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Necktie Design Officeのオリジナルプロダクト
編集宮後です。
今年のインテリアライフスタイル展の会場で、気になる活版のカードを見つけました。会場で製作者の方とお話したところ、かなりの文字マニアであることが判明。「お話を聞かねば」と思い、先日取材して参りました。

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(写真はすべてNecktie Design Officeのウェブサイトより)

この活版のカード「WORDS SANDWICH」を製作したのは、Necktie Design Officeのデザイナー、千星健夫(ちぼしたけお)さん。食材の名前が書かれたアルファベットのカードを選んで、LOVE、THANKSなどの言葉をつくり、パン型のカードにはさんで言葉のサンドイッチをつくるメッセージカード。「具材をかさねていくとともに、気持ちも重ねて、メッセージを届ける」というコンセプトなのだそうです。

アルファベットの文字は、木活字などをもとに千星さんが調整して版をつくり、卓上活版印刷機で印刷したもの。聞けば、ビンテージの活版印刷機を購入し、使い方を教わったのだとか(こちらに映像あり)。ムラなく刷れるまでにはかなり苦労されたそう。このサイズのカードでも一度ではきれいに刷れないため、大きいアルファベットの部分と下の小さい文字の部分を2回にわけて印刷しています。

ふかふかっとした感触のパンの部分は、篠原紙工で加工。パンの形をレーザーで焼き切っているので、断面にうっすら焦げ目が。詳しい製造工程は篠原紙工のウェブサイトにあるので、ご覧ください。

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千星さんは紙ものだけでなく、プロダクトもつくっていて、見せていただいたのがこちらのカップのふた「TEA BAG HOLDER “SHIROKUMA” 」。ティーバックのひもの先を釣り竿の先にひっかけると、シロクマが釣りをしているように見える、なんともかわいらしいアイテム。写真のように、ふたの上にお菓子や角砂糖を置くと、さらに楽しい。見た瞬間、「かわいい!」と思える魅力的なデザインが好評で、つくるとすぐに売れてしまうのだとか。

この製品は、焼物の産地で有名な長崎県の波佐見まで行って、地元の生産者とやりとりしながら製作。ウェブサイトで製造工程の写真やムービーも見られます。シロクマの目をかわいく描くのがむずかしいので、うまく描ける人を指名するなど、細部までこだわれるのもすべて千星さんが自分の目が届く範囲でチェックしているから。このこだわり具合はやっぱりすごい。

カップのふたのアイデアがおもしろかったので、「まねされたりしないんですか?」と聞いたところ、すでに特許取得済み。特許取得のための書類作成や手続きもご自身でされたそうで、「ほかの製品とどこが違うのか分析し、文章にするのが勉強になりました」とポジティブ。

デザイナーがしないようなことまで自分でしてしまう千星さん。聞けば、独立する前は、グラフィック、プロダクト、ウェブサイトなどを手がけるデザイン事務所に在籍し、幅広いお仕事をされていたそう。さらにデザイナーになる前は企業の営業職だったとか。プロレベルで製品の営業ができるデザイナーさんって初めて会いましたよ。

独立された現在は、グラフィック、プロダクト、ウェブサイトのお仕事のほか、ご自身でプロダクトをつくり、販売されています。プロダクトの企画、デザインから、製造、撮影、ウェブ製作、営業、在庫管理まで、ほかの会社では役割分担するところを一人でこなしてしまう千星さん。まさに「ひとりD-BROS」状態。インテリアライフスタイルで展示した製品も好評で、早速ショップからオーダーが来ているとか。商品はこちらのネットショップから購入できるので、興味のあるかたはぜひ。

Necktie Design Office
http://necktie.tokyo/

オンラインショップ
http://necktie.onlinestores.jp/
by dezagen | 2016-06-22 23:30 | デザイナー紹介 | Comments(0)
『これ、誰がデザインしたの? 続(2)』
渡部千春著、デザインの現場編集部編
美術出版社刊
04年以降の連載記事をまとめた2冊目の書籍。連載で紹介したアイテムのほか、名作ロゴやパッケージ、デザインケータイなどを紹介。
 
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