吉坂峠 概要

吉坂峠

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/21 07:59 UTC 版)

概要

吉坂峠は、丹後街道に位置し、丹後国若狭国を接する国境として歴史上、軍事上の重要な拠点であった。現在のトンネルができる前の旧道は未舗装道路として現存しており、明治時代に改修された石垣積みが峠の両側に部分的に残っている[1]。中世、この付近の地名である木津の庄に由来し、木津坂と呼ばれていたが、いつしか現状の吉坂となったという[2]

歴史

国境線を巡る争いの逸話が伝わっており、鎌倉時代に若狭と丹後で闘犬をおこない、国境を決めたという、これに由来し峠の国境には道の両側に犬石が目印として置かれていたというが、現在は失われている[1][2]。室町時代には、丹後守護の地位を争った一色氏と武田氏(若狭武田氏)の攻防戦が行われ、吉坂砦(きちさかとりで)が丹後最東端に築かれていた。戦国時代には高浜城主の逸見昌経の戦の舞台ともなったという[2]江戸期には小浜藩によって若狭最西端に関所が設けられ、要所として知られていた。また、近年まで峠付近には休憩のための水飲み場もあったが、所在不明である[1]

交通路の近代化

鉄道

小浜線は大正4年から工事が開始、敦賀から新舞鶴まで順次延伸された。吉坂トンネルを含む高浜と新舞鶴間が大正11年に竣工し、小浜線が全線開通した[3]

道路

道路トンネルは戦時中の昭和18年から工事が開始[4]され、戦後の昭和25(1950)年6月30日に吉坂トンネル(全長280m、幅7.5m、コンクリート造)として開通[5]した。 しかし、福井県嶺南地方に甚大な被害をもたらした昭和28年の台風13号[6]により、落盤を起こし、使用が不可能となった[1]。 このため、2代目のトンネルが初代の北側[7][注釈 1]に着工され、昭和31年2月7日に開通した[8]。これが、現在の青葉トンネル(全長343m 幅員7.1m 高さ4.5m[9])である。2代目のトンネルを通る経路が積雪時の交通に支障があること、大型車のすれ違いに規格が足りていないことから3代目のトンネルを含む全長1.7kmのバイパスが国道27号青葉改良[10]として2021年度に事業化された[11]

周辺の情報


出典

  1. ^ a b c d e 『新 わかさ探訪』「若丹国境の吉坂峠」,p254-255
  2. ^ a b c 『越前若狭 山々のルーツ』「青葉山」,p313
  3. ^ 小浜市 「小浜線遺産について」2018年11月13日閲覧。
  4. ^ 京都新聞 昭和25年1月26日朝刊 国立国会図書館書誌ID:000000057426
  5. ^ 京都府百年の年表 7 京都府立総合資料館編 京都府 1970 国立国会図書館書誌ID:000001227210
  6. ^ 福井県 「①災害の記録 平成30年3月」2018年11月13日閲覧。
  7. ^ 角川日本地名大辞典 京都府 上巻 「角川日本地名大辞典」編纂委員会編 角川書店 1982 国立国会図書館書誌ID:000001561930
  8. ^ 舞鶴市史 年表編 舞鶴市史編さん委員会編 舞鶴市役所 1994 国立国会図書館書誌ID:000002384659
  9. ^ 道路施設現況調査 平成16(2004)年度 国土交通省
  10. ^ 青葉改良パンフレット
  11. ^ 福井県知事談話
  12. ^ 福井県 「杉森神社のオハツキイチョウ」2018年11月13日閲覧。
  13. ^ 小浜山の会 「県境稜線 B 塩汲峠~青葉山~吉坂峠」2018年11月13日閲覧。

注釈

  1. ^ 初代(吉坂トンネル)と2代目(青葉トンネル)の位置関係は、京都府立京都学・歴彩館所蔵 京都府庁文書「吉坂隧道復旧工事設計書(建設省委託) 昭和28~30年度 道路課 3冊 昭30-77-1」に詳細図面がある。(参考文献「山さ行がねが」参照)


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