PAC-3形態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 06:00 UTC 版)
「パトリオットミサイル」の記事における「PAC-3形態」の解説
弾道ミサイルへの対処能力を本格化するため、さらなる能力向上を図った形態。変更の内容は、PAC-3弾の採用、RSの目標識別・捜索能力の向上、通信能力の向上などである。PAC-3形態は最初から完成された状態で配備された訳ではなく、PAC-3/Config.1とよばれる形態から始まり、現在[いつ?]米国で配備されている最新のPAC-3/Config.3形態へと至っている。 ハードウェア的な改修項目としては、レーダー装置の目標識別計算装置の追加(DSP-5)や広帯域波形送受信・処理装置(Radar Enhancement Phase 3, REP-3, Classification Discrimination Improvement 3, CDI-3)の搭載、レーダー送信器の増幅用進行波管(TWT)の並列搭載化(Dual TWT)によるデューティーの向上(単純計算で平均送信出力が2倍となる)、また、ECSやICC、CRGでは新型のRLRIU-U(ICCにおいてはConfig.2形態においてもRLRLI-Uと呼称されていたが、中身は別物である)、新型通信多重化装置(Integrated Digital Opperator Control Station, IDOCS)、これに伴う通信能力の向上(Remote Launch, Communication Enhanced Upgrade, RL/CEU)などがある。特にRL/ECUによって発射機をより遠くへ設置できるようになり(リモートランチ機能、CRGに対してECSが有する発射機制御機能を搭載する事によりECSとLSの離隔距離が拡大)、弾道弾に対する防護範囲が向上している。 日本が地対空誘導弾パトリオットで導入(既存配備システムの改修)を進めているのはこの最新の形態である。なお、ミサイル自体の名称であるPAC-3と混同している文献があるが、地上装置(ECSなど)とミサイルは別の形態名称で呼ばれており、注意が必要である(単にPAC-3形態と言っても通用するが、正しくはPAC-3/Config.3形態である)。なお、Config.3へと形態が進化した際、RS、ECS、ICC、CRG、LSの形式名称が変更されているが、これは、それぞれが搭載する機材が能力向上に伴って大幅に変更されたためである。
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