今日のエウレカ#7 サードウェーブ系男子と森茉莉｜小野美由紀

今日のエウレカ#7 サードウェーブ系男子と森茉莉｜小野美由紀

森茉莉のエッセイ集「父の帽子」の一文。 "日本にもいい生活に憧れる一群の人々があって、美しい生活を...概要を表示 森茉莉のエッセイ集「父の帽子」の一文。 "日本にもいい生活に憧れる一群の人々があって、美しい生活をする主婦達もある。だがそれらは彼女たちの頭が理解したものであって、心臓が理解したものではない。服装、活け花、読書、いろいろな趣味、なににでもつきまとっているものは、彼女達のなにかに縛られた頭である。かくあるべき考え、かくあるべき生活、かくあるべき洋服、髪の形、表情、言葉、笑い。なんでもが、なにものかをお手本にした、造りものである。彼女等自身ではない。生まれたままでいて、誰か育てる人があれば生生とした女になるだろうと思われる少女も、いつのまにかベストセラアという名称や、デザインブックの捕虜（とりこ）になる。そうしてかくあるべく髪を断り、かくあるべき洋服を着、流行の小説を手に持った現代娘が又もう一人出来上るのだ。そういう造りものの人生がたくさん集まった世界が、現代の日本であり、他人の頭で考え、他人