Billion Hits!

フル配信ダウンロード売上、MV再生回数、ストリーミング再生回数、Billboard JAPANランキングデータなどを通じて国内の人気楽曲を把握するブログ

YOASOBIの人気曲【売上・再生回数ランキング】

YOASOBIは2019年に「夜に駆ける」でメジャーデビューした音楽ユニット。コンポーザーのAyaseとボーカルのikura(幾田りら)による2人組である。デビュー曲でいきなり大ブレイクを果たし、その後も現在進行形でヒット曲を大量輩出している。

 

YOASOBIがブレイクした時期は新たな音楽視聴方法としてストリーミングサービスが拡大を始めた時期であるため、楽曲人気はストリーミング再生回数やMV再生回数を通じて把握する。ただしその人気の高さから既に市場が縮小している配信ダウンロード売上でも一定規模の数字を叩き出している。ここではストリーミング、MV、ダウンロードの配信3指標をもとにしながら、YOASOBIのヒット史を追っていく。

 

ストリーミング再生回数ランキングは以下のとおり。これまでにストリーミング5,000万再生以上を記録した曲は22曲で、認定総再生回数は69.6億(歴代1位)となっている。

 

 

 

上記とは別に、メンバーのソロ活動等でも以下のデータが記録されている。

 

 

 

 

 

(ランキング作成方法および歴代ストリーミング再生回数ランキングはこちら↓)

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続いてMV再生回数ランキングは以下のとおり。ここでは3,000万再生以上を記録したMVを抽出する。これまでに9曲が1億再生以上を記録している。なお2024/12/26時点で全楽曲を集計した累計MV再生回数(日本国内)28.2億(歴代4位)となっている。

 

 

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最後にダウンロード売上ランキングは以下のとおり。日本レコード協会によれば、これまでにダウンロード売上10万以上を記録した曲は14曲で、認定総ダウンロード売上は290万(歴代37位タイ)となっている。

 

 

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上記で挙げた楽曲を配信開始日順で並べたうえで楽曲人気データを一覧化した表も以下に示す。

 

 

2019年

 

YOASOBIは小説を音楽で表現することを特徴とする。ユニット結成の発端はソニーミュージックが運営する小説&イラスト投稿サイト『monogatary.com』で、このサイトのスタッフがサイト活性化の策として「このサイトに投稿された小説を音楽にするユニット」を構想してAyaseに声をかけ、Ayaseがボーカリストとしてikuraに声をかけたことで2019年10月にYOASOBIが結成された。

 

デビュー曲「夜に駆ける」はネット小説タナトスの誘惑』が原作になっている。なお『タナトスの誘惑』は4分ほどで読めるショートショートである(注:R15)。

 

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アニメ仕立てのMVや小説を踏まえた歌詞は視聴者の想像を掻き立てるものになっており、中毒性のある速いテンポのリズムとともに支持され、デビュー曲ながら発売後徐々に話題が広がっていき、2020年1月にはSpotifyのバイラルチャート*1で1位にもなった。

 

本格的に大ヒットし始めたのは2020年4月。この時期は新型コロナウィルスの流行が始まったことにより緊急事態宣言が出され、国民全員がステイホームを余儀なくされた。強制的に増加したおうち時間はヒット予備群にいた本曲を発掘するには十分な時間だったようで、徐々に音楽チャートの順位を上げていく。

 

このタイミングで本人らがメディア出演を増加させ、実際に歌唱することは一度もないながらも、トークや作品紹介を精力的に行った。さらに、2019年11月よりスタートした、一発撮り歌唱映像を公開する人気YouTubeチャンネルTHE FIRST TAKEのおうち版THE HOME TAKEの動画も公開された。この企画が当たり、該当動画は1.4億再生を突破。楽曲も大ヒットの軌道に乗ることになった。

 

Billboard JAPAN Hot 100では6/1付から3週連続で週間1位を獲得。その後も楽曲の広がりとともに著名アーティストやYouTuberなどによる歌ってみた動画の投稿が急増したことなどにより、猛烈な勢いで総合ポイントを積み上げ続け、断続的に3週1位を上積みして通算6週1位を獲得した。

 

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各指標の累計数値はストリーミング11.6億再生、MV2.7億再生、フル配信75万ダウンロードを突破している。特にこの時期音楽視聴環境の新たな主流市場に躍り出たストリーミングの再生回数が市場拡大の後押しもあって猛烈な勢いとなり、ストリーミング再生回数歴代1位記録となる国内史上初の10億再生超えを達成するまでに至った。これがストリーミング時代に新しく誕生した特大ヒットのボーダーライン・ビリオンヒットである。

 

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この猛烈な特大人気が可視化される形でBillboard JAPAN Hot 100の年間でも2020年1位→2021年3位→2022年15位→2023年34位→2024年50位と推移。デビュー曲にして年間1位獲得という快挙達成となった。また、CDリリースなしでの年間1位獲得は本曲が初の事例となり、音楽試聴環境のCDから配信への移行を印象づけることにもなった。

 

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ここまで大きなムーブメントとなった背景には、暗い世相に覆われてしまった2020年という年に本曲のテーマが合っていたこともあるのかもしれない。


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2020年

 

2020年は「夜に駆ける」が音楽チャートを席巻し続けたが、その間もYOASOBIは次々と新曲を発表し、話題を途切れさせることはなかった。まず1月に2nd配信シングル「あの夢をなぞって」を発売。本曲の原作小説は『夢の雫と星の花』である。

 

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『夢の雫と星の花』は、予知能力を持つ二人の高校生男女の、花火大会で告白する予知夢を見てから大会当日までの揺れる恋心を描写した恋愛小説になっている。この青春の瑞々しさを音楽とMVで表現した「あの夢をなぞって」はストリーミング3.3億再生、MV1.2億再生、フル配信10万ダウンロードを突破する大ヒットとなった。


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5月には3rd配信シングル「ハルジオン」を発売。本曲では初めてプロの小説家とのタッグが組まれており、橋爪駿輝の小説『それでも、ハッピーエンド』が原作となっている。小説は失恋で心に傷を負いながらも懸命に前を向こうとする女性を主人公として描いている。この主人公の心の動きが歌詞や曲調で絶妙に表現された「ハルジオン」はストリーミング4.4億再生、MV1.1億再生、フル配信10万ダウンロードを記録する大ヒットとなった。Billboard JAPAN Hot 100の年間でも2020年34位→2021年26位と推移した。


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7月には4th配信シングル「たぶん」を発売。原作となる同名小説は、2020年1⽉に『monogatary.com』 で行われた、YOASOBIの新曲の原作⼩説を募集する「夜遊びコンテストvol. 1」で⼤賞に輝いた作品である。本作は別れを選んだカップルの最後の朝を描写したショートショートである。

 

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楽曲はYOASOBI初のミドルテンポナンバーに仕上がっている。作品の舞台が同居していた家の中というパーソナルスペースであることから醸し出される温かさと、その同居生活がゆっくりと終わりに向かっていくことの切なさが歌詞と曲調で表現されている。そのストーリー性に共感が広がる形で楽曲はストリーミング2.1億再生、MV1.3億再生、フル配信10万ダウンロードを突破した。Billboard JAPAN Hot 100の年間でも2020年89位→2021年59位と推移した。


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9月には5th配信シングル「群青」を発売。本曲はアルフォートとのコラボ作になっており、同CMのストーリーテキスト『青を味方に。』を原作として制作された。このテキストは絵を描くことを生業に選んだ若者の背中を押す内容となっており、「群青」の歌詞も「好きなものへ向き合う葛藤」を表現したものになっている。そのメッセージ性は絵に限らず何らかの夢を追う若者を勇気づけることとなった。楽曲中に取り入れられた合唱パートがもたらす高揚感も支持される形で「群青」はストリーミング8億再生、MV1.9億再生、THE FIRST TAKE(一発撮り歌唱映像)1.1億再生、フル配信25万ダウンロードを突破した。Billboard JAPAN Hot 100の年間でも2020年91位→2021年8位→2022年16位→2023年32位→2024年57位と推移している。


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12月には6th配信シングル「ハルカ」を発売。本曲は放送作家鈴木おさむが書き下ろした小説『月王子』が原作になっている。

 

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原作小説は、ある一人の少女「遥」が大切に使っているマグカップの視点で少女の喜怒哀楽に満ちた半生を描写したものになっている。楽曲は、どんな時も少女を見守る存在であるマグカップの視点を反映し、ポップで優しい曲調になっている。それまでの楽曲とはまた違ったYOASOBIの一面が支持される形で「ハルカ」はストリーミング3.5億再生、MV7,000万再生、フル配信10万ダウンロードを突破した。


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2021年

 

2021年は前年末の紅白歌合戦出場の反響もあってYOASOBIの人気が更に拡大した。そんな2021年の幕開けを飾った作品が、1月に発売されたYOASOBI初のEP『THE BOOK』である。本作には2020年までに発表された配信シングル5曲と新曲1曲が収録されている。YOASOBIの作品で初めてCD化もされた本作だが、その形態は完全限定生産盤のみの発売となっており、コアファン向けのコレクターアイテムとしての価値を高めるものとなった。それでも14万枚をセールスしたほか、総合アルバムチャートBillboard JAPAN Hot Albumsの年間では2021年4位→2022年45位→2023年78位と推移する人気作となった。

 

本作に収録されている唯一の新曲「アンコール」は7月になって配信でシングルカットもされている。本曲の原作は『monogatary.com』にて行われた「夜遊びコンテストvol.1」で「たぶん」とともに大賞作品に選ばれた『世界の終わりと、さよならのうた』である。

 

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原作小説は、世界が終わる最後の日に出会った音楽好きの男女のやり取りを描写したものになっている。男性は世界の終わりを前に諦観に包まれ、音楽にも意味はないと思うようになっていたが、音楽の力を信じる女性とのセッションを通じて再び生きたいと思うようになる。

 

「私、思うんです。きっと、音楽に世界を変える力なんて無いんですよ。平和を歌っていたレノンだって暴力の前には無力でした」

「そうだ」

「──でも、すぐ隣にいる人の、聴いてくれた人の背中をちょっとだけ押してくれるような、音楽にはそんなちっぽけな力がきっとあります」

「そんなもの、聴こえなければ、無いのと同じじゃないか」

「だから私たちは曲を奏でるんですよ。届かないかもしれない。響かないかもしれない。それでも、誰かに届くことを祈って」

 

小説から引用した二人のやり取りは、コロナ禍で音楽を楽しむ場が制限される中で疑義が生じがちな「音楽の力」とは何なのかを再認識させてくれるものでもあった。

 

こうして音楽によって生気を取り戻すさまは「アンコール」のピアノを主体とした印象的な旋律にも反映されており、その美しさが支持される形で本曲はストリーミング2.5億再生、MV8,000万再生、フル配信10万ダウンロードを突破した。


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EP『THE BOOK』の発売と同日に、EP未収録の新曲「怪物」も配信された。この曲はアニメBEASTARS第2期オープニングテーマに起用されており、原作となる小説も『BEASTARS』の原作者板垣巴留による書き下ろしショートショート『自分の胸に自分の耳を押し当てて』となっている。同作は下記アニメHP内「MUSIC」項目から読むことができる。

 

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BEASTARS』は草食獣と肉食獣が共存する社会の中でウサギに恋をしたオオカミが捕食本能と葛藤しながら自身の役割を見出していく物語である。「怪物」の原作小説もその中の一場面に焦点を当てたものになっており、主人公のオオカミの心理がより深く掘り下げられている。綺麗事ばかりではない社会の中を生きる主人公の決意が曲調や歌詞に反映された楽曲の世界観に没入するリスナーが続出し、「怪物」はストリーミング6.9億再生、MV3.8億再生、フル配信25万ダウンロードを突破。2021年発売曲屈指の大ヒットとなった。Billboard JAPAN Hot 100の年間でも2021年5位→2022年20位→2023年51位→2024年74位と推移している。


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なお「怪物」は3月にYOASOBI初のCDシングル『怪物/優しい彗星』としても発売されているが、やはり限定盤2種類のみの販売となっており、コアファン向けのコレクターアイテムとして位置づけられている。「怪物」とともに収録された「優しい彗星」はアニメBEASTARS第2期エンディングテーマに起用されており、「怪物」とともに人気を博し、ストリーミング1億再生、MV3,000万再生、フル配信10万ダウンロードを突破している。こちらは板垣巴留による書き下ろしショートショート『獅子座流星群のままにを原作としており、「怪物」とは対照的な曲調の感動的なバラードナンバーである。


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5月には9th配信シングル「もう少しだけ」を発売。めざましテレビのテーマソングに起用された本曲は、『monogatary.com』にて行われた「夜遊びコンテスト vol.3 with めざましテレビ」の大賞作品である『めぐる。』が原作になっている。

 

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「おはよう。」をお題に募集された本コンテストで大賞に選ばれた『めぐる。』は、慌ただしい朝に普段接点のない三人の登場人物がそれぞれ邂逅し、ささやかな親切をし合うことで笑顔が生まれていくさまを描写した小説になっている。コロナ禍でギスギスしがちな世相に癒やしをもたらしてくれるような作風が楽曲にも反映されており、「もう少しだけ」は一日の始まりを優しく彩るようなボーカルと軽快なメロディで仕上げられている。こうした要素が支持され、本曲もストリーミング2.5億再生、フル配信10万ダウンロードを突破した。Billboard JAPAN Hot 100の年間でも2021年48位→2022年98位と推移した。

 

なお本曲のMVは制作が遅くなり、公開は配信から6ヶ月後の11月となってしまい、配信直後需要を動画で取り込み損ねたことはやや勿体なかった。


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7月には10th配信シングル「三原色」を発売。こちらは脚本家の小御門優一郎が書き下ろした小説『RGB』が原作になっている。

 

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楽曲と小説はNTTドコモ『ahamo』とタイアップしており、人と人とのつながりがテーマとなっている。小説は疎遠になっていた昔の仲良し3人組の再会を感情豊かに描いている。楽曲も久々の再会に対する胸の高鳴りや喜びを表現した躍動感ある仕上がりになっている。CMソングとして大量OAされたこともあり広く人気を博した本曲はストリーミング3.6億再生、MV9,000万再生、フル配信10万ダウンロードを突破した。Billboard JAPAN Hot 100の年間でも2021年45位→2022年58位と推移した。


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8月には11th配信シングル「ラブレター」を発売。こちらは「ありがとう」をテーマにした手紙をもとに曲を作る企画「レターソングプロジェクト」から生まれた楽曲で、原作は当時小学6年生のラジオネームはつねさんによる音楽への感謝を書いた手紙『音楽さんへ』である。音楽への純真無垢な想いを「音楽さんへのラブレター」という形で表現した歌詞や大阪桐蔭高等学校吹奏楽部による演奏で盛り上げている本曲はストリーミング1億再生、MV4,000万再生を突破する人気となった。


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9月以降もYOASOBIの話題性は途切れることがなく、9月発売の12th配信シングル「大正浪漫」ストリーミング1億再生(RIAJ)、YOASOBI with ミドリーズ名義で10月に発売した13th配信シングル「ツバメ」ストリーミング1億再生(RIAJ)、MV4,000万再生を記録した。

 

12月には、2021年に発売された多くのヒット曲を収録した2ndEP『THE BOOK 2』を発売。Billboard JAPAN Hot Albumsの年間では2022年11位→2023年82位と推移する人気作となった。収録曲中唯一の新曲となった「もしも命が描けたら」ストリーミング5,000万再生を記録した。

 

2022年

 

2022年も精力的な活動が続いた。2月と5月にそれぞれ配信されたシングル「ミスター」「好きだ」ストリーミング5,000万再生を突破した。

 

そして10月には2ndCDシングル表題曲「祝福」を配信し話題を攫った。本曲はテレビアニメ機動戦士ガンダム 水星の魔女』のオープニングテーマとして起用され、同作のシリーズ構成・脚本を手掛ける大河内一楼の書き下ろし小説『ゆりかごの星』を原作としている。

 

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困難な状況の中、大切な人の言葉を励みに前に進もうとするさまを描いた歌詞は原作に沿っているが、一般化して聴き手一人ひとりの状況に落とし込むこともできた。この歌詞への共感や曲調・メロディー表現等が人気となった本曲はストリーミング3.6億再生、MV1.3億再生、フル配信25万ダウンロードを突破した。Billboard JAPAN Hot 100の年間でも2022年74位→2023年15位と推移している。


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ソロ活動等

 

この時期はメンバーのAyaseikuraそれぞれのソロでの活躍も目立った。Ayaseは「夜撫でるメノウ」ストリーミング1億再生、MV6,000万再生を突破。この曲は元々ボカロPだったAyaseがYOASOBIとしての活動を始める前の2019年2月に初音ミクによるボーカロイド楽曲として発表した曲で、2020年2月よりYouTubeにセルフカバーを公開していたが、好評を受けて2021年9月に全面配信解禁される流れとなり、そこから再生回数を積み上げた。本曲は幻想的なサウンドとAyaseの甘く優しい歌唱が聞きどころになっているラブソングである。


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ikuraもYOASOBIでの活動とは区別し併行する形で、本名の幾田りら名義でソロ活動を展開していた。その中で、2021年3月に発売し、東京海上日動あんしん生命保険のCMソングにも起用された3rd配信シングル「Answer」ストリーミング1億再生(RIAJ)を突破した。

 

さらに2022年1月にはABEMAのオリジナル恋愛番組『今日、好きになりました。 蜜柑編』主題歌にも起用された5th配信シングルスパークルを発売し、ストリーミング1億再生を記録。この曲は片想いを歌った切ないラブソングで、幾田りらの優しく繊細な歌唱も詞に込められた純粋な想いを引き立てている。


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幾田りらは他にもmilet、Aimerとのコラボ曲への参加が話題を集めた。milet & Aimer & 幾田りら名義で発売された「おもかげ (produced by Vaundy)」は、タイトルのとおりVaundyが提供した楽曲で、ソニーのワイヤレスイヤホンのCMソングに起用された。三者三様の歌声が存分に活かされたポップナンバーとして支持された本曲は、ストリーミング1億再生、MV6,000万再生(THE FIRST TAKE)を突破した。


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この他、Ayaseと幾田りらがCreepy NutsとコラボしCreepy Nuts×Ayase×幾田りら名義で2022年3月に発売した「ばかまじめ」ストリーミング5,000万再生を突破している。

 

2023年

 

ここまで日本トップクラスの規模でヒット曲を輩出してきたYOASOBIだが、なんと2023年にはそれを更に大きく上回る自身最大、日本音楽史上でも過去最大級と言えるほどの歴史的人気楽曲「アイドル」を生み出した。Billboard JAPAN Hot 100では2023年1位→2024年4位と推移。これを原動力としてYOASOBIはアーティスト人気チャートBillboard JAPAN Artist 1002023年の年間1位を獲得した。

 

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4月に配信された本曲はアニメ『推しの子』主題歌として制作された。原作はアニメ原作者赤坂アカが書き下ろしたスピンオフ小説『45510』である。

 

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この小説もそうだが、『推しの子』は芸能界の裏側を生々しく描いたヒューマンドラマとして人気となっていた。その序盤では予想外の衝撃的な展開が繰り広げられているが、「アイドル」はその展開に即して制作されており、アニメの話題性が楽曲にも大きく波及した。そして本曲のMVはアニメ『推しの子」を制作する動画工房が直接手掛けたことで精巧緻密なアニメーションムービーに仕上がっており、話題性を益々増幅させることとなった。楽曲もそれまでのYOASOBIにない新境地と言えるような内容で、癖になるikuraの歌唱表現や、コーラス・掛け声等多くの要素を取り入れめまぐるしく変化する楽曲構成が強い中毒性を有していた。

 

こうした背景から本曲は日本音楽史上トップクラスの爆発的楽曲人気となり、数々のヒットレコードを更新した。人気普及の核となったYouTubeでは信じられないほどの爆速でMV再生回数を積み上げ、公開から所要35日でMV1億再生所要77日でMV2億再生所要142日でMV3億再生所要451日でMV5億再生を突破した。これらは何れも従来記録を大幅更新する歴代最速記録である。歴代MV再生回数ランキングでは2024/12/26時点で既に3位にまで浮上している。

 

 

MVの話題性はすぐにオーディオストリーミングにも波及していき、Billboard JAPAN Streaming SongsではBTS「Butter」、Official髭男dism「Subtitle」に続き国内史上3曲目となるストリーミング週間2,000万再生超えを達成した。

 

こうした動向を反映する形で、Billboard JAPAN Hot 100では初登場から独走状態となり、1位常連の日向坂46、BE:FIRST、INI、櫻坂46、乃木坂46等を退け21週連続通算22週1位を獲得した。これはBillboard JAPAN Hot 100史上最多1位獲得週数である。更に言えば、参考程度ではあるが、ピンキーとキラーズ恋の季節オリコン1位17週も上回り、日本の有力総合楽曲ヒットチャート史上最多記録にもなった。

 

 

主要得点源となり続けているストリーミングでは異次元の再生回数水準を叩き出し、初登場から所要72ストリーミング8億再生を突破。歴代最速記録をこちらも大幅に更新した。

 

 

今なお続いているこの歴史的高動向がこの先どこまで伸びていくこととなるのか、目が離せなくなっている。


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この勢いのまま9月にはアニメ『葬送のフリーレン』主題歌に起用された新曲「勇者」を配信し、早々にストリーミング2億再生、MV1.4億再生、フル配信10万ダウンロードを突破する高動向を見せている。本曲の原作は同アニメ原作者の山田鐘人監修、木曾次郎著の書き下ろし小説『奏送』となっている。

 

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『葬送のフリーレン』は、勇者とそのパーティーにより魔王を倒した後の後日譚を描いたファンタジーで、パーティーに属していた長寿種族エルフの主人公が、旅を通じて過去を振り返りながら登場人物の人生の機微に触れていく内容。「勇者」の歌詞にはそんな主人公の優しい想いが描かれており、ファンタジックなピアノサウンドとikuraの透明感のある歌唱も雰囲気を盛り立てている。


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このほかにも、2月に配信した「アドベンチャーストリーミング5,000万再生、3月に配信した「セブンティーン」ストリーミング5,000万再生、MV3,000万再生を突破する人気を見せた。10月には前作以降に発売された多くのヒット曲を収録した3ndEP『THE BOOK 3』を発売した。

 

2024年には7月に23rd配信シングル「UNDEAD」をリリースし、ストリーミング5,000万再生を記録した。

 

まとめ

 

以上まで見てきたとおり、YOASOBIは小説を原作とした楽曲制作によりリスナーをその世界観に没入・共感させることで圧倒的な大人気を獲得している。その大活躍は各指標の歴代データを塗り替えながら現在進行形で続けられている。

 

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ヒットの歴史を塗り替え続けているYOASOBIの活動形態は前例がないものが多い。CDアルバム等の作品単位のヒットに拘らず楽曲単位のヒットを重視していることもその一つである。これはストリーミングの普及により音楽の聴き方が作品単位から楽曲単位に変化したことを捉えた活動形態であると言える。今後のヒットシーンは楽曲単位でのヒットを重視して追うことが必要となっている。

 

そんな中でもYOASOBIのヒット曲を手元に所有したいという場合は、EP『THE BOOK』『THE BOOK 2』『THE BOOK 3』がマストアイテムとなっている。CDはコレクターアイテムとしての価値を最大限高めた仕様になっているため、高額で手が出しにくいという場合は配信ダウンロードでの購入を勧める。

 

 

この記事で紹介したストリーミングやダウンロードのデータはBillboard JAPANの公式サイト日本レコード協会の公式サイトから検索することができる。新たな発見の宝庫なので、時間があれば好きな曲やアーティストのデータを検索してみることをお勧めする。

 

(参考)YOASOBIの総合ヒット曲ランキング

 

最後に、YOASOBIおよびメンバーのソロ活動の各楽曲・各指標数値を当ブログが採用する一定の計算式で総合ランキング化した表を参考として掲載する。

 

 

(ランキング作成方法および歴代総合ヒット曲ランキングはこちら↓)

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(歴代アーティスト・トータル・楽曲人気ランキングはこちら↓)

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*1:認知の急拡散度合を可視化したランキング