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DJIの強力手ブレ補正カメラ「OSMO ACTION」を小走りで撮影してみた

DJIは16日、前日夜に発表したアクションカメラ「OSMO ACTION」の説明会を開催。OSMO ACTIONの実機を披露した。価格は44,820円(税込)で、発売日は5月17日。前面と背面の両方にカラーのディスプレイを搭載し、4K/60pの動画撮影もサポート。強力な手ブレ補正「RockSteady」を搭載する。

アクションカメラ「OSMO ACTION」

詳細は既報の通りだが、追加で明らかになった情報も盛り込みながら紹介する。1/2.3型CMOSを搭載し、有効画素数は1,200万画素。レンズの画角は145度で、明るさはF2.8。4,000×3,000ドットの静止画や、4K/60p/100Mbpsの動画撮影が可能。写真フォーマットはJPEG/JPEG+DNG、動画はMOV、MPEG-4 AVC/H.264、microSDカードは最大256GBまで対応する。外形寸法は65×42×35mmで、重量は124g。

前面と背面、どちらにもディスプレイを備えている

動画撮影時に使える強力な手ブレ補正機能「RockSteady(ロックステディ)」は、EIS(電子式映像ブレ補正)と複雑なアルゴリズムを組み合わせたもの。10年以上にわたる3軸メカニカルジンバルの開発経験を活かしたもので、「4K/60fpsを撮影する場合でも、 EISと連携して滑らかで安定した高画質の動画であらゆる動きを撮影する」という。なお、このRockSteadyは、後述するHDR撮影時にはOFFとなる。

発表会場で、4K/60pの撮影モードで、RockSteadyをON/OFFした動画を撮り比べてみた。撮影スタイルはカメラにフローティングハンドルを取り付け、それを手に持って、歩行と小走りをしてみた。それぞれRockSteady ON/OFFで撮影している。

発表会場でRockSteadyの効果をチェック
歩行RockSteady OFF/DJI「OSMO ACTION」-AV Watch
歩行RockSteady ON/DJI「OSMO ACTION」-AV Watch

小走りではよりブレが大きくなるが、RockSteady ONではかなり強力に補正されているのがわかる。まるで“大またで歩きながら撮っている”ように見えるが、これも小走りしながら撮影したものだ。

小走りRockSteady OFF/DJI「OSMO ACTION」-AV Watch
小走りRockSteady ON/DJI「OSMO ACTION」-AV Watch HD

RockSteady機能は、電子式の映像ブレ補正技術だが、ONにするとシャッタースピードが向上し、CMOSセンサーで撮影された映像を分析。これらの映像のエッジを切り取って補正することで実現しているという。複数のフレームを重ね合わせ、「最終的にシャープで鮮明、かつ正確に露光された単一フレームに結合される」という。

フロントに1.4型、背面に2.25型で640×360ドットのディスプレイを搭載。背面ディスプレイを2本の指でタップすると、フロントディプレイに表示が切り替わる。この画面を見ながら、アングルを調整して自撮り撮影が可能。ディスプレイはどちらも750±50cd/m2と明るく、屋外でも視認しやすいという。

ハウジングなどを使わず、水深11mまでの防水性能を搭載。背面タッチスクリーンに防水シールと疎水性コーティングを施している。オプションのハウジングと組み合わせる事で、水深60mまでの撮影にも対応する。

ハウジングなどを使わず、水深11mまでの防水性能を搭載
オプションで防水ハウジングも用意

レンズは、グレアを効果的に減らす非球面の3層構造で、直射日光の下でも鮮明な撮影ができるという。レンズフィルターには油/水/汚れなどの小さな粒子をはじく指紋防止コーティングを施している。このフィルターは取り外し可能で、別売アクセサリでNDフィルターもラインナップしている。マイナス10度の環境でも撮影可能。

レンズフィルターを外したところ
NDフィルターもオプションで用意

HDR撮影にも対応。D-Cinelikeモードは、センサーからワイドダイナミックレンジを捉えるように設計されており、色が均等に分布しているため、映像の暗部が大幅に改善されるという。本物のLUTではないが、フラットなカラープロファイルの低コントラスト動画で、「ポストプロセス時のオプションに最適」とする。

解像度1080p/240fpsの8倍スローモーション撮影や、最大120秒の長時間露光にも対応。夜空の星の撮影にも使用できるという。

Action OSを採用し、効率的で合理化されたUIを採用。背面ディスプレイをタップ、スワイプする事で操作ができる。カスタムモードも備え、頻繁に使用する撮影モードと露出設定を保存/一覧表示/選択できる。

背面ディスプレイをタップ、スワイプする事で操作できるUI

側面に備えたクイックスイッチ(QS)ボタンを使うと、モードや設定に素早くアクセス可能。フロント画面とバック画面を切り替えたり、モードを変更したり、カスタム設定の選択に活用できる。

左側面にQSボタン
天面
microSDカードスロット部分

SnapShot(スナップショット)機能も搭載。シャッターボタンを押すと電源が入り、2秒以内に撮影を開始できる。音声操作もサポートし、5種類の音声コマンドで、動画や写真の撮影、デバイスの電源オフなどが可能。ただし、英語・中国語のみの対応となる。

IEEE 802.11a/b/g/n/acの無線LANや、Bluetooth連携にも対応。バッテリー容量は1,300mAhで、1080P/30fpsで最大135分(ロックステディOFF)、4K/60fpsで最大63分(ロックステディON)の撮影が可能。充電所要時間は90分。

スマホ向けアプリ「DJI Mimo」とも連携可能。ストーリーテンプレートを使い、撮影した映像からハイライト動画を手軽に作成し、SNSでシェアできる。

製品には、カメラを「一般的なアクションカメラのマウントに取り付けできるようにする」というカメラフレーム、吸着式フラットマウント/カーブマウント、クイックリリースベース、止めネジ、バッテリーケース、バッテリー、ケーブルなどを同梱する。

これに加え、別売アクセサリとして、水深60mまでの防水ケース、1/4インチのネジアダプター、ピボットアーム、バッテリを3個装着し、130分以内にすべての電池を連続充電する充電ハブ、NDフィルター、カメラを浮かせられるフローティングハンドルなどを、今後発売していく予定。

また、3.5mmプラグの外部マイクを取り付けるための、外付けのマイクアダプターもアクセサリとして発売予定。

左がバッテリを3個装着し、130分以内にすべての電池を連続充電する充電ハブ

新たな撮影シーンをもたらすピースになる

DJI JAPANのコンシューマ マーケティング ディレクター・川中良之氏は、「空撮用に発展したジンバルを、Roninシリーズとして地上にも展開。大規模な映画撮影など、様々な場所で活用されている。そして、昨年11月には、Osmo Pocketを発表。手軽に楽しく使え、動画をより身近にしてくれる製品だと我々は信じているが、驚くほどの高反響を頂いており、嬉しく思っている」とコメント。

こうした製品で空撮や街中でのスムーズな撮影に対応している一方、「激しいスポーツや、水中、極寒の環境などで、撮影者がアクションをしながら使えるカメラがあれば、新たな撮影シーンをもたらすピースになると考えた」と語り、OSMO ACTIONを紹介した。

DJI JAPANのコンシューマ マーケティング ディレクター・川中良之氏

発表会には、マウンテンバイクプロライダーの永田隼也氏も登壇。マウンテンバイクでダウンヒルやエンデューロの大会で活躍している永田選手が、実際にマウンテンバイクのハンドルやヘルメットにOSMO ACTIONを装着。ダウンヒルした動画も公開された。

DJI - Osmo Action 「Through the Lens」
マウンテンバイクプロライダーの永田隼也氏

なお、この撮影では、レンズフィルターが着脱できる事を活かし、永田選手が普段愛用しているアイウェアの「オークリーPRIZMレンズ」を、レンズフィルター化したものを装着。“永田選手が見た視界”も再現した。

「オークリーPRIZMレンズ」を、レンズフィルター化したものを装着。“永田選手が見た視界”を再現した

永田選手は実際に使用した感想として、「映像のブレなさは想像以上でした。ハンドルにも取り付けたのですが、走行中は凄い衝撃が来るのでブレてしまうかなと思っていましたが、ぜんぜんブレのない映像が撮影できて、最初に映像を確認した時に感動しました。デュアルモニタなので画角もすぐに確かめられ、快適でした」と振り返った。

永田選手が撮影に使用したマウンテンバイク