平城宮
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整備計画
文化庁による「特別史跡平城宮跡保存整備基本構想」[12]に基づき、遺跡の整備・建造物の復元を進めている。費用は全額国費で行われる[13][注釈 2]。既に第一次大極殿(2010年竣工)・朱雀門(1998年竣工)[15]・宮内省地区・東院庭園地区の復元(2001年)[15]が完了している。
2010年(平成22年)4月23日、第一次大極殿の完成記念式典が行われ皇太子徳仁親王が出席し[16]、旧暦の3月10日に当たるこの日は、1300年前の710年(和銅3年)、元明天皇が藤原京から平城京に遷都した日である。
また、国営公園化が決定しており[14]国土交通省主管で、敷地内を横切る近鉄奈良線と奈良県道104号谷田奈良線(一条条間大路)の移設が検討されている。奈良県道104号谷田奈良線の移設には周辺地域の住居立ち退きが必要であり、近鉄奈良線については新大宮駅も含めて大宮通りに移設し地下化することが検討されている[17]。2017年(平成29年)、移設に向けての協定が結ばれた[18][19]。
なお、整備計画区域内の朱雀門南西側には、かつて積水化学工業の奈良工場があった。工場の敷地の一部が朱雀大路跡地に掛かっている為、奈良市が約24億円を投じて移転用地を確保したものの、2000年(平成12年)1月に同社から業績の悪化を理由に移転断念の申し入れがあり、一旦は移転を断念した[20]。しかし、2012年(平成24年)に合意がまとまり[21]、工場は2014年(平成26年)中に大和郡山市へ移転[22]。跡地は交通ターミナルになっている。
特別史跡、世界遺産と規制
特別史跡としての整備事業は奈良文化財研究所(1965-2000 (昭和40-平成12) 年度)、文化庁文化財部記念物課(2001年度-)が直轄で実施し、国営公園の整備は国土交通省が行う[23]。国営公園内にある平城宮跡は世界遺産「古都奈良の文化財」の構成資産であるため、大規模な復原または新規工事等の現状変更に当たって、文化財保護法の規制に加えて世界遺産委員会から手続き等を求められる[24]。文化庁の指摘によると、特別史跡管理団体である奈良県が平城宮跡の今後の保存管理を行う上で「特別史跡平城宮跡保存管理計画」を策定することが急務とされた[25]。
2007年度までに文化庁文化財部記念物課が直轄で国有化した土地109ヘクタールは当面国有化すべき土地の約98%であって、特別史跡の指定地約131ヘクタールの約83%を含む[26]。当初、国営公園は平城宮跡南方の史跡「平城京朱雀大路跡」及びその周囲の未指定地を加えた約120ヘクタールうちおよそ70ヘクタールを国営公園事業で整備すると想定され[注釈 3]、また特別史跡指定地内にある佐紀町集落、東部の法華寺町集落等を除外している。
- ^ 元正天皇在位期・恭仁京からの還都直後・孝謙天皇即位時・淳仁天皇在位期・光仁天皇即位時に改築が実施されたことが知られている[1]。
- ^ 国有化の方針を打ち出した1962 (昭和37) 年の翌1963年より、民有地の買い上げを開始。1973年より奈良県は国の受託事業として県債を発行、特別史跡指定地内の土地を積極的に買い上げた。その利息・事務費は毎年度、一定額ずつ国が買戻してきた[14]。
- ^ 公園にするために特別史跡の現状変更を伴うことから、文化財保護法第125条または第168条に従って文化庁長官の同意を得て実施した。あるいは文化財保護法第113条に基づく特別史跡の指定管理者は奈良県、国有地の管理は奈良文化財研究所(1965-2000 (昭和40-平成12) 年度)から所有者である文化庁直轄(2001年度より文化財部記念物課)に移行。
- ^ 橋本、2011年、P27・P207-224・P233-270。
- ^ 橋本、2011年、P81-84。
- ^ “国指定 史跡・名勝・天然記念物一覧”. 奈良市. 2017年10月13日閲覧。
- ^ 橋本、2011年、P84-93。
- ^ “京都、平安宮豊楽殿の規模確定/平城宮大極殿を移築か”. 四国新聞. (2015年12月1日). オリジナルの2015年12月3日時点におけるアーカイブ。 2017年12月12日閲覧。
- ^ 渡辺晃宏、「001「平城宮跡出土木簡」の国宝指定答申について」『奈文研ニュース』 No.65 p.1, 国立文化財機構奈良文化財研究所
- ^ 平成29年9月15日文部科学省告示第115号。
- ^ 国宝・重要文化財の指定について(文化庁サイト)
- ^ a b c d 平城宮跡 - 国指定文化財等データベース(文化庁)
- ^ a b 平城宮東院庭園 - 国指定文化財等データベース(文化庁)
- ^ 奈良山瓦窯跡 - 国指定文化財等データベース(文化庁)
- ^ (PDF) 特別史跡平城宮跡保存整備基本構想. 文化庁. (1978-05-26) 2017年12月9日閲覧。.
- ^ 産経ニュース(リンク切れ)
- ^ a b 特別史跡平城宮跡保存整備基本構想推進計画. 文化庁. (2008-05-13). p. 5 2017年12月9日閲覧。.
- ^ a b 文化庁 2008, pp. 6–8.
- ^ “2010年4月23日 平城宮跡 第一次大極殿完成記念式典”. 奈良県知事室 (2010年4月23日). 2017年12月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年12月9日閲覧。
- ^ “奈良県、近鉄線移設で調査開始 平城宮跡横断の区間”. 日本経済新聞. (2017年1月19日). オリジナルの2017年1月19日時点におけるアーカイブ。 2017年12月9日閲覧。
- ^ “駅中心のまちづくり目指す連携協定”. 奈良テレビ放送. (2017年4月7日). オリジナルの2017年12月9日時点におけるアーカイブ。 2017年12月9日閲覧。
- ^ “平城宮跡の近鉄線 移設で協定”. NHKニュース. オリジナルの2017年4月9日時点におけるアーカイブ。 2017年12月9日閲覧。
- ^ 読売新聞大阪本社版2000年3月3日付(リンク切れ)
- ^ “積水化学工業株式会社奈良事業所の移転先の決定について” (PDF). 奈良県産業・雇用振興部企業立地推進課 (2012年3月14日). 2017年12月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年12月9日閲覧。
- ^ “平成24年3月14日(水)定例記者会見:積水化学工業(株)奈良事業所の県内移転先の決定について”. 奈良県知事室. (2012年3月14日) 2017年12月9日閲覧。
- ^ 文化庁 2008, pp. 5–10.
- ^ 文化庁 2008, pp. 11–12.
- ^ 文化庁 2008, pp. i–iii.
- ^ 文化庁 2008, p. 11.
- ^ a b c d e f g h i j k l m “平城宮跡歴史公園、平成 30 年 3 月 24 日オープン! ー1300年の時を超えて“朱雀門ひろば”がよみがえりますー” (PDF). 国土交通省近畿地方整備局・国営飛鳥歴史公園事務所 (2017年9月6日). 2017年12月12日閲覧。
- ^ 国営公園区域 (約122ha)のうち、今回開園区域 (31.8ha)。県営公園区域 (約10ha)のうち、今回開園区域 (3.1ha)[27]。
- ^ a b c d e f 文化庁 2008, pp. 21–22.
- ^ “開園箇所が広がりました。大極門(南門)の完成。”. 平城宮跡歴史公園. 2022年3月25日閲覧。
- ^ “平城京歴史館の閉館のお知らせ”. 奈良県. 2016年12月23日閲覧。
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