■池江璃花子が「平社員」だなんて見え透いた嘘はやめろ

池江璃花子が平社員と同じ立場だと主張するバカ（anond:20210508032456 とか、ブコメとか）が大量に湧いていて開いた口が塞がらない。

四の五の言う前に、とりあえず池江璃花子のオフィシャルサイトを見てくれ。そこらへんの平社員が、こんな見栄えの良い、内容の充実した、IEにも対応していて右クリック禁止の個人サイトを持っているか？そもそも、そこらへんの平社員が自分の個人サイトに「オフィシャルサイト」なんて名前をつけてもギャグにしかならないだろう。

「お知らせ」をクリックすれば、メディアへの出演情報がたくさん表示される。そこらへんの平社員がこんなにテレビにたくさん出演するか？池江璃花子を単体で特集したNHKスペシャルが2回も3回も放送されているが、こんな平社員がいるか？

「企業・団体の皆様へ」をクリックすれば、スポンサー企業の名前がずらりと並ぶ。ヤクルトと東京海上日動とSK-ⅡとCM契約を持っている平社員なんているか？

こちらは2020年7月の出来事だが、池江璃花子は組織委員会が主催する延期された東京五輪の広報イベントで主役を務めた。

そこらへんの平社員が、国立競技場を貸し切って全世界に対して五輪の広告塔としてメッセージを発信したりするか？

池江璃花子は平社員なんかではなく、すでに億単位での金が投資されている商品である。

顔が良くて水泳が上手いだけでも商品価値が高かったのだが、白血病になりそれを克服したという物語性が加わったことで、その商品価値はさらに高まった。

いまや池江璃花子はただの水泳選手ではなく、アイドルであり東京五輪の象徴であり、ある種の「正義」の象徴なのである。

もし池江璃花子が不細工だったら、あるいはもし白血病にかからなかったとしたら、延期された東京五輪の象徴のような存在に祭り上げられることもなかっただろうし、ここまで熱心に擁護する連中もわかなかっただろう。

このような立場になってしまったことは池江璃花子にとって悲劇なのかもしれないが、もちろん池江璃花子も単純な被害者ではない。

現にスポンサー契約を通じて千万単位の収入を得ているし、現役引退後には指導者、女優、タレント、政治家などに転身する、そういうキャリアも当然考えているはずだ。

そういう意味において、広告代理店やマスメディアやスポンサー企業や政治家が作り上げてきた「池江璃花子」という偶像に五輪批判が向かうのは当然の結果である。悲劇のヒロイン池江璃花子さんのために東京五輪を成功させましょう、悲劇のヒロイン池江璃花子さんのために皆さんは我慢しましょう、悲劇のヒロイン池江璃花子さんのために五輪選手には優先的にワクチンを打ちましょう、そういうメッセージのために「池江璃花子」を利用してきたのが東京五輪関係者なのだし、それを許してきたのが池江璃花子本人である。

今のような状態になることを避けたければ、池江璃花子は、組織委員会に延期された東京五輪の広告塔として利用されることを拒まなければならなかった。「体調が万全でないから」とか「練習に専念したいから」とか、いくらでも理由をつけることは可能だっただろう。しかし彼女はそうしなかった。それは金銭的な利益のためだったのかもしれないし、純粋な善意からだったのかもしれない。しかし、コロナ対策がうまくいかなければ五輪の開催は不可能になり、世論が悪化すれば批判の矛先は自分にも向かうと、本人あるいは周囲のスタッフが予想することは可能だったはずだ。その上で組織委員会に広告塔として利用されることを選択したのだから、現在の状況はある意味では自分で招いた結果だと言える。

だから、池江璃花子を「平社員」呼ばわりするのは侮辱にほかならない。彼女は経済的にも社会的にも、平均的な日本人と比べて圧倒的な強者なのだし、彼女が今の状況にあるのは自ら状況を判断して選択をした結果なのだ。馬鹿で間抜けなネット民が池江璃花子を「平社員」呼ばわりして勝手に自分を重ねて気持ち良くなるのはけっこうなことだが、それがどれだけ滑稽で失礼なことなのかはせめて自覚してもらいたい。

Permalink | 記事への反応(12) | 12:13

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