変身

シネ・ヌーヴォ九条で「変身」を見た。もちろん原作はカフカである。だが、原作とはそれなりに変えてあるようだ。
誰もが知っているように、カフカ『変身』は、ザムザがむざむざ虫にされてしまった朝から話が始まる。しかしこの映画は、その前日の夜、大雨の中を、ザムザが家に帰ってくるところから始めている。また、小説では「不快な夢」の中身を書いていなかったと思うが、この映画では、虫になる前夜の夢についても具象化している。
虫をどう表しているのか。もちろん着ぐるみでもなければ、CGでもない。役者がパジャマのまま、手足の微妙な動きとキーキー声、そして、粘液が出るという設定に伴う汚れで、表している。日本でも確か宮本亜門が、同じ方法で、舞台で演じていた。この映画も、もとは舞台だ(主演俳優は変えているが)。
ザムザの妹が超美人だ。そんな設定だったっけ。父親役は、若山富三郎に似ている。
カフカは映画化が困難と言われながら、多数の傑作を生み出してきた。ウェルズが出ていた『審判』もいいし、最近のハネケ監督の『城』もいい。『アメリカ』も確か映画化したのではないかな、僕はまだ見てないけど。

そうだ、ソダーバーグ監督の『カフカ 迷宮の悪夢』も見なくては。近所のレンタルビデオ店にあるだろうか。