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読書感想|小説|『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』

本書258ページより

 

こんにちは、天音です。

 

雨音読書ブログへようこそ!

 

今回は下村敦史さんのミステリー小説、『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』をご紹介します。

 

 

 

基本データ

タイトル

全員犯人、だけど被害者、

しかも探偵

作者 下村敦史
出版社 幻冬舎
出版日 2024年8月5日
ページ数 356

 

SNSで新刊本として紹介されていて興味を持ちました。

完全にタイトル買いです

 

あらすじ

「私が犯人です!」「俺が犯人だ!」、全員犯人です!
社長室で社長が殺された。それに「関わる」メンバーが7人ある廃墟に集められる。未亡人、記者、社員2人、運転手、清掃員、被害者遺族ーー。やがて密室のスピーカーからある音声が流れる。「社長を殺した犯人だけ生きて帰してやる」。犯人以外は全員毒ガスで殺す、と脅され、7人は命をかけた自供合戦を繰り広げるがーー。

アマゾンより引用

 

ネタバレなし感想

 

ある事件において関わりのある7人が、逃げ場のない密室に閉じ込められ、何者かの目的のために生死をかけたバトルをする。

 

いわゆるデスゲーム系のミステリーです。

 

姿の見えないゲームマスターから、「社長を殺した犯人以外を全員毒殺する」という一方的な提案をされ、プレイヤーは誰もが犯人になりたがるというとてもユニークな設定!

斬新です!

問題を起こした会社の社長夫人、社員、被害者遺族、ジャーナリスト……。

ぶつかり合わないわけがありませんよね。

 

もうバチバチ!

 

基本的にはプレイヤーの自白合戦です。

 

生きる残るために隠していた罪を語り、さらには騙る。

各々の欲求や欺瞞、野望が伝わる、クローズドルームのヒリヒリが満ち満ちていました。

 

現代の社会的な問題も取り扱っていたんではないでしょうか。

暴露への誹謗中傷や政治的テロに触れていたりして、リアル寄りな印象を受けました。

 

二転三転する犯人候補と自白。

読み手として、どんなラストを味わわせてくれるんだと作者に挑む気持ちと同時に、きっと驚きが待っているのだろうと信頼も抱く作品でした。

 

ネタバレありの感想

▼読了した人向けの感想です。
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デスゲーム系の小説を読んだのは実は初めてで、ギスギスしながら謎をとく空気が新鮮でした。みんなクズだなあ!

どんでん返しなのでどこまで感想を書いていいかの見極めも難しかったです。

これを読んでる方はネタバレを許容している人だと思って書いていますからね!大丈夫ですか?

 

少し不思議だったのは、劇中で自白をいちいち批判すること。

 

ゲームマスターが「犯人は殺さない」って言ってるんだから、みんなそれっぽい罪を騙って犯人になろうとするはずなのに。

そこはちょっとくどいかなという感想を抱きました。

上手に犯人になろうとする(犯人になれ)という展開ですよね。

 

これは“すべてが再演“というラストへの伏線というか、あえての演出なんでしょうか。

 

多重構造に多くの仕掛けがあってとても上手な作品でした。

ラストのパニックシーンなんか、読んでるわたしまですごくドキドキしてしまいました。

そういう「見ている人の心理を含めた」トリックだったので、いろんな裏切りを楽しめたと思います。

 

まとめ

全員犯人、だけど被害者、しかも探偵。

 

どんな罪を犯し、どんな被害を受けたのか。

 

密室に集められた容疑者たちがこぞって犯人になりたがる斬新な舞台設定に、ページを捲るの手が止められませんでした。

 

単行本で厚めですが、あっという間に読了ですよ

 

一体誰が犯人なんだ?!

誰の自白が真実なんだ?!

 

犯人の口から語られる結末を、ぜひ最後まで聞いてみてください。

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