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小さな頃丘を登ったことがある。丘と言っても公園にある3mほどの段差のような存在だ。 手で草を掴み、脚... 小さな頃丘を登ったことがある。丘と言っても公園にある3mほどの段差のような存在だ。 手で草を掴み、脚で懸命に地面を捉え、よじ登る。 世界が変わった。 せいぜい130cm程しかない身長では知り得なかった光景が視界に広がっていったのだ。 それからというもの冷静な大人では進まないような草木生い茂る道だろうと、高い場所なら登り続けた。 知らない世界を見るたびに心躍り、世界を好きになっていった。 大きくなり山を登り始めた。 見たことのない花や透き通った渓流は美しい。険しい道すら日常からの乖離を感じさせ楽しくあった。 何より山頂にたどり着いた時の光景、あれだけは何にも代えがたい。人生の拠り所とすら言える存在だ。 事故にあった。 なんてことはない自損事故だ。 原付なのにスピードを出していて、飛び出してきた猫に気を取られて、ハンドル操作を誤って、地面を滑るように転げていった。ただそれだけ。 ただそれだけな
2017/09/24 リンク