西海に甦る『サカラメンタ提要』 “Manuale ad Sacramenta Ecclesiae Ministranda” ressurrecto em Saikai 今から4世紀半も昔、わが日本にヨーロッパ音楽、洋楽が渡来して、おどろくべき繁栄をみせました。とくに北九州地域では、キリスト教の聖歌とともに器楽音楽まで受け入れられ、日本人によって歌い奏されたことが多数の史料によって明らかにされています。 不幸なことに、その後の徳川幕府による大弾圧のため、洋楽譜も、また日本人の手で作製されたという洋楽器も、すべては邪教の具として破棄され焼却されてしまいました。 16世紀の後半から17世紀初頭、いわゆるキリシタン時代の日本における洋楽受容の姿を楽譜のかたちで証言しているのは、現存する限り、1605年（慶長10年）に長崎で印刷刊行された『サカラメンタ提要』ただ1点のみであります。 その『

西海に甦る『サカラメンタ提要』 “Manuale ad Sacramenta Ecclesiae Ministranda” ressurrecto em Saikai 『サカラメンタ提要』について サカラメンタとは、キリスト教用語「秘跡（サクラメント）」のこと。神と人間とを仲介し、神の恵みを人間に与えることである。カトリック教会では、洗礼、堅信、告解、聖体、婚姻、終油、叙階の7つを指し、その正式で公の礼拝式を典礼と呼ぶ。典礼の式次第を示したものを典礼書といい、それは内容によって3種に区分される。ミサ（聖体祭儀）の式次第である「ミサ典書（Missale）」、司教が執行する諸儀式を含む「司教用定式書（Pontificale）」、司祭が執行する秘跡およびその他の儀式のための「定式書（Manualeすなわち提要、またはRituale）」である。よって、Manuale ad Sacrament

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