Curse priest

Trigger Happy 出張所。D.Gray-manとシャドーハウスのネタバレ感想、アニメ感想を書いてます。

青の祓魔師 第30話「因縁生起」 2

2011-11-03 17:40:16 | é’の祓魔師

神様ドォルズの新刊の感想が着始めました。
にゃごにゃご、嬉しいです~~~www
さて、続き。

青の祓魔師 第30話「因縁生起」 2

出雲、しえみ組。
志摩達と同じように胞子嚢の音を聞いている。

「この音…」
「…そろそろ胞子嚢が破裂するのかも…」
「急がないと…」

出雲は狐達に命じる。ここにいては危ない。和尚を運ばなくては。
まったく狐使いが荒いと口答えしつつ、狐達は兄弟達を召喚する。
すると、そこには掌サイズの子狐で一杯。

「うわぁ~~~!!」
しえみは思わず萌え!!
超かわいいです。一匹下さい\(* ̄▽ ̄*)/

「この子達に和尚さんを運ばせるわ」

わっしょいわっしょいと子狐達は和尚を運び始める。
余りのかわいさにしえみはおおはしゃぎ。

「ちっちゃいのに力持ちなんだね…!
 あっ、キャンプの時、化燈籠はこの子達に運ばせたの?」
「…ちょっと集中力切れるから静かにして!」
「ご、ごめんね」
「…………」

慌てるしえみに出雲は少し不機嫌。

(…っていうか何で私こんな事してるんだろ…。
 何であの時協力してやろうって思っちゃったのよ。
 自分で自分がわからない!
 こいつらに会ってから、調子狂いっぱなしだわ…!)

出雲はしえみの背中を見ながら溜息をつく。
かつての自分はこんなではなかった。
誰が自分の事をどう思おうがどうでもよかったし、他人がどうなろうとどうでもよかった。
燐の事を助けたのは自分を助けてもらった恩を返す為だったし、それだけに過ぎない筈だ。
それ以上深入りするなんてどうかしてる。自分の身を危険に晒してまで。

(とにかく約束してしまったものは仕方ない…!)

やる事をやり遂げねば、自分の信用が下がる。それは避けたい。
自分には生き残らねばならぬ理由があるのだから。

「絶対に生きて返ればいいだけのこと…!」

思い詰めたように呟く出雲を見て、しえみは拳を握り締めた。

「神木さん、一緒に頑張ろうね…!
 私、何でもするから!何でも言ってね!」

(特にコイツ…! イライラする!)

しえみの励ましが却ってウザかった。
力ない者に頑張ろうねと言われても、自分も同レベルだと思われてるとしか感じない。
しえみは「防御」に特化した召喚士だろう。
自分のような万能タイプとは違うのだ。
頼られこそすれ、頼れと言われて何を頼めばいいのか。
なのに、しえみの自信たっぷりな一途さが出雲のプライドをつつき倒す。

「別にアンタは無理して頑張らなくていいわよ!
 弱いんだから!」
「!!」
「大人しく人に守ってもらってればいいじゃない…!」

しえみが精神的に「弱い」とは出雲も思ってない。その正反対で凄く図太い女なのだ。
だが、戦闘での順列では下の筈。
だったら、力のある者が他の者を守るのが力ある者の責任だ。
その邪魔をしないで欲しい。

思った事を歯に衣着せず言ってしまう。だから、人に嫌われる。
言いようがあると解っているのだが、出雲の口の悪さは直らない。
だから、解ってくれなくてもいい。
悪循環だ。自分の性分は直しようがない。
だったら、出来る事を証明せねばならない。
叩いた口の大きさを皆が納得できるように。

が、その口を塞ぐように胞子がボタボタと上から落ちてくる。
それは見る間に出雲を飲み込んでいく。出雲は悲鳴を上げた。
その気持ち悪さに飛び跳ねたが、粘りつくそれは取れない。

(しまった…!)

「神木さん!」
「私はいい!
 ウケ、ミケ!和尚さんをつれて、ここから離れなさい!」
『やれやれ、これだから半人前に仕えるのは…!』

狐達は出雲に似て口が悪い。
誰かにバカにされるのはまっぴらだ。半人前でも中途半端でもない。
朴の時の二の舞は踏まない。
出雲は印の書かれた紙を握り締めた。
これさえ守れば、狐達は出雲に逆らえない。
だが、胞子はますます大きくなっていく。

(何やってるの…!
 私はこんな所で死ぬワケにはいかないのに…!)

「駄目だよ!神木さんを置いていけないよ」

焦る出雲にしえみは叫ぶ。

「何言ってるのよ!
 足手まといだから早く逃げろバカ!!」

だが、胞子は出雲の使役する為の紙をも侵蝕する。
狐達は全て消え、和尚も再び地面に落とされてしまう。

「…………!!」
(私が何とかしなきゃ…!)

しえみは指を噛んで、血を出した。泣いてなどいられない。
石にニーちゃんの印を描く。

「ニーちゃん…!お願い!!出てきて…!!」

だが、何の反応もない。
しえみは怒鳴る。

「ここで出てこなきゃ…!何の意味もないんだよ!!」

(弱いままなんて駄目だ!!)
「出てこい!」

しえみは目を閉じて、真っ赤になって必死に怒鳴る。
確かに自分は神木の言う通り弱いかも知れない。

守られてる方が楽だ。
何の責任も負わないでいいし、誰かが自分の代わりをしてくれるなら面倒もない。
甘えて、よっかかって、それを許してくれるなんて、甘え上手な子は得をする。
全部押し付けても恨まれない。仕方ない。しかも相手の優越感まで満たしてやってる。
これが得な生き方だ。

でも、しえみはそんなのはイヤなのだ。
弱い自分は世界が狭かった。
祖母の庭で植物だけに囲まれて完成された世界は穏やかで優しかった。
誰もいなくても、孤独を感じなかった。誰もしえみを傷つけなかった。
でも、そこには棘があった。
自分をそこに閉じ込めようと利用する棘が。

雪男に助けられ、燐に背中を押されて出た世界は、最初恐かった。
でも、自分なりに頑張っている内にいつの間にか仲間が出来た。
燐のために、誰かの為に必死になる事で喜んでもらえた。
外の世界は棘もあるが、彼女を害するものではない。
あの庭にはなかった笑い声やぬくもりや達成感や喜びがあった。
誰かと繋がる楽しさがあった。
外の世界は完成されてないが、成長していく強さと優しさがあった。

それはしえみが一歩づつ自分の弱さを克服して掴んだものだ。
でも、自分だけでは出来なかった。燐や雪男や皆がいてくれたからこそだ。

だから、弱いままでは駄目だ。この世界にい続ける為に。
もうあの庭に戻らない為に。

(神木さんを助けられないなんて駄目だ!
 私みんなと一緒にいたいんだよ…!!)

「出ろ!!!!」

渾身の力を込めて叫ぶ。
怒ったような顔で、涙ぐんで、真っ赤な顔で、自分の精一杯で叫ぶ。

「ニー!」

その瞬間、ポンとニーちゃんが現れる。
いつものように陽気な顔で。

「ニ…ニ~ちゃん…!!
 私に力を貸してくれる?」

顔に懐いて擦り寄ってくるニーちゃんにボロボロ涙を零しながら、しえみは頼む。
自分は弱い。
でも、誰かの一緒に頑張れば強くなれる。
誰かを助ける事だって一杯…。
しえみは胞子に向き直った。

「まず神木さんを助けたいの!
 胞子がどんなに腐らせてもこっちはそれの倍くらい緑を生やそう!」

その言葉にニーちゃんは思い切り力を溜める。
全身からポンポンと青い芽が吹き出し、巨大な緑のスノーマンのように膨れ上がっていく。
それはしえみの背丈すら越え、成長したグリーンマンに変わった。
しえみは驚く。

「すっ、すこいよ!!
 ニーちゃん、百人力だよ!!」
「な…」
(緑男を巨大化させるなんて…一体どんな…)

うわあああ、H×Hのゴンさんだー!(笑)
ゴンさん程、恐くはないが。

しえみはまだ涙の滲んだ笑顔で出雲を見上げる。

「待っててね!!神木さん!絶対助けるよ!!
 行こう!ニーちゃん!!」
「ニォ~~~!」

巨大ニーちゃん突撃。
目がキャベツです(^_^;)パンジーだった筈なのに!
全身からも苗が…愛らしいけどコワイです。本当にありがとうございました。


再び、燐勝呂組。

結界を張っても胞子嚢の成長は止められない。
結界の天井一杯に膨れ上がり、周囲の胞子も成長しては弾けるを繰り返す。
燐が潰しても、クロが蹴ってもキリがない。
しかも燐が払った胞子は勝呂の眼前に落ち、成長して勝呂を食おうとする。
印を結んだままの勝呂は動けない。

「…うっ、おっ、奥村!!!」

燐が慌ててそれをなぎ払うが、クロも胞子に飲み込まれてしまう。
「クロ!!」
クロが危ない。だが、剣は抜けない。

『キリがないよ!!』

クロは自力で胞子から脱出できたが、その刹那今度は燐を胞子が襲う。

「奥村、後ろや!!」
「ホイ来たァ」

咄嗟に振り向き、何とか倶利伽羅で防ぐが、どう力を込めても切羽詰っても、
こんな状況下なのに剣は抜けようとしない。

「くっそ…!!」

もう限界だ。
これを打破できるのは自分の焔だけだ。
解ってる。
これほど雪隠詰めの状況なのに、自分の心の中にまだ崩れない壁が聳えてるというのか。
何故だ。
自分を縛ってる鎖の正体は何だ。
今までどうやって刀を抜いてきた。
それがどうしても解らない。
この戦いの中で自分を追い詰めれば解ると思ったのに、これでも自分は振り切れないのか。

自分に何が足りない。吹っ切る為のきっかけは何だ。
解ってるのに解らない。
焦りばかりが募っていく。
さっき聞こえた雪男の声も気になるというのに、自分はいつまで足踏みしていなければならない?
こんな所で。
燐は倶利伽羅を握り締め、歯を食い縛った。

3へ続く(雪男VS藤堂へ)



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