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ことのはじまりは、「7653」とだけ書いた謎の手紙がミラノに住む私のアパートに届いたことだ。 封筒... ことのはじまりは、「7653」とだけ書いた謎の手紙がミラノに住む私のアパートに届いたことだ。 封筒に差出人の氏名住所はなく、宛名は手書き。スタンプは薄く、郵便局名は読めないが東京都から出されたものであることだけはわかった。便箋は和紙の縦書きのもので、中央にその罫線を無視して、ボールペンのようなもので横書きアラビア数字で書かれていた。 まるで推理小説だ。 もちろん、嫌な気分がした。 謎は解けず、それは誰かのいたずらで私を喜ばす仕掛けがあるのだと自分に思い込ませようとしたが、背後に不吉なものがあるのではと思えて仕方がない。 イタリア人の彼、アウジリオは便箋を手にめすがめすして、「この便箋はかすかな薔薇の香りがする」と言う。子供の頃からアレルギー性鼻炎を患ってきた私は、ミラノにきてからも完治せず、嗅覚が人の何倍も弱く、匂いに鈍感だ。香りに敏感な人を羨ましいとは思うけれど、便箋に残るかすかな薔薇の
2016/05/01 リンク