ライター渡部のほうです。
昨日、久しぶりにnendo
http://www.nendo.jp の取材に行った。
マネージメントを担当する伊藤明裕さんは7月のワークショップにも来てくれたり、その前もちらっと挨拶だけ、などで会っていたけれど、チーフデザイナーの佐藤オオキ君(なぜか私の頭の中では、伊藤さんは「さん」、佐藤君は「君」で刷り込まれてしまっている)に会うのは、デザインタイドですれ違った去年の10月以来、きちんと話したのは2011年6月の台湾以来、いや、ちょっと待てよ、2012年のロンドンで会ったような…。会ったな。確か。
nendoと会うのは海外が多い。
彼らの仕事先が海外が多いことと、ここ数年私は海外に行く時くらいしか、きちんとデザインの展示を見れる機会がないことに依る(というと、まるで日本では鬼のように働いているようだが、違う。日本にいると油断してしょっちゅう展示、展覧会を見逃してしまうのだった)。
どこの国で会おうと、いつものように礼儀正しく、いつものように背が高くて(当たり前だ)カッコよくて、いつものように話が楽しくて、いつものように頭の回転が速い。
あれ?でも何か今回ちょっと違う。
無精髭が生えている…。
男性だから一晩くらい髭を剃らなくて当たり前の話である。
いつもと違っていたのは、今回の取材は、作品撮影の合間で、仕事中にお邪魔します、というタイミングだったからなのである。
自分の仕事記録を調べたら、一番最初にnendoのことを書いたのは、2012年10月のイベントの時。約11年前のこと。日本デビュー当時から知っていることになるのだが、常に展示会、展覧会、プレビューなどで会うので、作業中の佐藤君を見るのは実は初めてだったのだった!
雑誌に載る佐藤君はいつもひょうひょうとした感じだ。
台湾で会ったときは、その日の朝まで展示の準備をして数時間も寝てないくらいの状況、と言っていたが、そんな疲れも見せずすっきりスーツ姿で現れた。
佐藤君という人は天才肌で(これはあんまり間違ってないかもしれないけど)、どんな仕事でもさくさくっとやりこなしてしまう人なのかな、と思っていたのだけれど、ちょっと違っていたようだ。
取材で、改めてこれまでの経歴、仕事の仕方、発想法など聞いたのだけれど、7-80社というプロジェクトが同時進行という、ものすごい仕事量をこなすため、一瞬も無駄にしない集中力で、撮影を指示し、展示の全体像を作り込み、打ち合わせをこなし、アイデアを突き詰め、さらにまた詰めて、常に限界までちょっとでも良いものを探っている。
もちろん、私の知っているデザイナーさんのほとんどはそうなのだけれど、佐藤君は苦労した顔というのを全然見せないので(それはどんなプロジェクトでも楽しんでやるから、と本人の弁)、なんとなく苦労しなくてもアイデアが出るのかなあ、と思っていた。
ちょっとヨレっとした佐藤君を見て、やっぱり仕事に集中してるときってこんななんだ、話を聞いて、アイデアを出すためにすごい努力してるんだ、と、11年目にして初めて知った。
って書くと、よっぽどヨレヨレの無精髭だったのか、と思われそうだが、一般レベルからしたら全然こざっぱり、です。ここ、勘違いされると困る。