エントリーの編集
エントリーの編集は全ユーザーに共通の機能です。
必ずガイドラインを一読の上ご利用ください。
エントリーの編集は全ユーザーに共通の機能です。
必ずガイドラインを一読の上ご利用ください。
注目コメント算出アルゴリズムの一部にLINEヤフー株式会社の「建設的コメント順位付けモデルAPI」を使用しています
半藤一利『荷風さんの昭和』(ちくま文庫)を読む。昨年読んだ同じ著者の『荷風さんの戦後』(ちくま文... 半藤一利『荷風さんの昭和』(ちくま文庫)を読む。昨年読んだ同じ著者の『荷風さんの戦後』(ちくま文庫)の姉妹編。おもに戦前から戦中の荷風のことが『断腸亭日乗』を参照しながら書かれている。半藤は荷風が好きなので、視線が暖かく読んでいて好ましい。半藤も江戸っ子なので、薩長閥の政府や軍部を嫌う荷風と価値観を共にしている。 昭和16年12月8日、日本は真珠湾を先制攻撃しアメリカに宣戦布告する。戦果はめざましいものがあった。中島健蔵も本多顕彰も小林秀雄も亀井勝一郎も横光利一も、みな興奮し感動して戦争開始を祝っている。ひとり荷風だけが何の感慨も抱いていない。 さて荷風さんである。この人の国家観もしくは戦争観というものが、明確かつ鞏固な全面的な近代否定の上に立っていることは、すでに何度も書いた。その文明批評は、あまりに時代に背を向けすぎていて、たしかに現実にたいする有効性を、まったく欠いているものであった