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軽便鉄道の停車場のちかくに、猫の第六事務所がありました。ここは主に、猫の歴史と地理をしらべるとこ... 軽便鉄道の停車場のちかくに、猫の第六事務所がありました。ここは主に、猫の歴史と地理をしらべるところでした。 書記はみな、短い黒の繻子(しゆす)の服を着て、それに大へんみんなに尊敬されましたから、何かの都合で書記をやめるものがあると、そこらの若い猫は、どれもどれも、みんなそのあとへ入りたがつてばたばたしました。 けれども、この事務所の書記の数はいつもただ四人ときまつてゐましたから、その沢山の中で一番字がうまく詩の読めるものが、一人やつとえらばれるだけでした。 事務長は大きな黒猫で、少しもうろくしてはゐましたが、眼などは中に銅線が幾重も張つてあるかのやうに、じつに立派にできてゐました。 さてその部下の 一番書記は白猫でした、 二番書記は虎猫(とらねこ)でした、 三番書記は三毛猫でした、 四番書記は竃猫(かまねこ)でした。 竃猫といふのは、これは生れ付きではありません。生れ付きは何猫でもいいので
2015/01/15 リンク