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熊野灘の海は遮るものがない。海は空と溶けあって無辺に広がり、あふれる光の種子をまいたかのように海... 熊野灘の海は遮るものがない。海は空と溶けあって無辺に広がり、あふれる光の種子をまいたかのように海原はまばゆく輝いている。王子ケ浜の砂利石の渚に波が打ち寄せる。空は抜けるように青い。 ふと、口ずさんだのが佐藤春夫の『望郷五月歌[ごがつか]』の詩の一節だ。「空青し山青し海青し…」。熊野灘に臨む新宮は、詩人が巧みに切り取ったように、海と山と川の自然が交じり合ったところである。 町の南西にそびえ立つ岩山の上に神倉神社がある。ここに鎮座する巨大なゴトビキ岩に神が最初に降臨した。そこから後に新しく宮を遷したのが熊野速玉大社であり、新宮とはその伝承に由来している。この熊野速玉大社境内の一角に、東京にあった佐藤春夫の旧邸を移築、再現した「佐藤春夫記念館」がある。いわば望郷詩人の帰郷だ。 1892(明治25)年、佐藤春夫は新宮に3人兄弟の長男として生まれた。代々医者の家柄で、名前は父親が詠んだ「よく笑へどち