道路行政

遅ればせながら、道路公団民営化についての3冊。猪瀬直樹氏については、『日本国の研究』で特殊法人の病巣(「永田町」「霞ヶ関」に匹敵する権力構造としての「虎ノ門」)をえぐって以来、私はファンだったが、残念ながら、櫻井・田中両氏の本を読むと、どうも自ら「調停役」という政治家的な仕事を、半ば功名心のために買って出て、かえって恨みを買っているようだ。ただ、櫻井氏の猪瀬像は、あまりにも悪意に満ちたものにも思える。田中氏、そして川本氏を「信念の人」、猪瀬氏を「妥協する政治屋」と捉えるのは単純すぎる。猪瀬氏なりの信念もあったと思いたい。
最近ようやく、西武の堤義明へのバッシングが、例えば昔のセクハラも含めて行われているが、堤帝国の先代からの「悪行」を私がはじめて知ったのも猪瀬氏の著書『ミカドの肖像』で、プリンスホテルなどに国有地が破格の値段で払い下げられていたことや、会社を赤字にして税金を払わない手口が指摘されていたからだ。今後も言論人としてがんばってほしいのだが。



道路の権力 道路公団民営化の攻防1000日偽りの民営化―道路公団改革権力の道化