D−FAXを使ってみました。

無料でFAX、いいですね。
こうやってブログに書くとキャッシュバックキャンペーンとの事。
下記より。
http://www.d-fax.ne.jp/

一般社団法人MAKOTOを立ち上げました。

震災後、いろいろと思うところがありまして、
勤めていたベンチャーキャピタルを退職し、
被災地復興に貢献するために独立致しました。


一般社団法人MAKOTO
http://www.mkto.org/


MAKOTOの公式ツイッターはこちらです。
http://twitter.com/makoto_pr


■MAKOTOの目指す方向
3.11の東日本大震災。この震災は、沿岸の被災地から全てを奪い去り、内陸部にも二次被害の傷跡を残しています。しかし、この困難な状況下で、力強く立ち上がる人々がいます。復興をもたらすのは、このヒトの力です。震災後、被災地には「志」を持った起業家・経営者が多く生まれ、日本各地からも同じように「志」を持った人材が集まって来ています。私たちはここから、新しい東北経済・日本経済を担うヒト・企業が生まれると確信を持っています。歴史をひも解いてみても、第二次世界大戦後の復興からはソニーが生まれ、阪神大震災後には楽天が生まれています。このような「志」を持った起業家・経営者の力となり、その事業成長を支援する事が、復興を加速させる事に直結します。


また、現在、被災地の失業者は15万人とも言われます。この状態が放置されれば、家庭のささやかな幸せが崩壊し、さらなる不幸を生み出します。これを解決するには、被災地に一時的・短期的でない強い雇用を作り出す必要があります。そして、地域の希望となるような事業を創り出す。それが、被災地の人々の生活と尊厳を守る事に繋がります。そのために、私たちMAKOTOは、被災地で「志」を持ち困難に立ち向かっている起業家・経営者の力となります。彼らと共に、「志」の求心力をベースとした事業創造を行い、東日本大震災後の新しい東北・日本を作っていく。それがMAKOTOの目指す方向です。


現在、MAKOTOの活動は、大きく2つの事業に分けられます。
(1)復興をリードする企業作り
・被災地の「志」企業を支援
(2)復興を加速させる仕組み作り
・復興金融スキームの創成
・復興志士のコミュニティ形成


被災地復興のため、全力で頑張って行きます!

GREE上場に思う【追記あり】

SNSの老舗GREEが、2008年12月17日に上場するそうです。


「GREE」がマザーズ上場へ

同サイトを“趣味”で運営していた田中良和社長(31)が2004年12月に創業した。GREEの会員数は10月下旬に700万人を超えた。KDDIと提携し、au向けSNS「EZ GREE」も運営している。

 従業員数は79人、平均年齢は28.7歳。2008年6月期(単体)の売上高は29億3700万円、営業利益は10億4900万円、経常利益は 10億5100万円、純利益は5億8200万円。筆頭株主の田中社長が62.4%を保有。第3位株主のKDDIとリクルートがそれぞれ約6.9%を保有している。


GREEって、こんなに利益が出ていたんですね。経常で3割近くも出てるんですか。mixiと同じぐらいですね。先日のエントリーで取り上げたレポートでは、WEB2.0企業の8割以上が黒字転換できていないという話だったのですが、やはり規模が出ると違う世界ですね。いやしかし、そのGREEも法人化前の2004å¹´07月時点ではこんな感じだったので、隔世の感がします。


「それでいい、楽しいから」――7万人の町「GREE」を一人で作ってる会社員

GREEは、7月29日現在で7万1364人が利用する国内最大規模の無料ソーシャルネットワーキングサイト。ユーザーからの招待があれば、誰でも無料で参加できる。

 7万人超のコミュニティサイト。企業が維持するのも大変な規模だが、開発やサポートは田中さん一人だ。田中さんはある大手IT関連企業の社員。といってもGREEは仕事とは無関係。作業は終業後や休みの日などに行う。サーバ費用などはすべて自己負担だ。
GREEからの収入も、ない訳ではない。サイト内にGoogleのアドワーズ広告を表示しているほか、Amazonのアフィリエイトサービスを導入。ユーザーが紹介した本やCDがレビューを通じて購入されれば、売り上げの数%が支払われることになっている。しかし……。

 「儲かりませんよ。Amazonのアフィリエイトは、レビューサービスを使いたいから入れてるだけ。アドワーズも、タダで貼れるんだから貼ってみよう、くらいの気持ち」。サーバのレンタル費用など到底カバーできない。私財を投じて、運営を続ける。

 でも、それでいい、楽しいから、と田中さんは笑う。「町を作っている感覚。『シムシティ』リアル版みたいな。今日はビルが建った、今日は線路が通じた。住民は今日も幸せだった、みたいな」。


こんな変化がたった4年で起こるんですね。私たちベンチャーキャピタリストにとって、現在を見るのではなく将来を見ることの重要性を再認識させられたような気がします。投資候補企業のデューデリをしていると、つい現在の売上とか事業の進捗状況などで、その会社を評価してしまいがちです。しかし、本当に大きく育つベンチャーは、そういう基準で評価してはいけないような気がします。このGREEの成長を見て、下記のような言葉を思い出しました。


"venture capitalists invest in infant giants, not small firms."
ベンチャーキャピタルは、零細企業ではなく、インファント・ジャイアント(=巨人の子供)に投資するのだ
Thomas Hellmann (2000): “Venture capitalists: the coaches of Silicon Valley”より


実際問題、現場で「零細企業」と「インファント・ジャイアント」を見分けるのはとても難しいのですが、あえて言えば、会社側の中期計画にも書かれていない伸びシロ部分まで見る必要がある気がします。様々なベンチャーを見ていると、たまにワクワクする会社に出会うことがあります。売上ゼロで社員3人でも、ワクワクさせてくれるものを持っている会社があるのです。ようするに「この会社が世の中を変えるかも」という自分の中にある期待感なのだと思いますが、そういったものに賭けるべきなのかもしれないと改めて思いました。




【2008.11.19追記】
インフィニティベンチャーズの小林雅さんのブログに、GREEへの投資経緯が乗っていました。法人化直後の会社にpre8億円をつけ1億円を投資、3年6か月で70-80倍のパフォーマンスとのこと(IPO時の時価総額を700-800億円と想定)。会員20万人を集めただけの未熟ベンチャーを8億円と評価したところが素晴らしいですね。あと下記が印象的でした。


グリーの成長 と ベンチャーキャピタル投資
http://venturecapital.typepad.jp/blog/2008/11/post-00dc.html

業績の伸びは当初の事業計画を超えたものだ。 つまり、事業計画なんて信じて投資するというのはバカげた話だということを証明している。とはいっても投資委員会というものがあり、それを通過しないと投資はできない。 そのために鉛筆なめて、利益計画を作成をサポートしたのは私自身だった。 


うちの会社もアーリーへの投資が多いので、今回の話は勇気付けられました。

【就活向け】有望ベンチャー、中小企業の探し方

知り合いの大学生から就職活動の相談を受けました。
今の時代、大企業に行けば幸せとも思えないので、ベンチャーや中小企業の選択肢も考えたいのだそうです。しかし、いざ探そうとしても、大企業と違って全然情報が無い。有望なベンチャーや中小企業ってどうやって探したらいいんですか?との事でした。世の中の99%は中小企業なので、死に体の大企業に行くぐらいなら、伸びるベンチャーや中小企業に身を置くのも、一つの生き方かと思います。リーマンだって、GMだってつぶれる時代です。あ、GMはまだでした(笑)


というわけで、有望ベンチャー、中小企業の探し方を下記にまとめてみます。


■ベンチャーキャピタルが投資している企業に注目する
残念ながら、ベンチャーキャピタルが投資しているからといって、必ずしも有望企業とは限らないのですが、一応有望な企業が見つかる確率は高くなると思います。各ベンチャーキャピタルのHPを見ると、投資先企業を載せている所があります。下記に政府系の3VCを例として載せておきます。その他のVCについては、VECのベンチャーキャピタルリンク集から見てみてください。ちなみに、上場5VC(JAFCO、SMBC、SBI、JAIC、FVC)、は、投資先企業を載せていませんでした。


東京中小企業投資育成
http://www.sbic.co.jp/achivement/search.html

大阪中小企業投資育成
http://www.sbic-wj.co.jp/search/index.html

名古屋中小企業投資育成
http://www.sbic-cj.co.jp/investment_search.php



■有望企業の表彰制度に注目する
主に中小企業を対象としていますが、様々な方面から表彰する制度があります。そこに選ばれた企業は、何らかの見るべきポイントがありますね。例えば、中小企業庁が選んだ元気なモノ作り中小企業300社や、特許庁が選んだ知財で元気な企業2007などがあります。あとは、第1回ものづくり日本大賞ã‚„第2回ものづくり日本大賞があります。こちらは隔年で開催されていて、次回は2009年だそうです。有名なインクスなどもここに表彰されています。他に、グッドカンパニー大賞というのがありますが、ここで表彰されている企業は要注目だと思います。過去の受賞企業を見ると、今では有名企業となっているところも多いので、こういった企業に早い段階でもぐりこんでおくと、面白いポジションにつけるかもしれません。


あとは、ベンチャーなら、ベンチャー通信が選んでいるベストベンチャー100がひとつ参考になります。他にもベンチャーには、様々なコンテストや表彰制度がありますが、実はあまり参考にはなりません。なぜなら「賞を取ると、そのベンチャーは失敗する」というジンクスがある(と言われている)からです。賞を取ると、テングになったり、本業がおろそかになったりする場合があるので、難しいんですね。



■補助金に採択されている企業に注目する
中小企業庁などの施策で、有望な中小企業を選定して補助金を出しています。例えば、平成7年から10年間行われた「中小企業創造活動促進」事業や、平成11年から行われている「中小企業経営革新支援」事業があります。採択企業の情報は、各都道府県庁から発表が行われているようです。例えば東京都だとここに公表されています。



以上、有望ベンチャー、中小企業の探し方でした。

ICT業界の現状と課題

2015年にむけて総合的なICT政策を作ろうということで、「ICTビジョン懇談会」というものが総務省で開催されているようです。その第1回(10月30日)の配布資料がWEBに公開されていました。
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/ict_vision/081030_2.html


その中に「我が国のICTの現状と課題」という資料があって、「その1」〜「その8」に分割されてアップされています。非常に大量の資料ですので、まだフォローできていないのですが、どれも興味深いデータですので、私なんかは見ているだけでヨダレが出そうです。下記にリンクとスライドタイトルだけでもリスト化しておきます。興味ある方はどうぞ。



我が国のICTの現状と課題(その1)
我が国のICTの現状と課題
目次
我が国の社会経済の状況

  • 我が国の姿(主なもの)
  • 我が国の実態1(人口減少社会に)
  • 我が国の実態2(現役世代が支えるべき高齢者が増加)
  • 我が国の実態3(今後もサービス産業(非製造業)化が進展)
  • 我が国の実態4(経済成長の低迷)
  • 我が国の実態5(1人あたりGDP・国際競争力が低下)
  • 我が国の実態6(長期債務残高の増大)
  • 我が国の実態7(所得に関する地域格差が拡大)
  • 【参考】(三大都市圏の人口が集中化)
  • 我が国の実態8(食への安心、食料自給率が低迷)
  • 【参考】世界全体の実態(穀物需要の増加、価格の高止まり予測)
  • 我が国の実態9(CO2排出削減が不可欠に)
  • 我が国の実態10(エネルギー需要増加等)
  • 我が国の実態11(過疎地域における医師不足)
  • 我が国の実態12(災害大国:地震(例))
  • 我が国の実態13(交通事故件数は増加傾向)
  • 我が国の実態14(犯罪件数は増加傾向)
  • 我が国の実態15(価値を有する文化・製品等)
  • 我が国の実態16(海外で好評な日本のアニメ(例))
  • 我が国の実態17(海外で評価される日本食(イメージ))
  • 我が国の実態18(歴史ある文化遺産の数々)
  • 我が国の実態19(外国客の訪問動機)
  • 我が国の実態20(外国からの日本に対するイメージ)
  • 【参考】(戦後の)ノーベル賞受賞者(自然科学分野)

我が国のICTの現状と課題(その2)
ICTの現状

  • 情報通信産業の市場規模(80兆円超で推移)
  • 普及・発展する情報通信(インターネット利用1)
  • 普及・発展する情報通信(インターネット利用2)
  • 普及・発展する情報通信(ブロードバンド利用)
  • 普及・発展する情報通信(携帯電話の加入数)
  • (参考1)電気通信事業者の推移
  • (参考2)放送事業者の推移等
  • 通信市場の統合化の進展
  • 通信・放送の融合・連携(ネットワークの変化イメージ)
  • (参考1)レイヤー別の市場規模
  • (参考2)通信レイヤーと上位レイヤー市場の規模予測
  • インターネットの歴史

我が国のICTの現状と課題(その3)

我が国のICTの現状と課題(その4)

  • ユーザー主導の萌芽ー2
  • ICTが有する潜在力(経済成長とICTとの関連性)
  • ICTが有する潜在力(ICTと成長力との強いつながり)
  • ICT国際比較1(ICT基盤は世界最高水準)
  • ICT国際比較2(ブロードバンドは世界最高水準)
  • ICT国際比較3(我が国ICT技術の強み・弱み)
  • ICT国際比較4(ICT利活用の遅れ)
  • ICT産業の現状1(国内市場への依存度が高い)
  • ICT産業の現状2(規模で見劣りする日本の主要メーカー)
  • ICT産業の現状3(縮小均衡に陥りつつある)
  • ICT産業の現状3(縮小均衡に陥りつつある(続き))
  • ICT産業の現状4(携帯電話端末(最終製品)における日本企業のシェア低迷)
  • ICT産業の現状5(携帯電話端末(部品)における日本企業のシェア確保)
  • ICT産業の現状6(時価総額ランキング(上位30社)(2007å¹´6月末時点))
  • ICT産業の現状7(米国企業に席巻される検索サービス)
  • ICT産業の現状8(国際競争力の低迷)
  • コンテンツ市場の市場規模
  • モバイルコンテンツ市場の拡大
  • 広告市場規模の推移

我が国のICTの現状と課題(その5)
我が国のICT戦略・政策

  • 政府のICT戦略の推移
  • IT戦略本部「e-Japan戦略(2001å¹´1月22日)」(概要)
  • IT戦略本部「e-Japan戦略II(2003å¹´7月2日)」(概要)
  • IT戦略本部「IT新改革戦略(2006å¹´1月19日)」(概要)
  • IT政策ロードマップ工程表(電子政府分野)
  • IT政策ロードマップ工程表(医療・社会保障分野)
  • IT政策ロードマップ工程表(安心分野)
  • IT政策ロードマップ工程表(環境分野)
  • IT政策ロードマップ工程表(つながり力分野)
  • 政府のICT戦略と総務省ビジョンとの関係
  • 総務省のICT政策の推移(主なもの)
  • u-Japan政策の概要
  • 完全デジタル元年の実現に向けたICT基盤整備
  • (参考1)完全デジタル元年の実現に向けたICT基盤整備(ブロードバンド整備)
  • (参考2)完全デジタル元年の実現に向けたICT基盤整備(放送のデジタル化)

我が国のICTの現状と課題(その6)

  • 競争政策の推進(電気通信事業分野における競争政策の変遷と今後の課題)
  • ICTによる地域活性化施策(全体像)
  • 医療xICT(医療の高度化〜「遠隔医療の推進方策に関する懇談会」概要)
  • 【参考】遠隔医療の類型
  • 地球温暖化xICT1
  • 地球温暖化xICTï¼’
  • 働き方xICT(テレワークの普及促進)
  • 企業xICT(生産性向上)
  • 企業xICT(ASP・SaaSの活用と普及に向けて)

我が国のICTの現状と課題(その7)

  • 【参考】ユビキタス特区のイメージ1
  • 【参考】ユビキタス特区のイメージ2
  • 人材xICT
  • 安心・安全xICT(情報セキュリティ対策)
  • 安心・安全xICT(情報バリアフリー環境の整備)
  • 安心・安全xICT(アンケート調査)
  • 安心・安全xICT(利用環境整備等に関する取組1(全体像))
  • 安心・安全xICT(インターネット上の違法・有害情報に関する総務省の取組2)
  • 安心・安全xICT (「安心ネットづくり」促進プログラムの構成)

我が国のICTの現状と課題(その8)

  • 国際競争力の強化に向けた取り組み
  • ICT国際競争力強化プログラムver.2.0(基本プログラム)の概要
  • ICT国際標準化戦略の全体像
  • ICT標準化・知財センター(ISIPc)の創設

諸外国のICT戦略

  • 諸外国の主なICT戦略の例
  • 米国:「戦略計画」
  • EU:「i2010〜成長と雇用に向けた欧州の情報社会〜」
  • 英国:「英国をつなぐ:デジタル戦略(Connecting the UK:DigitalStrategy)」
  • ドイツ:「iD2010」
  • フランス:「PAGSI」・「RE/SO2007計画」・「フランスニュメリック2012」
  • 中国:情報産業「第11次5ヵ年計画」
  • 韓国:ニューIT戦略
  • 台湾:ICT発展計画
  • シンガポール:iN2015

創薬系バイオベンチャーのビジネスチャンスは着実に広がっている

最近個人的には、バイオベンチャーに、すこしづつ追い風が吹いている気がしています。資金調達面では相変わらずの逆風ですが、そんな中でも各社の努力が実を結び、事業自体は確実に進捗しているようです。先日、北海道大学発ベンチャーのイーベックが5500万ユーロ(約70億円)のディールに成功したことは記憶に新しいですし、アンジェスのコラテジェンも申請段階に入っています。成果が出始めていると思います。


実際、私のところに入ってくるバイオ案件も、結構開発が進んでいる物が多いです。ただ、バイオはどうしても投資額が大きくなるので、独立系VC1社でできることには限界があって、他VCの動向を見ざるを得ないところがあります。他VCは、先のエントリーでも触れたように消極的な姿勢に終始していますので、断念せざるを得ないのがとても残念です。既に上場しているバイオベンチャーの業績が上向いてくれば、投資家のバイオに対する評価も好転し、流れが変わってくるのではないかと思います。実際ここ最近、バイオの株価は上向くような素振りを見せはじめていますね。今度こそ、本当に底打ちだと良いのですが・・・(笑)




バイオベンチャーへの追い風に関しては、大和総研からも下記のようなレポートが出されていました。
「バイオベンチャーのビジネスチャンス」
http://www.dir.co.jp/souken/research/report/emg-inc/biz-model/08110401biz-model.html

◆大手製薬企業の大型医薬品の特許切れが2010年〜2012年にかけて集中し、医薬品市場の伸び率が鈍化すると見られている。

◆製品の特許切れに伴う収益減少を補完するためには新たな大型医薬品の開発が必要となるが、近年の臨床試験の厳格化等により、開発サイクルは長期化し、新薬の承認取得数は減少傾向にある。

◆そうした状況の中、国内外の大手製薬企業は、高品質な医薬候補品を有する創薬系バイオ企業との提携や買収を行うことで、医薬候補品の拡充・充実や、研究開発の生産性向上を図ろうとしている。

◆有望な医薬候補品や創薬技術を有するバイオ企業には、大手製薬企業から熱い視線が集まっている。提携や買収案件は年々増加しており、需要の拡大により取引金額も大型化している。創薬系バイオベンチャーのビジネスチャンスは着実に広がっている。


今年春に出た新光証券のレポートもなかなか面白いです。
「世界の中における日本バイオの現況」
http://www.ikegin-c.jp/pdf/frm080421.pdf


そういえば、昨年、今年とメガファーマが日本の研究所を相次いで閉鎖していますよね。グラクソスミスクライン、ノバルティス、ファイザー、バイエル、萬有製薬(メルク)。そこからの人材流出もバイオベンチャーにとっては追い風と言えます。そのためには、VCとしては、今こそ資金を提供してあげたいところなんですが・・・

金融危機はベンチャーキャピタルにどう影響するか

最近、知り合いから「金融危機でVCは大変でしょう。つぶれたりしないの?」と聞かれることがありますが、基本的にVCの経営はファンドからの管理報酬で成り立っているので、収入は安定しています。したがって、金融危機の直接の影響はない!と言いたいところですが、やはりいろいろな面で影響があります。

下記3つに、まとめてみました。



1.新規ファンドの創設は絶望的・・・
去年の暮れあたりから、VCが新しいファンドを作ろうとしても、資金集めに苦労する状況ではありました。しかし、ここ数ヶ月は絶望的です。金融機関が硬く殻に閉じこもってしまっていますので、ほぼ不可能のようです。金融機関の中には、サブプライムで大きな損失を出しているところも多いですが、市況が落ち着いてきたら、「サブプライムで損するぐらいなら、ベンチャー育成をして損をしたほうが、ずっと有意義(?)だ」という議論が起こって、VCファンドへの出資が増えることを期待したいですね。新規ファンドについては上記の通りなのですが、既に存在するファンドに関しては、基本的には金融危機の影響はありません。しかし、アメリカではキャピタルコール時にLP(出資者)が資金拠出を拒んだり延期したりといった事例も出てきたようです(参照)。



2.投資先企業は資金繰りに困窮・・・
大きな借入でもしていない限り、VCの経営は比較的安定ですが、投資先企業の経営は大変です。これまでうまく行っていた商談が、先方の事業見直しなどで破談になるようなケースも出始めています。また、金融機関が融資を絞ることによって、資金繰りに困窮するケースもあります。一般的にベンチャーは、景気に関係なく伸びていく企業も多々あります。不況によって優秀な人材が大企業から飛び出してきたり、良い条件でオフィスが借り易くなったりと、ベンチャーに有利な面もあります。しかし今回は、米大手VCのセコイヤキャピタルも、投資先企業に向けて「今すぐ徹底したコスト削減をすべき、さもないと死ぬぞ」と警告を発している(参照)ぐらいですから、一筋縄ではいかないようです。

このように投資先の経営が困難になってきますので、VCとしては既存投資先への追加出資のために、資金を確保しておこうということになります。したがって、新規案件への投資が消極的になるのは否めません。上で触れたように、新規ファンドも作れない状況ですので、資金調達をしたいベンチャーにとっては厳しい状況となっています。ベンチャーの中には、背に腹は変えられないということで、株価を1/10に下げてまで資金集めに奔走する所も出てきています。投資環境としては、逆にチャンスが訪れている状態です。



3.IPO市場は危機的状況・・・
以前のエントリでも触れましたが、2008年に入ってから、極度に新規IPOが出にくい状況になっています。これは6月以降も改善されておらず、アメリカ(参照)でも、日本(参照)でも同様です。無理にIPOしても公募割れになってしまうので、直近ではM&Aを狙うほうが良いかもしれません。しかし、事業会社の経営難からM&Aも不調ですし、そもそもIPOが出ないとM&Aの価格も買い叩かれるといった事情もあるようです(参照)。投資先企業のEXITがなければ、キャピタルゲインが得られないので、VCにとっては非常に苦しい状況です。



ところで、新興市場に投資している方の中には「金融危機で、VCが持ち株を換金売りしたがるのではないか?」と思う方もいるかもしれませんが、それはあまり関係ありません。すぐに売りたがるのはVCの常ですが、このような市況では、むしろ株価が回復するまで保持して、より高く売ろうと考えるのが普通ではないでしょうか。ITバブル時に作ったファンドは、そろそろ満期となるところも多いですので、そういった意味では売り圧力は増えるかもしれません。


このように不動産系のファンドなどに比べると、格段に状況は良いのですが、それでも長く苦しい時期となりそうです。入社して1年でこの状況ですので、なかなか面白い展開ですね。頑張りたいと思います。