))

で、この後、伊東氏は、今年2月に「調査捕鯨」団が昨シーズン分の「調査捕鯨」を切り上げた話題を取り上げていた。
以下、2011年8月3日 ndl.go.jp『衆議院 農林水産委員会』から、その部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
○伊東委員 今、大臣がいみじくもおっしゃいました。この調査捕鯨の継続には安全の確保が不可欠、大前提だというお話であります。
安全が確保された状態というのはどういう状態であるのか、また、調査捕鯨を実施しないことを含めて、かなり幅広く解釈ができる言葉だというふうに私どもは思うわけであります。
 大臣が決断した、ことし二月の調査切り上げにつきましても、乗組員の組合の代表は、危険だから帰してくれとは一言も言っていないと公式の場で発言されているようであります。
大臣の判断で途中で切り上げをされたのだから、大臣は、どのような状態を安全が確保された状態、このようにおっしゃるのか、その基準をぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。

○鹿野国務大臣 船団の方々は、それだけの使命を負っておりますから、みずから引き揚げるなんということは決しておっしゃらないと思っております。
その心意気というふうなものにつきましては、私自身も直接船団の方々から話を承りました。
しかし、私は、私の立場として、船団の安全というものは、これは何より大事なことだということで判断をしたわけであります。
 安全対策の基準というふうなことは、もちろん専門的な分野からいろいろと検討していただくことでございまして、今、私自身の狭い知見の中でどうこうというふうなことではなしに、今後、船団全体としてどうやって安全を守っていくかということは、当然、各省庁とも連携をとりながら、そういう基本的な考え方を示していかなきゃならないと思っておるところでございます。
(以下略)
---- 引用以上 ----

仮に現場の人達が「危険だから帰してくれと言わなかった」としても、更に上の人達(本当の最高責任者は菅 直人日本国首相だが)はそれだけで判断するわけにいかなかったかと。
つーのも、「調査捕鯨」を切り上げる直前になって、「調査捕鯨」団をチリ海軍が監視していた(表向きはクジラの保護だった)のよね。
この辺は以下参照(手抜き)
・チリ海軍が日本の捕鯨船監視 「鯨類保護が目的」(2011年2月16日 47news)

仮に、チリの排他的経済水域(EEZ)に「調査捕鯨」団が入っていたら、後日になって日本政府とチリ政府(下手するとラテンアメリカ諸国)の間で揉めたのは必至だしな~。
その意味では、(現場の人達は不本意だとしても)途中で切り上げたのは止むを得ない判断だったかと。
無論、Sea Shepherd にとって大きな「戦果」になったわけだが・・・。


しかし、伊東氏と鹿野農水相の答弁はまだ終わらない。

この後、伊東氏は「調査捕鯨」団の安全確保について、この答弁で1番重要かもしれない発言をしていた。
以下、2011年8月3日 ndl.go.jp『衆議院 農林水産委員会』から、その部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
○伊東委員 先ほど、大臣が国土交通大臣に要請されたと。これは恐らく、国交省所管の海上保安庁に対する巡視船の派遣を含めた安全確保策を要請されたんだろう、このように思うところであります。実際、相当ハードルが高い。
これまでも、海上保安官を乗船させてきたのは何度かあるわけでありますし、有効な手だてが打てていないわけであります。
 海上保安庁につきましても、守ってくれと言われても、公海上、自分たちにどのような法的権限を与えられるのか、あるいは行使できるのか、また、巡視船派遣にかかる予算を、調査捕鯨を継続する間毎年確保するなんということになるんだろうか、さらにはまた、海上保安庁の目的は安全の確保であって調査の達成ではない、海上保安庁の指導に従った結果生ずる、副産物収入の、場合によってはその不足はだれが補うのか、こうした問題がいろいろ考えられるわけであります。
 海上保安庁の巡視船が派遣できない、だから、検討会報告書が言うように、また大臣が言うように、安全が確保できる状態ではない、だから調査をやめる、こんなことになるのであれば、これは農水省のいわゆる責任転嫁ではないか、このように思うわけであります。
 政府一体となって調査の継続に向けた努力をするのは当然でありますが、最終的には所管庁である農林水産省が予算措置を含めどう安全を確保するのかにかかっているわけであります。
第三者的な警備船団、こうしたものが民間であるという話も聞いたことがあります。
捕鯨船団にあるいはガードマンとしてつかせる、あるいは、農水省として、安全確保のために、さまざまな、もっともっと幅広い、海上保安庁だけではない安全確保策というのを検討すべきではないか、このように思うところでありますけれども、この点につきましてももう一度お伺いするものであります。

○鹿野国務大臣 調査捕鯨を続けていくためには、安定的な形で続けていくというふうなことにおきましては、検討委員会のお考えにおきましても、安全対策というものが不可欠である、こういうようなことでございます。
 それを受けまして、先ほど私は申し上げましたけれども、国交大臣に対しましても要請をした、その内容につきましては控えさせていただきたいと思いますけれども、いろいろ具体的な形で、今後調査捕鯨を継続していく、やっていく上においてどういう安全対策ができるのか、そういうことを踏まえて、各省庁ともこれから連携をとりながら、御協力をいただくようなことも含めて今後取り組んでいかなきゃならないと思っているところでございます。
(以下略)
---- 引用以上 ----

第三者的な警備船団、ね。
それって、(「テロとの戦い」で悪名高い)民間警備会社という名の傭兵部隊を投入するってことだよな?(呆)
この辺は以下参照(しつこい)
・"Research Whaling" as "War on Terrorism"(2011年6月29日 flagburner's blog(仮))

まさか、伊東氏がこの対策を取った際の問題点(責任の所在など)について気付いてないわけないと思うが・・・。
伊東氏にとって、「調査捕鯨」は「テロとの戦い」であるようだ。
それこそ、(文字通り)「終わりのない戦争」としての・・・。

というか、「安全が確保できる状態ではない、だから調査をやめる、こんなことになるのであれば、これは農水省のいわゆる責任転嫁~」ってどういう見解よ?
まさか、「調査捕鯨」団の船員の方々に「決死隊」となってでも「調査捕鯨」をやってこい、ってことか?
それって、普通に考えて人命軽視としか・・・。
それとも、「調査捕鯨」の続行は人の命より重い、ってのか?


この後、伊東氏は、独立行政法人水産総合研究センターの扱いについて触れてたが面倒なのでパス(何)。

そして、最後のパートは、2011年の IWC 総会に関するお話。
そこで、伊東氏は何気に勇ましいことを・・・。
以下、2011年8月3日 ndl.go.jp『衆議院 農林水産委員会』から、その部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
○伊東委員(中略)
 最後に、私は、七月の十一日から、IWCの総会に、イギリスのジャージー島に行ってまいりました。
世界各国、六十数カ国が集まって会議を開いておりました。
 この中で、シーシェパードのあの暴力行為、海賊行為について、ほとんどの国、オーストラリア一カ国だけが、その暴力行為を招いている原因は日本の捕鯨にあるかのような話をしたのでありますけれども、残りほとんどの、もちろん捕鯨に反対する国々の中でも、みんな口をそろえて、シーシェパードの暴力行為、海賊行為、危険行為を非難していたところでもあります。
そうした中で、日本の、捕鯨の持続的利用支持国の、仲間の皆さんも、大変に日本に深い理解を示し、そして日本と共同歩調を歩んでくれました。
 ですから、シーシェパードの暴力、海賊行為によって、日本が、安全性を確保できないという理由でもしこの調査捕鯨をやめるようなことになれば、世界じゅうから、失望と、そしてその暴力行為に屈した日本のだらしなさというものを非難される、あるいはこんなことで世界の海洋秩序が保たれるのかという話になろうか、このように思うところであります。
日本だけの問題ではありません、世界じゅうが日本を注目している。
そして、悪いのはシーシェパードだとはっきりみんながそう言っているわけでありますから、ぜひ、負けないで頑張っていただきたいというふうに思うところであります。

    〔津島委員長代理退席、委員長着席〕
○鹿野国務大臣 このたびの第六十三回のIWC年次会合に伊東先生も行っていただいたということでございます。
 今お話しのとおりに、この会合におきまして、海上の安全問題というふうなことにつきましてはまさしく全会一致で決議された、こういうことでございまして、そういう意味では大変意義のあることであると思っております。
このような決議というものを、私どもも、多くの国々に我が国の調査捕鯨というものの意味を理解してもらうべく、これから努力をしていかなきゃならないと思っております。
 一つだけ申させていただきますが、過般、ニュージーランドの貿易大臣が参りましたときに、私も直接、海上の安全の決議というふうなものをお話しさせていただきまして、ぜひ我が国の調査捕鯨について理解してもらいたいというようなこと等々、あるいはシーシェパードの妨害活動というふうなもの、これはどうしても阻止していかなきゃならないというようなこと等につきましても御要請をさせていただいたところでございまして、貿易大臣も、外務大臣によく伝えます、こういう話でございました。
 そういう意味で、今回の海上の安全問題に関する決議というふうなものは大きな意義を持っているということを踏まえて、今後行動してまいりたいと思っております。
(以下略)
---- 引用以上 ----

なんだろうな。
上の伊東氏の発言を読んでると、 Sea Shepherd の一連の抗議行動に対する反対の意思を巧妙に「調査捕鯨」への賛成意見にすり替えてる気がしてならないのは俺だけか?


にしても。
今シーズンの南極海における「調査捕鯨」について、「調査捕鯨」団の出港まで約4か月を切ってるはずだが・・・。
日本政府が海上保安庁の巡視艇を「調査捕鯨」団に同行させる気なら、そろそろ何らかの判断を下す必要があるんじゃね?
この話が政局のゴタゴタで放置される、というオチもあり得そうだけど・・・。


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