このところの金融危機で、ベンチャー企業の資金調達も、非常に厳しい状況です。アメリカでは、多くのベンチャーキャピタルが新規投資は控え、既存の投資先のサポートに手一杯の状況です。


「既にファンドレイズを完了しているVCならさほど関係ないのでは?」と先日、言われたことがあるのですが、事は、そんなに簡単ではありません。


今は、金融市場全体がフリーズしている状態で、IPOはまったくなし。IPOがないとなると、VCは資金を回収する手段がM&Aだけになってしまいます。しかしながら、M&Aの際の買収価格というものは、IPOした時の企業価値が参考になるので、参考となるIPO自体がないとなると、M&Aの価格も買い叩かれます。つまり、IPO市場が復活するまでは、いいリターンを求めるのは難しいということです。


では、IPO市場がいつ復活するのかということですが、こればっかりは、なんとも言えません。まずは、現在の市場を覆っている投資家の不安心理が完全に払拭される必要があるでしょうが、これだけ短期間に急に下がってしまうと、復活までにもそれなりの時間がかかりそうで、これがさらに新規投資を行いにくくしているという悪循環・・・・。


僕の投資先も事業自体は順調に行っているところが多いですが、どのVCも新規投資を渋っているので、新規の資金調達に迫られているベンチャーはどこも苦労しています。まあ、それでも、VCは投資をするのが仕事で、全く投資をしないわけにもいかないので、本当にいい会社には資金が集まるとは思いますが、まあ、それなりの苦労は避けられそうにありません。


一方で、買収をしたい大企業からすると、今が買い時ということなんですが、大手企業自体の株価も相当下がっているので、なかなか積極的な買いは入れられないところでもあります。


過去を振り返ると、ネットバブル崩壊後の2003年、医療機器ベンチャーのIPOは、その後、5000億円で買収された超優良企業のKyphonのみ。つまり、IPO市場はほとんど機能していませんでした。しかし、ネットバブル崩壊後から、買収が増加し、多くのベンチャーが成功しています。積極的な買収が起こるまでは、もうちょっと時間がかかりそうですが、今回も、また同じようなことが起こって欲しいと、秘かに祈ってます。