仙台塩釜港 概要

仙台塩釜港

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/25 02:31 UTC 版)

概要

奈良時代陸奥国府多賀城外港として歴史が始まる塩釜港は、1910年明治43年)に第2種重要港湾に、1951年昭和26年)に重要港湾に指定された。高度経済成長期になると「仙台湾地域」の新産業都市指定を機に、砂浜を掘り込んで仙台港が開発され、1971年(昭和46年)に「塩釜港」に編入された。これにより両者は一体的に運用され、各々「塩釜港塩釜港区」「塩釜港仙台港区」と呼ばれることになった。2001年平成13年)、特定重要港湾に指定されたのを機に「塩釜港」は「仙台塩釜港」に改称され、各々「仙台塩釜港塩釜港区」「仙台塩釜港仙台港区」と呼ばれることになった。

江戸時代初期の北上川改修を機に東廻海運の拠点港の1つとして発展の歴史が始まる石巻港は、1950年(昭和25年)に地方港湾に、1964年(昭和39年)に重要港湾に指定された。しかし2010年(平成22年)8月3日、全国の重要港湾103港の中から重点的に投資する43港が重点港湾に選ばれた際、石巻港は選外となった[4]。これにより石巻港は、国直轄の新規事業予算が配分されず、継続事業の実施しかできなくなるため、同年5月に前原誠司国土交通大臣(当時)が石巻市を視察した際に「(仙台塩釜港との)一体整備の可能性はゼロでない」と発言したことをもとに、仙台塩釜港との統合が模索されることになった[5][6]

県と関係者は同年11月29日に第1回の「宮城県港湾戦略ビジョン策定委員会」(以下「ビジョン委」)を開き、仙台塩釜港と石巻港に、日本三景松島の観光港としての機能が強い松島港(1954年(昭和29年)地方港湾に指定)を加えた3港を統合する案を検討し始めた[1]2011年(平成23年)3月11日東北地方太平洋沖地震東日本大震災)が発生し、県内の港は地震地盤沈下津波火災などにより、埠頭施設や背後の臨海工業商業地区の被害に加え、港湾従事者の犠牲や離散により港湾機能が著しく低下した。そのため、震災からの効率的な復旧・復興と将来的な発展を目指し、3港の役割分担を明確にして統合する計画が「ビジョン委」において8月2日11月24日に検討され[1]2012年(平成24年)3月29日に宮城県地方港湾審議会において決定した[7]。3港の統合計画は8月7日に国に申請され[8]10月12日閣議決定され、10月17日に公布・施行された[9]10月18日、仙台塩釜港(仙台港区、塩釜港区)、石巻港、松島港の3港は、仙台・塩釜・松島・石巻の4つの港区を持つ仙台塩釜港という1つの港に統合された。

なお、当港の4つの港区は、仙台湾に沿って延びる全長46.4km貞山運河および内海となっている松島湾により、小型船舶なら外洋に出ることなく相互の往来が可能であるが、運河の幅が狭いため港区間の流通には使用されていない。




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