雨音読書ブログ

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読書感想|エッセイ|『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む』

こんにちは、天音です

 

雨音読書ブログへようこそ!

 

今回は『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む』を紹介します。

 

 

基本データ

タイトル

本を読んだことがない32歳が

はじめて本を読む

作者

かまど

みくのしん

出版社 大和書房
出版日

2024年8月15日 第1刷

2024年9月1日   第2刷

ページ数 319(単行本)

 

『走れメロス』の記事が話題になったときに読んだので、続きがあると知ってこの本を手に取りました。

↓元記事

https://omocoro.jp/bros/kiji/366606/

WEB版と書籍版の違いも楽しみでした

 

あらすじ

「生まれて一度も読書をしたことがない男が本を読んだら、一体どうなるんだろう」
そんな素朴な疑問がきっかけで生まれた「本を読んだことがない32歳が初めて『走れメロス』を読む日」というオモコロ記事。
1人の男が人生で初めて本を読む。ただそれだけの記事が爆発的に拡散され、100万人の目に留まる大ヒット記事に……!

この本でしか味わえない、不思議な読書体験をぜひお楽しみください!

アマゾンより引用

 

感想

まずはシンプルに感想を一言。

超良かった!

みくのしんさんの豊かな想像力が圧巻です。

 

本に苦手意識を持っているみくのしんさんの読書を、かまどさんがアシスタントするという会話形式のエッセイ。

(……に分類されるのかな?)

この本でみくのしんさんが挑戦する話は、『走れメロス』『一房の葡萄』『杜子春』『本棚』の4篇です。

いずれも有名な短編ですね。

学生時代に読んだことがある人も多いのではないでしょうか。

 

『本棚』は『変な家』で大ヒットの雨穴さん特別寄稿作品です。

 

『変な家』はわたしも読みました!

読みやすい本だなーと思っていたのが、構成やセリフをあんなに考えて書かれていたなんて……。

作者である雨穴さんの気持ちを、まさかこの本で知るとも思ってなかったです笑

 

本を読む人たちを読むっていう二重構造で、2人が読んでいる文章を読者であるわたしたちも一文ずつ追うことができ、本文もみくのしんさんの感想もリアルタイムで楽しめます。

 

元の記事にかまどさんが「本は伏せて置かないでほしい」とみくのしんさんに言うシーンがあるんですよ。

書籍版ではカットされているようですが。

そういう部分含め、初心者が本との接し方を知っていく過程を見ることができ、みくのしんさんのように読書が苦手な人にもおすすめできる本だと思います。

 

なんといっても、みくのしんさんの心象風景の言語化が素晴らしい。

 

五感全部を使った読書で、とてもダイナミックに物語を感じている様子がこちらにもダイレクトに伝わってきます。

しかもそれを全文やるんです!

 

濃厚どころの話じゃないですよ。

 

みくのしんさんは時折読書を「疲れる」と言っていたんですが、それだけ細部まで共感しつつ読もうと思ったら疲れるだろうなと……。

わたしもどちらかといえば頭の中で映像を動かすので、そこにも共感しながら読みました。

 

読書は基本孤独だけど

本書というかこの企画のいいところは、本に慣れていない人が慣れている人に即座に質問できる体制で読書に臨んでいるところです。

お2人の掛け合い自体も楽しかったです

みくのしんさんが突飛に思えるような感想や行動をしても、かまどさんは否定しないし、「みくのしんの読み方でいい」と見守ります。

 

こういうの言うとスカしたふうに聞こえるかもしれませんが、基本的に読書は孤独な行為だと思います。

読書会とかSNSの読書グループなど、読了後に感想を言い合うことはあっても、読むのは1人じゃないですか。

 

アニメや映画は一緒に見ながら感想を言うこともあるし、最近はネットでも同時視聴ができるけど、本はそう言うのが難しいです。

ライブ配信で"Read With Me"みたいに同じ時間を過ごしても、みんな文章を追うスピードは違いますからね。

 

読んでる最中は「本と自分の対話」って感じ。

でもこの本は一行ごとにみくのしんさんが割り込んで感想をいちいち伝えてきます。

そこにかまどさんが説明したり、2人で感想を言い合ったり。

一行だから読んでる箇所がズレることなくピッタリ一緒。

新感覚な体験型読書……アトラクションに乗ってる気持ちでした。

 

しかもその感想がいちいち核心をついているので、みくのしんさんの割り込みが楽しみになるんですよ。

自分が知ってる本だと「このあたり来るぞー」って思ったり。

 

読書を邪魔されるのが楽しみだったのは初めてです。

 

わたしが思う読書のいいところ

この章はまだ自分でもまとめきれていないこともあるので、言葉足らずなところがあるかもしれませんができれば許してください。

 

この本を読んでいるときに唯一不満だったことは、読書に対して「共感」があまりにも大きな地位を占めていたことです。

みくのしんさんは、自分が共感できないこととできることへの感度が相当違うようで、読書中でも「自分と一緒」に重点が置かれているように感じていました。

 

もちろん共感は本を読むことにおいて大事な要素です。

ただ、わたしは読書を「共感できるかできないか」では判断できないと思っているところがあります。

 

『複眼人』や『コレクターズ・ハイ』はわたしにとって共感できない本でしたが、今でもなぜか折に触れて開く作品です。

 

読書のいい所の一つは他者が自分に内在することで、何かを「保留」させることができるようになることだと思います。

例えば、本書でも最初の方にみくのしんさんが言ってましたが、どの情報が大事かわからないと言うところ。

後から伏線やトリックに気づくことがありますよね。

2度目でセリフの重みが変わったりとか。

作中だけではなくて、昔読んでわからなかった話が年を経て理解できるようになることなんて多々あります。

共感する人物が変わることだってある。

 

これは心の中にその物語を置いておかないとわからないことです。

 

「人のことばをそのまま受け取り、持っておく」っていう、わかるわからない以外のもののスペース作りみたいな感じ。

 

なので、本書を読んだ後にもう一度WEB記事に戻ってみてめちゃくちゃ感動したんですよ。

https://omocoro.jp/kiji/462699/

こちらはみくのしんさんが一度挫折した『山月記』にリベンジする記事でした。

 

純粋に読書を楽しむみくのしんさんを本書で見守ってからこの記事を読むと、その凄まじい成長っぷりが顕著に表れています。

 

わからない・知らないを、抱えたままに進むめるって楽しみや思考の可動域が広がるんだなと思いました。

 

まとめ

みくのしんさんの感受性が爆発してました!

ユーモラスだけど的確な説明に、彼が見ている情景が目に浮かぶようです。

 

それと最後!

ラストページの著者紹介のところ。

ここにもみくのしん節が効いていて、気を抜いていたので声を出して笑ってしまいました。

突然グルッとこっちを向いて話しかけてきたというか……。

皆さんは最後まで油断せず読み切ってくださいね。

 

読書が苦手な人は「読んでみようかな」と、読書が好きな人は「本ってやっぱりいいよな」と。

この本を読んだら改めてそう思えるはずです。

読了後、自然と本に手が伸びる作品でした

積読どうしてる?ブックビンゴで読了作戦!

こんにちは、天音です

 

今日はみなさんに聞きたいことがあります。

みなさん。積読はありますか?

 

読書好きな方はきっと、お家に積読タワーを聳え立たせていることでしょう。

 

わたしもそれなりにあります。

 

本を買うのと同時に図書館も利用しているので、買ってしまうといつでも読める安心感からか優先順位が下がりがちなんですよね。

 

今回はそんな積読に手をつける工夫をしようと思いまして。

ブックビンゴを作ってみました。

 

 

お題は全て積読本の中から選んだもの。

ビンゴを埋めるという楽しみを読書にプラスしつつ、みなさんに目標を公開することで背水の陣をしき、さらに読書への意識を高めるという優れた作戦です。

 

このビンゴは12月の読書の目標にしようと思います。

目指すはパーフェクトビンゴですが、完全に後先考えずランダムにお題を選んでしまったので、正直すでに達成できるか不安です。

 

自分で勝手に選んだのに!

 

いちおうルールも決めますね。

初回だから自分に優しくいきましょう。

基本的に普通のビンゴと同じですが、今回は読んだ本に当てはまるお題が重複していたら同時に複数開けてもいいことにします。

例えば『クリスマス・キャロル』を読めば、「クリスマス」と「児童文学」と「外国が舞台」を開けることができる……という感じ。

 

……さすがに簡単すぎるかな。

まあいいか。

自分がどれだけ読めるかわからないから見切り発車でやってみます。

 

もしやってみたいという方がいらっしゃれば、ぜひ保存して挑戦してみてください。

良識の範囲での使用は大歓迎です

 

ビンゴができた方は、コメント欄にてどの本を読んだのか教えてくださると嬉しいです。

わたしも読んだ本は、随時感想を書いて投稿しますね。

 

今年も残り1ヶ月!
ラストスパートをかけて読むつもりです!

 

読書感想|ビジネス|『チーズはどこへ消えた?』

本書42ページより

こんにちは、天音です。

雨音読書ブログへようこそ!

 

今回はスペンサー・ジョンソンの『チーズはどこへ消えた?』をご紹介します。

 

 

⚠️今回の記事はビジネス書なのでネタバレに配慮はしません!

解説まではしませんが、すべての章で内容こみの話をします。

まっさらな状態で読みたい方は、読了後にまたきてくれると嬉しいです

 

基本データ

タイトル チーズはどこへ消えた?

作者

訳者

スペンサー・ジョンソン

門田美鈴

出版社 扶桑社
出版日 2000年11月30日 第1刷
ページ数 94(単行本)

 

言わずと知れた世界的ベストセラーですね。

「いまさら」とは言わないでほしいです

100ページ未満のシンプルなビジネス寓話。

いろんなところで目にして気になっていたので、今回、満を持して手に取ってみました。

 

あらすじ

迷路に住んでいるネズミのスニッフとスカリー、小人のヘムとホーは、チーズを探して生活していた。

チーズはお腹を満たしてくれたり、幸せを運んでくれたりする存在だ。

 

しかしある日、今まではあった場所のチーズが消えてしまう!

 

ネズミたちは新しいチーズを求めてすぐに別の場所へ探しに行ったが、2人の小人は今までいた場所からなかなか動くことができず……。

空腹に苛まれるヘムとホー。

そんな中で、ホーはついに新たなチーズを探しに行く決意をする。

 

この本の対象者は?

それをお話しするために、まずこの本で最も大切な要素の説明から。

 

チーズとは何か?

それは仕事であり、家族や恋人であり、お金であり、名声、健康、承認です。

いうならば人生で求めるもの全て。

その人に安心や充実感、幸福をもたらしてくれるものです。

 

迷路とは何か?

それはチーズを追い求める場所です。

人が生活する場所。

会社や地域社会、家庭でもあります。

 

この本は誰のために?

完全に個人的な考えですが、ビジネス書ってなんとなく説教がましそうという印象があって、なかなか手がのびないんですよ。

自分には難しいかもという恐怖もあります

バリバリの上昇志向な人向けというか……。

この本は確かにビジネス・自己啓発本なので、もちろんそういった側面はあります。

ビジネスの中で活用する人も多いでしょう。

 

ただ、それだけではありません。

 

チーズは誰もが持っていて、誰もが追い求めているものです。

みんなご飯を食べたいし、幸福を味わいたいし、好きなのを手にいれたいという気持ちがあるはずです。

そして迷路も誰もがいる場所です。

一本道の人生なんてないでしょうし、迷うステージがきっとあります。

 

つまり、社会で生き抜こうとする全て人に開かれた本だと言えるでしょう。

 

感想

いまさらだとは思いつつも、ベストセラーということで読んでみました。

 

予想以上に面白かったです!

 

シンプルな内容に短いストーリー。

1時間ほどで読むことができるでしょう。

本書の一番大きなテーマは「変化の受容と対応」です。

 

変化を即座に受け入れ、慣れ親しんだ場所を捨てたスニッフとスカリー。

変化を拒絶し、飢えてしまったヘムとホー。

結局ホーは変化を受容し、新しいチーズを発見することに成功します。

 

変化は必ずしも恐ろしいことでないのだから、まずは現実を直視するべし。

 

一見すれば当たり前のことを言っているように思えます。

 

しかし困難の最中には当たり前のこともわからなくなり、実践なんてできないもの。

 

そんな時にこの本を読めばきっと、迷路に足を踏み入れ、チーズを求めるための後押しになってくれるはずです。

 

考えたこと

わたしはかなり変化に対する恐怖が大きな人間なので、登場人物に例えるなら完全にヘムです。

 

多かれ少なかれ、人は変化に対する恐怖を持っていると思います。

「自分は恐怖がない!」と主張できる人は、おそらくすでに走り出しているホーなのです。

 

そんな中で、ヘムがホーになるためにはどうしたらいいのか。

これが最大の問題

わたしが読書中に一番印象的だったのは、ホーが変化の恐怖に対抗するために自分の幸せな状態を詳細に想像していたことです。

 

変化に対する恐怖を乗り越えるためには、変化を乗り越えた自分のイメージをしっかり持つべし。

 

何があるかわからない人生(迷路)。

まずはそこから始めるのが大切なのかなと考えました。

 

気になったこと

この本のタイトル『チーズはどこへ消えた?』の原題は、"Who Moved My cheese?"です。

直訳すると「誰がチーズを動かしたのか」。

チーズとは、わたしたちが欲するものです。

この物語の中では、迷路にチーズが置かれています。どこから来るのか、誰が置いていくのかはわかりません。(23ページより)

ネズミと小人はチーズを欲して、迷路の中を探し回ります。

わたしたちも、現代社会においてチーズを求めて生きています。

 

一旦立ち止まって考えると、誰がチーズを置いたのか・動かしたのかわからないまま生きるのって、ちょっと怖いと思いませんか。

 

“チーズはどこへ消えた?”

 

そこからもう一歩進んだ先。

わたしたちはこれから、「チーズはどこから来た?(Who Put My Cheese?)」も考えて行くべきなのかもしれません。

 

まとめ!

シンプルながらも学びの多い本でした。

世界中で読まれている理由がよくわかります

寓話に落とし込んでいるところも、話の本質を掴みやすくて良かったです。

 

コロナに始まり、近年は激動の時代となっています。

 

ホーは自分が得た教訓を壁にいくつも書きつけます。

わたしが大切にしたいなと思った言葉は、本書48ページより、「新しい方向に進めば新しいチーズが見つかる」です。

 

ヘムのわたしがホーになるために。

自分にとってのまだ見ぬチーズと、チーズを得た自分をしっかり思い描き、その先も考えていきたいです。

 

紹介本一覧

この記事は紹介本のジャンル別一覧です。

投稿後に適宜追加していきます。

 

索引としてお使いください。

リンクを貼っているので、気になるタイトルがあった方はクリックして読んでくれると嬉しいです。

 

 

小説

国内ミステリー

・『ファラオの密室』

・『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』

 

エッセイ

・『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む』

 

ビジネス・自己啓発

・『チーズはどこへ消えた?』

 

絵本

・『夜の木』

 

写真集

・『世界の野生イヌ』

 

読書感想|小説|『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』

本書258ページより

 

こんにちは、天音です。

 

雨音読書ブログへようこそ!

 

今回は下村敦史さんのミステリー小説、『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』をご紹介します。

 

 

 

基本データ

タイトル

全員犯人、だけど被害者、

しかも探偵

作者 下村敦史
出版社 幻冬舎
出版日 2024年8月5日
ページ数 356

 

SNSで新刊本として紹介されていて興味を持ちました。

完全にタイトル買いです

 

あらすじ

「私が犯人です!」「俺が犯人だ!」、全員犯人です!
社長室で社長が殺された。それに「関わる」メンバーが7人ある廃墟に集められる。未亡人、記者、社員2人、運転手、清掃員、被害者遺族ーー。やがて密室のスピーカーからある音声が流れる。「社長を殺した犯人だけ生きて帰してやる」。犯人以外は全員毒ガスで殺す、と脅され、7人は命をかけた自供合戦を繰り広げるがーー。

アマゾンより引用

 

ネタバレなし感想

 

ある事件において関わりのある7人が、逃げ場のない密室に閉じ込められ、何者かの目的のために生死をかけたバトルをする。

 

いわゆるデスゲーム系のミステリーです。

 

姿の見えないゲームマスターから、「社長を殺した犯人以外を全員毒殺する」という一方的な提案をされ、プレイヤーは誰もが犯人になりたがるというとてもユニークな設定!

斬新です!

問題を起こした会社の社長夫人、社員、被害者遺族、ジャーナリスト……。

ぶつかり合わないわけがありませんよね。

 

もうバチバチ!

 

基本的にはプレイヤーの自白合戦です。

 

生きる残るために隠していた罪を語り、さらには騙る。

各々の欲求や欺瞞、野望が伝わる、クローズドルームのヒリヒリが満ち満ちていました。

 

現代の社会的な問題も取り扱っていたんではないでしょうか。

暴露への誹謗中傷や政治的テロに触れていたりして、リアル寄りな印象を受けました。

 

二転三転する犯人候補と自白。

読み手として、どんなラストを味わわせてくれるんだと作者に挑む気持ちと同時に、きっと驚きが待っているのだろうと信頼も抱く作品でした。

 

ネタバレありの感想

▼読了した人向けの感想です。
クリックしてください。

デスゲーム系の小説を読んだのは実は初めてで、ギスギスしながら謎をとく空気が新鮮でした。みんなクズだなあ!

どんでん返しなのでどこまで感想を書いていいかの見極めも難しかったです。

これを読んでる方はネタバレを許容している人だと思って書いていますからね!大丈夫ですか?

 

少し不思議だったのは、劇中で自白をいちいち批判すること。

 

ゲームマスターが「犯人は殺さない」って言ってるんだから、みんなそれっぽい罪を騙って犯人になろうとするはずなのに。

そこはちょっとくどいかなという感想を抱きました。

上手に犯人になろうとする(犯人になれ)という展開ですよね。

 

これは“すべてが再演“というラストへの伏線というか、あえての演出なんでしょうか。

 

多重構造に多くの仕掛けがあってとても上手な作品でした。

ラストのパニックシーンなんか、読んでるわたしまですごくドキドキしてしまいました。

そういう「見ている人の心理を含めた」トリックだったので、いろんな裏切りを楽しめたと思います。

 

まとめ

全員犯人、だけど被害者、しかも探偵。

 

どんな罪を犯し、どんな被害を受けたのか。

 

密室に集められた容疑者たちがこぞって犯人になりたがる斬新な舞台設定に、ページを捲るの手が止められませんでした。

 

単行本で厚めですが、あっという間に読了ですよ

 

一体誰が犯人なんだ?!

誰の自白が真実なんだ?!

 

犯人の口から語られる結末を、ぜひ最後まで聞いてみてください。

 

読書感想|写真集|『世界の野生イヌ』

↑こちらの写真はフリー画像です。

本書に掲載されているものではありません。

 

こんにちは、天音です。

 

雨音読書ブログへようこそ!

 

今回は今泉忠明さん監修の『世界の野生イヌ』という写真集を紹介します。

 

 

基本データ

タイトル 世界の野生イヌ
監修 今泉忠明
出版社 Gakken
出版日 2024年8月6日第1刷
ページ数 158

 

この本を知ったきっかけはたぶん、図書館のHPで新しい本一覧に載っていたことだと思います。

 

表紙の訴求力が凄まじかったです

 

概要

★★★野生に生きるイヌ科動物の魅力が
生命力あふれる写真とともに堪能できる!★★★

――――――――――――――――――――――
●野生に生きる60種以上のイヌ科動物が登場!
●かわいくて凛々しい野生イヌの魅力を
美しい写真・データとともに解説
●野生イヌたちの、人にはめったに見せない
キュートな姿も見られる
●巻末では身近なイエイヌも厳選して紹介
――――――――――――――――――――――

オオカミ、リカオンからタヌキ、キツネまでを含む、野生に生きる多種多様なイヌ科動物たちを、生命感あふれる写真・データとともに紹介するイヌ好き必携の一冊。人気の高いハイイロオオカミやコヨーテ、ホッキョクギツネやフェネック、タヌキまで、60種以上を余すところなく掲載・解説。巻末ではゴールデン・レトリーバーや柴犬など、身近なイエイヌも厳選して紹介する、ファン待望の書籍です。

アマゾンより引用

 

感想

 

「“野生イヌ“ってなんだろ?」と思って手に取りました。

わたしの住んでいる地域は野犬がいるので、そういう意味での“野生“かなと……。

 

そんな予想とは少し違って、こちらは「世界に生息している家畜化されていないイヌ科の動物」の写真集。

自然の中で生きるイヌたちの、凛々しく、ときにキュートな写真が盛りだくさんでした。

 

写真が可愛いだけではなく、生息地域や特徴、習性なども詳細に書いてあり、コンパクトな本ながら世界のイヌ科に詳しくなれます。

 

全ページ可愛い上に満足感がすごかったです

 

この本を読んで、イヌって多様なんだなと改めて知りました。

キツネっぽいオオカミもいれば、イヌっぽいキツネもいる。

 

そういえばキツネもタヌキもジャッカルもイヌ科でしたね。

 

何だと思ってたんだというツッコミを受けると困りますけど。

改めて「イヌ科」なんだなと。

 

世界中のいろんなイヌの、いろんな姿を楽しむことができる本です。

雪原を駆けるエチオピアオオカミ。

( ̄〰️ ̄) こんな顔したシマハイイロギツネ。

「タヌキは上手ではないが木登りができる」らしいですよ。

ずんぐりしてるように見えて、実は手足が長いとか。

かわいい。

 

かわいいなと思いながら写真を眺めましたが、同時に野生への恐れもわいてきます。

この子たち強いんだろうなーと。

自然の厳しさと美しさ。

絶対に会いたくないです。

 

もこもこしててかわいいし、いま自分は安全圏にいるのに、写真に写るイヌたちから鋭い力強さが伝わってきました。

 

コラムにて、イエネコなどイヌ以外のお話もあります。

ハイエナはイヌに似てますがハイエナ科で、どちらかというとネコ科に近いらしいです。

あとブチハイエナの鳴き声は人の笑い声に似てると。

気になって調べたら本当に似てたので動画を貼っておきます。

皆さんにも聞いてほしい。

 

youtu.be

 

ニホンオオカミやエゾオオカミに関する記述もありました。

そういえば、少し前にヤマイヌだと思われていた剥製が、ニホンオオカミだと判明したというニュースがあったことを思い出しました。

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240227/k10014372671000.html

↑NHKの記事だったので、気になる方がいればどうぞ。

 

まとめ

イヌたちの力強い面もキュートな面も、全方位から余すことなく堪能できる犬好きにはたまらない一冊でした。

 

コラムなどのサイドで好奇心をくすぐられるのも良かった。

 

祖先や近縁などのイヌ科同士の関係書かれていて、イヌという生物が歩んできた道の一端も知ることができます。

 

写真集兼図鑑として犬好きの心を満たしてくれるでしょう

 

ワイルドドッグたちの、生き生きとした表情をぜひお楽しみください。

 

読書感想|ミステリー|『ファラオの密室』

本書246ページより

こんにちは、天音です

 

雨音読書ブログへようこそ!

 

今回ご紹介する本は、

白川尚文さんの『ファラオの密室』です。

 

 

本日の目次はこちら

 

感想は「ネタバレなし」と「ネタバレあり」の2種類です。

ネタバレありの方は折りたたんであり、クリックすると読めるようになります。

未読の方も安心してお読みください

 

基本データ

タイトル

ファラオの密室

作者 白川尚文
出版社 宝島社
出版日 2024年1月23日第1版
ページ数 312

 

第22回『このミステリーがすごい』大賞受賞作品です!

受賞時のタイトルは、

『ミイラの仮面(マスク)と欠けのある心臓(イブ)』

 

どちらのタイトルにもそれぞれ魅力がありますが、刊行タイトルの方がミステリー感は増してますね

あと表紙がとてもピカピカしています。

 

大変神々しい装丁です!

 

あらすじ

紀元前1300年代後半、古代エジプト。
死んでミイラにされた神官のセティは、心臓に欠けがあるため冥界の審判を受けることができない。
欠けた心臓を取り戻すために地上に舞い戻ったが、期限は3日。
ミイラのセティは、自分が死んだ事件の捜査を進めるなかで、やがてもうひとつの大きな謎に直面する。
棺に収められた先王のミイラが、密室状態であるピラミッドの玄室から消失し、外の大神殿で発見されたというのだ。
この出来事は、唯一神アテン以外の信仰を禁じた先王が葬儀を否定したことを物語るのか?
タイムリミットが刻々と迫るなか、セティはエジプトを救うため、ミイラ消失事件の真相に挑む!
浪漫に満ちた、空前絶後の本格ミステリー。

アマゾンより引用

 

簡単にまとめると、「しんだ主人公が蘇り、自分の欠けを取り戻すために奔走しているうちに自分の死とも重なりあった重大な事件を解き明かしていく」というお話です。

 

あらすじだけですでにユニーク!

 

ネタバレなしの感想

古代エジプトの空気が存分に味わえる作品です!

 

舞台に馴染みがないし、ちゃんと入り込めるかな?

これはわたしもちょっぴり心配していました。

カタカナ覚えるの苦手だし。

 

心配ご無用。

 

登場人物たちのキャラと役割がはっきりしていて、一見風変わりな味付けに思えますが、ミステリーとしてはとてもシンプルでした。

とっつきにくそうな設定に反して、内容は読みやすい部類に入ると思います。

 

登場人物の語りにより時間軸がズレている箇所があり、「あれこれはいつだ?」と思うことが少々あっても、設定や舞台がストーリーを阻害するなんてことは一切なし。

むしろ、この世界観だからこそ楽しめる物語というのが本書を読む醍醐味と言えるでしょう。

 

ミステリーとしての観点から読むと、もしかしたら少し物足りなさを感じる人がいるかもです。

 

わたしも楽しい読書でしたが、常に「これはミステリーなんだろうか?」という感覚はありました。

読後感としては、ヒューマンドラマに近いかもしれません。

 

いろんな人の思惑や事情が絡み合った、神秘あり、スリルありのファンタジー系ミステリー小説でした。

 

読み終わりは温かく、爽やかな気分

 

読了した人向けの感想

▼ネタバレ含む感想

ネタバレを含まない感想で割と書き尽くしてしまいました。

でも読んだ人に聞いてみたいこともあって。

ミイラの扱いめちゃくちゃ怖くなかったですか。ラストの謎解きパート、疾走感があってとてもよかったんですが、玄室を抜けるための方法を読みながら「めっちゃ不敬じゃない?!」って思っていました。

主人公もだけど特に先王。大丈夫なんでしょうか……。

ファラオの威光をストーリー上でもあんなに描いていたのに、坂道を転がすなんて。しかも犯人はアテン信者だし。アテン信者ということは、ファラオの神性も認めないという解釈なのかな。

そこだけはミステリの謎解きという、元来びっくりがある部分だとしても度肝を抜かれたところでした。現代日本人のわたしが「ファラオが!」ってビビっちゃった。

 

それと「再会」ということばが何度も出てきたのが、この本を面白いなと思ったところでした。冥界でまた会うことが当たり前に語られていて、死んだ後の時間が明確にあるからこそ、セティの置かれた状況の希望と恐怖も一層際立っていて……。

主人公の状況の原因も、ファラオのための実験体とかいう惨すぎる真実でしたが、死後の世界という前提があるから前向きなラストで、きっとみんなの大団円が続くんだろうなと思えてよかったです。

 

表紙の女性はマアト神ですよね。

生涯嘘をつき続けてきたセティが、「真実とは何か」を掴むラストだからマアトを表紙に選んだんでしょうか。

ストーリーでもそこまで出てこないから自信が持てなくて、この表紙の女性は誰だろうってずっと考えてました……笑

 

まとめ

 

古代エジプトの空気と、彼らの宗教観。

それを存分に絡めた謎解き。

 

新感覚ミステリーでした。

 

体感として「謎解き3、ファンタジー7」くらいの割合でストーリー配分かな。

個人的には謎解き要素のあるドラマという感想に落ち着きました

伏線や描写に無駄がないのもよかったです。

それらが集約されて「ああそういうことだったのか」とラストに切なさが込み上げてくる。

こうなるんだろうなと思う部分もありますが、それでも読者への驚き(サービス)はしっかりありました。

 

この設定だからこその、異国浪漫たっぷりの「よみがえり」を、ぜひ舞台設定にためらうことなく満喫してほしいです。

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